「ただいま......」
学校から帰宅した恭也は落ち込んだ様子で玄関に上がった。
今となっては忌々しくなった右手を見やると怒りと苦悶を込めて握りこぶしを作る。
いっそのこと切り落としてしまいたいくらいだ──
(この手のせいで委員長や藤城は......)
思い出すだけで歯噛みをしてしまう。
今頃彼女らがどうなっているのか、想像をしたくもない。
「あ、恭也じゃん。おかえりー。」
リビングから出てきたのは姉の真希だった。
大学の講義が午前中で終わったのか、恭也より先に家に戻ってきていたようだ。
咄嗟に右腕を後ろに隠す。
「あ、姉貴......帰ってきてたのか。」
「なーによ、帰ってきてちゃ悪い?ここは私の家でもあるはずなんだけど?」
「別にそうは言ってないけど......」
今はとにかく人の接触は避けたい。これ以上無関係の人間を巻き込みたくはなかった。
ましてや自分の家族など......
「まあいいや、いま私の友達来てるから。くれぐれも邪魔しないでねー」
「あ、ああ......」
寺岡の監視がない今、右手が勝手に動き出すことはないはずだ。
さっさと2階の部屋に逃げ込んでしまおう、と思ったその時だった。
「あ、真希ちゃん、弟さんが帰ってきたの?挨拶してもいいかな?」
真希の友人が様子を見に来たのだ。
胸元にリボンが付いた白ブラウスに膝上丈のプリーツスカート。
育ちの良さそうな雰囲気とは裏腹にブラウスを盛り上げる胸は服の上からでもその豊満さが窺えた。
本人は気づいているのか分からないが水色のブラジャーがうっすら透けており思わず息を飲んでしまう。
「別にいいよ涼香、挨拶なんかしなくても相手は弟だし」
涼香と呼ばれた女性はくすっと笑うと朗らかに微笑んだ。
「せっかく真希ちゃんの家族に会えたんだから挨拶くらいはさせて?初めまして恭也くん、真希ちゃんの大学の友達の遠島涼香です。よろしくね」
彼女は優しい笑みを浮かべたまま、綺麗な右の手をこちらに伸ばしてきた。
握手──
恭也は一瞬躊躇うと、顔を背けた。
「ごめんっ」
差し出された手を無視して階段を駆け上がろうとした。
「ちょっと待ちなさいよ!」
姉から強めの静止の声が聞こえる。
後ろ髪を引かれる思いでそれすらも無視しようとした恭也だったが、次の瞬間には文字通り腕が後ろに引っ張られ足を踏み出せなくなっていた。
「今はそれどころじゃ──っ!」
振り返り掴まれた手を振り払おうとする。
その瞬間──恭也は青ざめた。
掴まれたその手は──
振り払おうとしたその手は──
紛れもなく──自分の右手だった。
「あ、姉貴……」
真希の肩がぴくぴくと震える。
時間が止まったかのように呆けた彼女はぐりんっと白目を剥くと、一瞬にしてその表情を情欲に満ちたものに変貌させた。
「なあに?」
ねっとりとした口調で答えた姉の顔を見た恭也は目の前が真っ暗になっていくのを感じた。
「ふふ、ごめんね涼香。恭也は今機嫌が悪いみたい。ほっといて私たちはリビングに戻ろっか」
意味ありげに笑った真希は涼香の肩を掴んでリビングに連れ込もうとする。
「待てよ……!」
「今度は何かしら?キョウヤ♡」
「お、おまえ……姉貴に何かしてみろ……絶対に後悔させてやるからな」
「なーに言ってるのかしらこの弟は……どう見たって私があなたのお姉ちゃんでしょ?そう、私が……ふふ、ふふふ」
楽しそうに笑う真希は睨む恭也を無視してリビングへと入っていった。
「ねえ、弟さんをあのままにしといていいの?なんだかすごく緊迫してたみたいだけど……」
「いいのいいの!これはもう"どうしようもない"んだから!いやあ、まさかこんなチャンスが巡ってくるとは思わなかったなあ……ふふふっ、しかも目の前に餌がもうひとつ……!」
「えさ……?」
「何でもないですますことよ〜!ふふふっ、ちょっとトイレ行ってくるね!」
