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【憑依モノ祭り12日目】幸福論

作者:皆月ななな


注意
本作には気分の悪くなるような描写が多数含まれております。
自己責任でお読みいただける方のみこの先にお進みください。
そうでない方は回れ右をお願いいたします。


望月陽毬(もちづき・ひまり)。それがわたしにつけられた名前だった。
お父さんとお母さんが付けてくれた、大切な名前。
日なたで、まりをついて遊ぶように、いつもニコニコとみんなの輪の中心にいて欲しい。そんな願いを込めて付けられた名前だ。
その願いどおり、わたしはすくすくと育った。何の苦労もせずここまで育ってこれたのは、きっと家族や先生、友達のおかげ。とても感謝している。
わたしにはかけがえのない、1歳年上のお兄ちゃんがいる。生まれたときからわたしのことを大事にしてくれて、家族のアルバムにはわたしとお兄ちゃんが揃って映っている写真がいっぱいだ。
お兄ちゃんはわたしのことが大好きだ。

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「あっ、んっ……そこ、だめぇ」わたしは恥ずかしそうに言う。
わたしの部屋のベッドのスプリングがギシギシとリズムよく音を立てる。
「陽毬……でもここめっちゃ濡れてるよ?」
わたしの中にお兄ちゃんの熱いモノを挿れながら、お兄ちゃんが言う。
「うおっ……陽毬、すげぇっ……!」
「言わないでぇ……だ、めぇ……っ……んぅっ♡」
また、イッてしまった。お兄ちゃんは最近、わたしの気持ちいいところが分かってきている。

お兄ちゃんとセックスするようになったのは、多分去年──高校1年生の冬が終わるくらいの頃だったと思う。
お父さんもお母さんもいない時、お兄ちゃんと一緒に映画を見ていたら、お兄ちゃんがわたしの胸を見ているのに気づいた。
「お兄ちゃん?映画見ないでどこ見てるの?」
「あっ、えっ、違うんだ陽毬、その」
わたしはお兄ちゃんに寄り添いながら言う。お兄ちゃんと私の吐息が触れる距離まで。とびきりの艶めかしい笑顔を作る。
「いいよ、お兄ちゃん。わたしの身体に興味持ってくれてありがとう」
心からの感謝だった。

それ以来、数限りなく、何度となく、わたし達はセックスしてきた。
「陽毬っ……オレもう、イ、くっ……」
「うん、『また中に出していいよ』、お兄ちゃん……今日大丈夫な日だから♡」
わたしはとびっきりの笑顔でお兄ちゃんを抱きしめながら、自分の脚をお兄ちゃんの脚にからめて、お兄ちゃんのモノがわたしから抜けないように、ホールドしてしまう。
「陽毬……うっ……!」
わたしの中に脈打つものが、早いリズムで膨張と収縮を繰り返し、熱いものが吐き出される。

わたしは射精の快感のあと呆けたようなお兄ちゃんを見ながら、「今日もいっぱい出たね……♡」と呟くのだった。

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お兄ちゃんとは幾度となくこうしてセックスしてきた。
戸惑いながら始めたことだったけど、最近は両親が出かける時はいつも、お兄ちゃんから誘ってくるようになった。

シャワーを浴び、慣れた手つきで下着を身につける。
今日は日曜で、お父さんとお母さんは朝から用事でお出かけ。わたし達は朝から早速セックスしていたというわけだ。
鏡を見れば、細くて絹みたいな黒髪、艶やかで血色のいい肌が自慢の、わたし自身の顔が映っている。
自慢ではないが、お母さんがモデルだったこともあって元々受け継いだものがいい。それにわたし自身もちゃんとケアしている。ナルシストではないはずだけど鏡に映った自分に見惚れてしまうことが時々ある。
胸も今は少し小ぶりだけど、お母さんの大きさを見ていると自分ももう少し大きくなるのかな?と思う。まだ高校生だし、焦ることはないのかもしれない。

服を着る。うちの高校の制服はなかなか可愛くて、普段は休みでも着たりすることがあるのだが、今日は淡い黄色のニットと黒のショーパン、という組み合わせにタイツを履く。おしゃれは我慢、と言うけど最近は寒くなってきたし、さすがに防寒はしないとね。

「じゃ、お兄ちゃん。いってくるね」
「おう、気を付けろよ?」
他愛のない言葉を交わしてわたしは家を出る。

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友達と合流して談笑しながらカラオケに行く途中、向こうから陰気そうな感じの男子が歩いてくるのが見えた。
肌は吹き出物で荒れ、髪は油で少し光っていて、姿勢も悪い。そしてキョロキョロして何かに怯えているよう。あれは……

「ね、陽毬?あれ、陽毬のお兄ちゃんと同じクラスの……」
浦辺陰生(うらべ・かげお)だ。わたしは心の中で呟いた。友達の顔を見回すと、まるで汚物でも見るような目で彼を見ているのがわかった。
「ヤバ、なんかされそうじゃない?」
「流石に大丈夫でしょ」
「でもさ、目つき怖くない?めっちゃこっち見てるじゃん」
それはこっちが見てるからでしょ、と言いかけたけどすんでのところで飲み込む。
浦辺陰生は、じっと──わたしを見ていた。
ちくり、とわたしの心に生理的な嫌悪感が走る。わたしはそれを全力で押さえつける。
わたしは彼と目があったのを自覚した瞬間、最大限に微笑む。まるで救いの女神のように。

ぎょっとした光が彼に灯ったように見えたあと、陰生は猛ダッシュで走っていった。

「うわ、見た?なんでいきなり走ったの」
「わかんない……でも良かったね遠ざかっていって」
と、嬉しそうに話す友人。
「ところでアイツの名前なんだっけ?」
友人の1人が、わたしの方を見て言う。

わたしは頭を少し振りながら答える。
「わたしも分からない」

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わたしがこの世に生まれてから、17年が経った。お兄ちゃんは18年だ。
運命の日が来ようとしていた。

わたしには確認しておかなければならないことがあった。
学校の近くには結構大きな公園がある。
今日の放課後。多分、あいつはそこに来るはずだ。そして。
わたしの胃がキュッと収縮し、胃液がぐっとせり上がってくるような感覚に襲われる。
いや。わたしは大丈夫。行って見届けなければ。

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公園のとびきり人気のない場所に、あいつは予想通りに来た。
先回りしていたわたしは、隠れながら一部始終を見届けた。

お兄ちゃんは金属バットを持って、わたしには向けたことのないような不気味な笑顔を浮かべていた。
浦辺陰生は、何の抵抗もせず、ただ顔を涙や鼻水やよだれでグシャグシャにしながら、なすがままになっていた。
身体には無数のアザができていて、このことが、これまで1回や2回では済まされないぐらいに何回も、何回も、何回も、何回も、繰り返されているのがわかった。

「おいおい、吐いてんじゃねえよきったねぇなぁ」
笑いながらお兄ちゃんが言う。周りにいるお兄ちゃんの取り巻きも乾いた笑い声をあげる。

それから先は、わたしから語ることはできない。
わたしは青ざめながら、回り道をして家に帰った。どうしても我慢できず、一度途中の公衆トイレで戻してしまった。

家に帰るとお兄ちゃんが屈託ないいつもの笑顔で出迎えてくれた。
「おかえり、陽毬」
わたしも笑顔を作って言った。
「うん!ただいま~!」
いつもどおりを装いながら。