真希は鼻歌を歌いながら意気揚々と出て行った。
「変な真希ちゃん……」
「どれどれ、高崎の姉ちゃんの品定めといきますか」
洗面台の前に立った寺岡はニヤリと笑うと、今や自分のものとなった真希の肉体を上から下へと舐め回すように観察した。
脱色して茶色がかった髪を束ねたポニーテールに、目がぱっちりとした鼻筋の通った顔。
ニコッと笑みを浮かべると鏡には活発そうな雰囲気を持った女性がこちらに笑いかけてくれる。
シンプルなデザインの7分袖シャツからは真希のスタイルのいいラインがはっきりと浮かんでおり、マイクロミニのデニムスカートを履いたくびれた腰から伸びるすらりとした両足はモデルのものと言っても過言ではなかった。
ひょっとしなくてもこいつはかなりの上玉だ。
「高崎のやつ、こんなスタイルのいい姉貴がいたなんて嫉妬しちゃうなあ……」
眼下に広がるちょうどいいサイズの膨らみを揉んでやると、確かな柔らかさとともに程よく反発する胸の感触が手のひらいっぱいに広がった。
「うーん、この大きさはCかな?……ふふっ、あったり〜!アンダー75のバスト90だよ!」
最初はあえて記憶を読まずに胸のサイズを予想し、その後すぐに真希の脳に大切に保管されている記憶で答え合わせすることで本人しか知り得ない秘密を丸裸にすることが楽しくてしょうがない。
それを他ならぬ本人に暴露させることができるのだから尚更だ。
「んっ、んんっ……この胸を揉んでる時の多幸感さいこぉ……さっきまで気にならなかったはずなのに今は自分にCカップおっぱいが付いてると思うと目が離せない……あはっ、谷間がいやらしい……私ってこんなにスケべなカラダしてたんだ……んふぅ……」
ひたすらに胸を揉んでいると徐々に肉体のテンションが昂ぶっていくのが分かる。ほぼ大人として完成しつつある女子大生の肉体がこうも扇情的とは……
それが自分の思い通りに動き、思い通りに服を脱いで下着と肌を晒してくれる。
気が付けばシャツをたくし上げ、鏡の前に引き締まったウエストとブラジャーに包まれた綺麗な胸を晒していた。
「おっほ、このくびれがエロすぎるな。肌も手入れされてるみたいだし文句なしにいいカラダだわこれ」
つつーっと胸の付け根からへそまで指を這わすととてもこそばゆいがそれでいて幸せな感覚に全身を広がった。
これが高崎真希という女性の肉体。
そして今や自分の思うがままとなった女子大生の肉体。
口から溢れる笑みが抑えられない。
「ふふ、ぐふふふっ、お前のスケべな姉ちゃん、俺のもんになったぞ高崎」
鏡に映る真希の笑みはそれまでの人生で浮かべたことのないほど邪悪でいやらしいものだった。
「ごめんねお待たせ〜」
「もう真希ちゃんったらトイレにどれだけ時間かけてるの?待ちくたびれちゃった」
「いやあ、私のカラダがこんなにエロいとは思わなくて......ついついじっくり堪能しちゃった。でもそろそろメインディッシュも頂きたいなと思って戻ったきたの」
「え、えっと、どういうこと真希ちゃん?ごめんね、言ってることがよくわからないの」
意味の分からない言動。
そして真希から漂う妖しげな雰囲気に涼香は徐々に不安感を覚えるようになっていた。
「ねえ、涼香。私達ってまだお互いの裸を見たことないよね。そのたわわなおっぱいを服の上から視姦するのもすごく興奮するんだけどさ、やっぱり涼香の生おっぱいが見たいなぁ.....サイズはいくつ?E?F?あっ!やっぱり言わないで!今から当てるから!」
「ま、真希......どうしたの急に......言ってることがすごく怖い.....冗談のつもりなら全然面白くないよ......」
「冗談なわけないでしょ?私、全部本気で言ってるよ?涼香の裸もおっぱいも見たいし、なんならこれから犯そうと思ってたし、それに......」