浦辺陰生が自殺したのはその次の日だった。

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浦辺陰生。それが俺に付けられた名前だった。
母親は俺を生んですぐに弱って病気で死んだ。父親は母親をよく殴ってストレス解消していたらしいが、その母親が死んだのは生まれて間もない俺のせいだと父親は思った。
だから、「生まれてこなければよかった」。そういう呪いを込めて付けられた名前が陰生だった。
俺が成長するごとに、父親の暴力はひどくなり、最後はアル中で会社をクビになり、病気になって死んだ。
親戚の叔父が父親に世話になっていた(本当かどうかわからないが)とかで、俺と父親が住んでいたボロアパートの家賃だけはなんとかなったものの、叔父はそれ以上の面倒は見たがらず、家に時々様子を見にきては帰るという感じだった。
学費と生活をするためにバイトを始めたが、卑屈に育ってしまった自分の性格はどうにも変えられない。
不器用さも相まっていつも怒鳴られ、どれも長続きしない中、なんとか高校までは通った。努力はしたほうだと思う。

でも、努力してもダメなんだと悟った。
それは全て望月修(もちづき・おさむ)。あいつのせいだ。

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俺は簡単に言えばいじめを受けていた。
望月修は、金持ちで、イケメンで、美人の妹がいて、スポーツ万能で頭がよく、母親はモデルで父親はこの地域でも有名な警察のエリート幹部だった。
きっかけが何だったのか、今となっては思い出せない。多分目があったとか、顔がムカついたとか、そんな理由だったと思う。

いつしか放課後に連れ出され、金をせびられた。
あいつは別に金が欲しいわけではなかった。
俺が必死に働いて稼いだ学費と生活費をその場で銀行から引き出すことを強要され、あいつは奪ったその場でビリビリと破いたりドブの中に捨てて俺に拾わせたりした。
暴力もだんだんエスカレートしていった。体力もない俺ではかないっこなかった。
警察に相談したが、真面目に聞いてくれていた警官が数日後に「まあ、よくある話だから」「君の言い分ではそうかもしれないけど」などと口を濁すようになり、最後には連絡しても今忙しいと取り次いでもらえないようになった。
あいつの父親が警察のエリートだからなのか、真相はいまでもわからない。

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土曜のバイトの後は日曜のバイトだ。行く前から疲労困憊、空腹で目の焦点が定まらない。
俺の前方から、視線を感じた。キラキラした女子たちが歩いてくるのが見えた。
うちの高校の女子だった。高そうな服に身を包み、休日を満喫しているといった感じだったが、目は俺の方に向いていた。まるで汚物を見るような目だった。
そのうちの一人に目が行った。あれは──望月陽毬。あいつの妹か。

望月陽毬は学校でもひときわ目立つ美貌の持ち主だった。
正直なところ、あいつの妹であるということを差し引いても、男としての欲望を抑えきれなかった。
妄想の中で、何度も望月陽毬を犯してオナニーした。想像の中で、何回も制服の下の下着やその下の裸を想像した。憎い憎いあいつと血や遺伝子を分け合っている女を、この手で犯しているという妄想で陰茎を硬くさせた。

見るまいとしても、目が引きつけられてしまう。均整の取れたスタイルに、栗色に染められた髪。汚い俺と対極に位置する、その美しさに釘付けになった。

次の瞬間。

「キモ!ねぇ、あいつ誰?マッジでキモいんだけど、超ガン見されてる私!通報していいかな?」
大声で、俺の視線を外そうとするかのように身をよじりながら、望月陽毬が叫んだ。
「ちょっと陽毬、声大きいよ」
「いや違うし、聞こえるように言ってるんだよ」
ゲラゲラと笑う女子たち。

俺はいたたまれなくなって、走ってその場から逃げた。

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そして、いじめが日に日にエスカレートしていった。公園で滅多打ちにされた次の日、俺は自ら命を絶った。

望月家に復讐する。それが俺の唯一の願いだった。
俺はあいつらが、羨ましかった。生まれが違うだけでどうしてこんなに人生が違うのだろう。
願わくば、あいつらから奪ってやりたい。何を?全てをだ。幸せを。地位を。財産を。友人を。家族を。
奪って捨てるのではない。俺が、それを、いただくのだ。