「もうそれ以上言わないで!」
怒鳴った涼香はその透き通った瞳に涙を浮かべて真希を見つめた。
「今日の真希ちゃん変だよ......弟さんとのことも、さっきの態度も、今言ったことも......どうしちゃったの?まるで違う人と話してるみたい......」
「......ふひ、ふひひひ、だぁいせ~いか~い♪」
寺岡は真希の人格の皮を被るのをやめてその本性を表した。
「せい、かい......?」
「そうだよ涼香さん、いまこの女を動かしてるのはさっき君を避けようとした弟くんのクラスメイトさ!彼とはちょっとした因縁があってね、今はこうしてあいつの姉ちゃんのカラダを借りてるわけさ!」
「うそ......でしょ?」
「まあ普通信じられないよね。じゃあ質問その1。どうして私の弟は涼香と握手することを避けたのでしょう?」
「それは......」
「質問その2!恭也の私に対する態度が急変したのはなぜでしょう?彼は何かに気づいたのでしょうか?」
「う、うそ......まさか......」
「ふふ、頭のいい子は好きよ。それじゃ最後の質問!私が乗っ取られたのは──いったいいつでしょう?」
「右手を......っっ!」
「あっはは!気づいてくれた?そう、真希が高崎の右手を掴んだ瞬間、私の心は一瞬にして支配されたの!恭也はねえ......涼香と私のことを守ろうとしてたの!でもそんな努力もあの瞬間に水の泡。高崎真希のえっろいカラダはこの俺が丸ごと支配してしまいました~♪うひひひっ!」
真希は下品な笑い声をあげるとシャツを脱ぎ、ブラジャー姿になった。
「ねえ見て、すごいでしょこのくびれ.....今まで同じ学校の女子を乗っ取ることはあっても、こんなにいいスタイルをした女に憑依することはなかったの。あは~んっ、カラダを撫でまわしてるだけゾクゾクしちゃう......多分、涼香は私がこんないやらしい顔をするのは初めて見るよね。すごいでしょ今の私、カラダを乗っ取られて無理やりメスのスイッチを入れられちゃった。ねえ、涼香はその綺麗な肌を見せてくれないの?自分から脱がないなら......『俺』が脱がせちゃうよ?」
「い、いや......私、誰かを呼んで......」
「はぁ......まあこうなるよね。じゃあいいよ、それなら俺にも考えがある」
真希は決して友人に向けるべきではない悪意に満ちた笑みで涼香に近づいていった。
「きゃああああっ!」
突然家に響き渡った悲鳴に恭也は椅子から跳ね上がった。
「あいつ......!!」
急いで階段を駆け下りリビングのドアを開けるとそこには涼香の上に馬乗りになって彼女のブラウスを無理やり脱がそうとする姉......いや、姉の肉体を手に入れた悪魔の姿があった。
「おい!何してるんだよ!」
怒声にふたりの視線が恭也の方に向く。
「恭也ぁ......涼香のカラダがあまりにもエロくてムラムラしちゃったからさ、我慢できなくて襲っちゃった♪」
「きょ、恭也くん!だめ、きちゃっ!」
悲痛な表情を浮かべる涼香をよそにだらしのない笑みでこちらを見る真希に恭也は一層怒りが募った。
「言ったよなあ!姉貴に何かしたらただじゃ済まさねえって!」
「これはむしろ私”が”何かしてるって言うべきじゃないの?くふふっ」
真希は見せつけるように涼香の豊満な胸を鷲掴みにして揉みしだいた。
「あっ、いや、やめっ」
「すっご!全然手に収まらなえ!涼香さん胸のサイズ本当にいくつ?」
「てっめえ!!」
見るに堪えなくなった恭也は真希に勢いに任せて掴みかかろうとした。
「──お前は本当に馬鹿だなぁ」
それがすべての間違いだった。
自分の意思とは裏腹に右手が勝手に動き出し、真希の手を掴むはずがぐにっと涼香の胸を鷲掴みした。
「あっ──」
涼香の悲鳴にならない悲鳴が恭也の耳に強烈に響き渡った。
ぐるんっ!
白目を剥き、涼香は最後の抵抗のごとくガクンガクンと腰を跳ねさせた。
だがそれも数秒のこと、身体の震えが収まるとゆっくりと口角を吊り上げた。
「ふふ、ふふふ......」
聞こえるのは彼女の綺麗な笑い声のはずなのに、言いようのない妖しさを含んでいる。
涼香は上半身を起こすと自分の巨乳を待ちわびたかの如く鷲掴みにした。
「はああっ♡至高のおっぱい.....!これが俺のものに......!うっわぁ、柔らけえ......♡」
「ふふっ、涼香も支配されちゃったね。今日うちに居合わせたばっかりに......♪せっかく恭也だけは呼び寄せないように泣きたい気持ちをこらえて必死に悲鳴を抑えてたのに......」
「え......?」
後悔の渦に飲まれつつある恭也はその耳を疑った。
では誰が......
「さっきのは私だよ恭也♪涼香がどうしても鳴いてくれないから私の声を使って恭也に飛んできてもらったってわけ。どう?なかなか説得力あったでしょ?」
「うそ、だろ......」
では自分はまんまと嵌められて涼香を寺岡の支配下に置く手伝いをさせられたというのか。
信じたくない。
受け入れてしまえば自分の心が持つか分からない。
「ふふっ、嘘じゃないよ。恭也くん、私さっき真希から真実を教えてもらったの。最初信じられなかったけど、それなら辻褄が合うって。だから恭也くんは絶対に呼んじゃだめだ、なんとか抜け出して彼の力にならないとって健気にもあなたのことを心配してたのよ。これから自分が襲われるって時に!あははっ!面白すぎ!でもそんな気持ちもさっきあなたにおっぱいを揉まれて瞬間に上から寺岡くんの精神で塗りつぶされちゃった♪ほんとお前に憑きまとうと退屈しないな!こんなイイカラダが追加でふたつも手に入るし最高だわ!ほら、試しに見せてあげる......私の自慢の巨乳を、私自身の意思で.....ふふふ」
涼香はブラウスを脱ぎ、水色のブラに押し込められるように収まった(収まりきっていないが)特盛の胸を惜しげもなく披露した。
「おおー!!でっけええ!すげえ、すげえよ涼香の胸.....で一体何カップあるんだ?」
「記憶によるとブラのサイズはFみたい。でも見ての通りまだ成長してるみたいで収まるなくなってきてるわ。どれだけスケベなカラダになれば気が済むんでしょうね、私ww」
「そりゃすごい。真希のカラダを乗っ取った俺がほかの女のカラダに嫉妬することになるとはな、くくく」
「別にいいじゃない。どうせ同じ俺に支配されてるんだから、ぐふふ」
「そんな、くそ、そんな......」
恭也は床にうずくまって自分の不甲斐なさを嘆くことしかできなかった。
こうなってしまっては取り返しがつかない。
「くそ、くそぉ......」
「恭也、今からそこで私達が気持ちよくなるところを見ていてくれたら、お母さんやお父さんには手を出さないことを約束してあげる。もしそれが嫌だっていうなら......まあ言わなくてもわかるよね?」
始めから選択肢はないことなどとうに分かっていた。
要するにひどい地獄を見るか、もっとひどい地獄を見るか選べという話である。
「............」
「沈黙は了承と受け取らせてもらうね♪」
夕暮れのリビングルームで、ふたりの美人女子大生が絡み合いお互いの身体をむさぼっている。部屋中に発情した雌の匂いが充満し、むせ返りそうなほどだがとうのふたりにとってはそれすらも興奮のスパイスだ。
「あんっ、あっ、あっ!おっぱい揉みながら乳首吸われるの......気持ちいいっ!あはんっ!」