アラユルモノヲウバッテオレノモノニシタイ

日に日にその思いは強く、強くなった。
俺は毎日、あいつに殴られたときに出た血で願望をノートに綴った。
"俺としての"最後の日、命を絶ったときに出た血が、最後にノート全体を赤く染めた。

そして、奇跡が起きた。

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俺は死んで、空中から自分を眺めていた。幽体というのだろうか。
ああ、俺は死んだのだなという自覚と同時に、もう苦しいことで悩まなくても良いのだという、安らいだような感覚だけがあった。
このあと、どうなるのだろうか。天国に行くのか、はたまた自分で命を絶ったから地獄に行くのか。

しかし、そこから不思議なことが起きた。

俺、つまり陰生が──起き上がったのだ。俺はここにいるのに。
俺が何が起こったのかわからず呆然としていると、俺の肉体は、早回しで、まるで逆再生されるかのように、後ろ向きで外に出ていった。
俺だけではない。俺の身体を追って外に出てみてわかったのだが、普通は東から出て西に沈むはずの太陽が、すごい速さで西から出て東に沈んでいった。
俺は相変わらず幽体のままで、ふわりと宙に浮くことができた。

時間が巻き戻っている。

俺は直感的にそう思った。幽体になることがあるのだから、時間が巻き戻ってもおかしくないのかもしれない。
しかし、俺はどうすればいいのだ。俺、すなわち浦辺陰生は巻き戻った時間の世界では生きている。
もしかしたら、どこかの時点で俺の身体に戻ろうとすれば戻れるのかもしれない。
しかし、戻ってどうする?もう一度あの地獄のような人生をもう一度やり直すのか。それだけは嫌だ。

ならば、他人の身体に入ろうとすればどうなる?もしかしたら憑依できるだろうか?
望月修……あいつの身体に入ることができるのか。
あいつの人生を、奪って。

いや、違う。それでは復讐にならない。
あいつの人生を台無しにしなければ、意味がない。
ならば。

俺は巻き戻っていく世界の中で、望月陽毬にあたりを付けた。陽毬の過ごしてきた17年間を「早戻しで」見ていった。
高校生から中学生、小学生、幼稚園……どんどんさかのぼっていった。陽毬は、幸福そのものだった。

まさに、陽毬が産まれ、最初の産声をあげているところを見て、さらに巻き戻った。
「母親の産道から陽毬の身体が出ているところ」。
そこで、俺は幽体のまま陽毬に近づいていった。
そして、陽毬に手を伸ばした。
スローモーションになったような感覚のあと、俺は急に母親の産道を通っている途中の、陽毬の身体に吸い込まれていくような感覚を受けた。

そして、俺は……わたしは、陽毬として産まれた。

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再び、時間は前に進んでいた。
「大変。あの子産声をあげてないわ」
という声がどこからか聞こえてきたので、俺は慌てて産声をあげた。なかなか、さまになっていたと思う。
どうやら、そのまま理性は保てているらしい。世界が大きく見える。実際は俺が小さくなったのだろう。
股間には喪失感があった。こんな赤ん坊の身体でも女は女なんだ。
そのまま、何も考えずに一生懸命泣き続けた。
気味悪がられても困る。俺は必死だった。

俺には予想通り、陽毬という名前が付けられた。
モデルの母親と警察エリートの父親が付けた名前。
日なたで、まりをついて遊ぶように、いつもニコニコとみんなの輪の中心にいて欲しい。そんな願いを込めて付けられた名前らしい。虫酸が走る。
自分の娘が、産道を通った瞬間からすでに男に身体を乗っ取られているとは夢にも思わずに。

その願いどおり、俺はすくすくと育った。何の苦労もせずここまで育ってこれたのは、きっと何も知らないで俺にちやほやした家族や先生、友達のおかげだろう。とても感謝している。
俺にはかけがえのない、1歳年上のお兄ちゃんがいる。憎い、とても憎い、かけがえのないあいつだ。絶対に早く死なせてはならない。苦しませなければ。