「んむ、ちゅぶ、んはっ、ふふふ、涼香ぁ。おっぱいもすごくえっちだけど顔はもっとえっちなことになってるよぉ」
「だって、だってこんなの、平気なわけ、な......い......んはぁんっ!こ、こっちだって、うりゃ!」
「んひいいっ!ちょっと、いきなり乳首摘まみ上げないでよ!アヘ顔晒しちゃうでしょもう!」
「あははっ、真希の痴女顔すきぃ。エロ過ぎておまんこ大洪水になっちゃう♪」
「こら、涼香みたいな美人がおまんこなんて言っちゃダメじゃない!ドスケベ女って思われちゃうでしょ!」
「別にいいんじゃないかしら。私もさっきあなたと同じ中身が『俺』の淫乱女子大生に変えられちゃったんだから♪ドスケベ女でなにも間違いなんて、あっ、ああっ、ま、まって!そんな、いきなりクリトリスこすられると、あはあああんっ♪」
自分の肉体をモノのように揶揄しながら、お互いの淫らな姿で昂ぶっていく。
「うあっ、ちょ、やめ、んあっ!んはあっ!ソコぐちゅぐちゅ弄られると、イイ.....!」
「んふぁっ!あ、あんっ!涼香のカラダも真希のカラダも最高すぎる......!見て興奮して、触って気持ちよくなって......あはあああん♪幸せすぎるぅ♪」
「りょ、涼香......そろそろ......か、貝合わせ、やろう......んううぅうっ♪」
「ん、んはぁんっ!ええ、いいわ。一緒にイキましょう。そして、ふふふ......」
すっかり全裸になってしまっていたふたりは体勢を整えると、ぐちゅりと秘所をキスさせた。
「んっ!」
「んうっ!」
それだけで背中に電流が走る。
「そ、それじゃあ......」
「ええ......」
示しを合わせて腰を動かし始める。
ぐちゅぐちゅといやらしい水音とともにふたりの嬌声が大きくなっていく。
「あっ、あっ、ふあっ!ああんっ!やっぱこれ、すげえ!こ、腰が、砕けそうだっ、んあああっ!」
「んあっ、あんっ、んうっ、んあぅんっ!女のカラダってズルすぎるっ!こんなに気持ちいなんて!ふああああっ!」
「んんっ!ふわっあっぁんんっ!っあっんんっ!あんんっ!ううぅ♪も、もうすぐ、イケそうだっ、涼香の心を染めるのを、忘れるなよっ!んあああっ!」
「あっううぅんんんっ!ぁぁあっんんっ!ふわっんんっ!そっちこそ、真希の魂を完全に俺色に染め上げて、俺に尽くすことだけに存在意義を見出せるようにしろよなっ!あはああぁんっ♪」
喘ぎ悶えながらふたりは絶頂後が楽しみで仕方ないという表情でお互いを見つめ合う。
そしてほどなくしてその時は訪れた。
「「あっっ、ああッ!!♡♡あっあっ、あっッ、ああっ!!♡♡いく、イクッ、書き換わるっ♡染められ...... あッあッあ♡ああああぁアァアアア!!♡♡ 」」
ふたりはアソコを擦り付け合ったまま腰を大きく震わせ絶頂した。
床は愛液で水浸しになり、乱雑に脱ぎ捨てられた衣服がここで何が起こったのかをありありと物語る。
「はぁ......はぁ.....ふひっ、私の心......塗りつぶされちゃった......あぁん、佑次ぃ♡すき、すきぃ♡」
「んぁ......ふぁぁ.....くふふ、佑次くんのためなら、これまでの人生を捨てていくらでも淫乱なメスになれるわ.....もう他には何もいらない♡」
「............姉貴......涼香さん......」
そこで見ていることしか選択肢がなかった恭也は小さく身体を震わせる。
あまりにも多くのものを奪われてしまった。
だが、ここまで来ても、これだけの目に遭っても、悪夢が終わりを告げることはなかった。