生まれたときから俺のことを大事にしてくれて、家族のアルバムには俺とあいつが揃って映っている写真がいっぱいだ。気分は悪いが、信頼させなければ。
「お兄ちゃん」は「わたし」のことが大好きだ。これは、一番好都合なことだった。

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俺は二回目の陽毬としての、女としての人生を、一回目では考えられないほど充実して過ごした。
自分が泣けば大抵のことは叶えてもらえたし、笑えば周りを幸せにすることができた。欲しい物、洋服、習い事、なんでも貰えたし、させてもらえた。
陽毬として過ごす「わたし」の人生が進んでいくたび、随分と、自分の一回目の人生が馬鹿馬鹿しく矮小なものに思えた。今の「わたし」は産まれてからずっとお嬢様で、浦辺陰生は違った。ただそれだけのことなんだな。

小学校の時、初めての生理が来た。
知識としては女子だけの授業で習っていたし、俺の生理は遅いほうだったから周りから情報は得ていたものの、やっぱり初めは衝撃だった。
子供が産める身体になってしまった。

女はいつもこんな経験をしているのか、と不安に思った。その頃、小学生女子を対象にした変質者が学校周辺に出たと聞かされたときは、俺自身が改めてその対象になったと気づかされ震え上がった。
「大丈夫だよ、陽毬は俺が守る」と言って胸を張る、生理の心配も何もない小学校高学年男子のあいつを見て「ありがとう、お兄ちゃん」と言いつつ、やっぱり修のほうを乗っ取るべきだったかと男が羨ましくなったりもした。

しかし、中学、高校と上がっていくにつれ、俺自身の身体が女らしく成長してきてからは、その気持ちも薄れてきた。
乳房が大きくなりブラジャーを付け始め、身体は女らしくなっていっても、本質的に考えていることは男のままだったから、毎日自分の身体をネタにオナニーをした。

鏡の前で裸になっても、産まれたときから自分の身体なのだから何もやましいことはないのだが、それでも他人の身体を見ているような背徳感があった。鏡越しに自分にキスは数え切れないほどした。舐め回した。
男だった頃、あれほどまでに見たいと願った女子の肌が自分のものとしてそこにあった。表情もポーズも好き放題にできる。
幼い頃、モデルの母親と一緒に風呂に入る時も興奮を抑えるのに一苦労だったが、その時この目に焼き付けた「お母さん」の身体のように、いやそれ以上に、俺の身体自身が女として次第に成熟していくのだ。そしてそれは俺自身が出している大量の女性ホルモンの影響であり、今や俺自身のものとなった望月陽毬の遺伝子が設計図となり、俺の身体を肉付きの良い大人の女の身体へと変貌させていくのだった。俺は美しく、美しくなっていった。

鏡に映った俺──望月陽毬の身体を見ながら自分の胸を揉み、男だった時よりぷっくりと大きく弾力のある乳首を摘み、クリトリスを弄った。はじめは男の時を思い出し、乱暴にやっていたのだが痛いだけで、もっと優しくしたほうがいいことが分かった。

男時代の俺に犯される妄想で何度もイッた。陽毬の声を使って妄想の中の俺自身に「酷いことをしてごめんなさい、陰生様許してください、わたしの体を自由にお使いください、罰をお与えください」と謝り懇願し、俺のペニスのサイズと同じくらいの大人のおもちゃを挿れて俺の細くて絹みたいな自慢の黒髪を振り乱してよがり狂った。
それに飽きると男性アイドルに乗り移った自分に女としての俺が抱かれる妄想でイッた。
自分の女の身体でオナニーしながら、気分は自分を犯している男の側にあった。

学校の制服はもちろん、遊びでバイトしていた喫茶店の可愛い制服を汚してしまったとウソをついて持ち帰り、コスプレした自分に酔って散々オナニーをした。
気に入って買った下着の匂いを自分で嗅ぎながら興奮してオナニーしたりもした。男の時には触れることは愚か見ることすら叶わなかった女子高生の制服は、今や俺が毎日着なければならないものだった。考えうる一番魅力的な女であるために、俺自身が俺の性癖の体現者となった。
俺を信頼している女友達が俺の家でお泊まり会を開き、替えの下着を忘れていったときには友人共の忘れていったそれを嗅ぎ、被り、履き、自分の愛液を擦り付けてイき、何食わぬ顔で洗って返したら後日「陽毬の家の洗濯物いい香りだね」と柔軟剤の商品名を聞かれたのは笑えた。

そんな、男でありながら女の身体をして、一人のときにはうす暗い、オスの獣のような性欲を発散する俺が、外ではお淑やかで明るい女子高生としてニコニコ振る舞っているという事実そのものに興奮して勃起したクリトリスをショーツの上からなぞった。

女は何回でもイケるのに、性欲としては男の性欲だったから、男のときにしたオナニーの回数より、この17年間でした女としてのオナニーの回数のほうが遥かに多くなっていた。

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外見上は「可愛い妹の陽毬」でいる必要もあった。復讐を忘れたわけではなかった。過去の陽毬の物真似をする必要はまったくなかった。
なぜなら、産まれたときから俺自身が正真正銘の陽毬だからだ。逆に、前の世界の陽毬のように振る舞ったら、キャラが違って別人と思われ怪訝な顔をされるだろう。
「本来の陽毬」より「俺の陽毬」のほうが、随分と大人しいキャラとして育ったと思う。

一回目の人生ではバカだった俺が、この優秀な身体の脳みそで考えているせいか、思考がどんどんと纏まっていった。
復讐相手の実の妹の脳みそのスペックを使って復讐計画をさらに緻密に練る。こんな愉快なことがあるだろうか?

あいつとセックスするようになったのは、多分去年──高校1年生の冬が終わるくらいの頃だったと思う。
父親も母親もいない時、あいつが勧める下らない恋愛映画を見ていたら、あいつが俺の胸を見ているのに気づいた。寒気がした。
こいつ、あからさまに見てきやがって……最近大きくなってきたから目立つとはいえ、自分の妹だぞ?
と、思った矢先に俺の中に一つのアイデアが浮かんだ。

「お兄ちゃん?映画見ないでどこ見てるの?」
「あっ、えっ、違うんだ陽毬、その」
俺はわざとらしくあいつに寄り添いながら言う。あいつと俺の吐息が触れる距離まで。とびきりの艶めかしい笑顔を作る。
「いいよ、お兄ちゃん。わたしの身体に興味持ってくれてありがとう」
心からの感謝だった。これであいつへの計画は一歩また進む。

そして、あいつとのセックス。恥ずかしがっている振りをしておけばあいつが男の性欲を俺にぶつけてきた。
あいつの前では、俺はオナニーなど自分でしたこともない、守ってあげたい妹を演じてやった。
女としてするオナニーも強烈だったが、女としてのセックスはさらにその上をいった。男のオナニーなどあの快感の前にはゴミのようなものだ。
身体の相性も幸か不幸か良く、挿れられた瞬間毎回声が出た。
「お兄ちゃん大好き」と、何度もウソをついた。実際はあいつをちょっといいバイブぐらいにしか見ていなかった。

初めてのセックスから、全てのセックスをスマホで動画に収めた。
それを見返して自分の痴態をネタにオナニーすることもあったが、それだけが目的ではなかった。最後に都合良いところだけ編集しておけばあとはこいつは、まな板の上の鯉だ。

このまま「陽毬」として再び死ぬまで過ごしていたのではあいつに絶望を感じさせることなどできない。
俺の復讐は、自爆テロとして完成する。

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ある日、自分と出会ってしまった。
友達と合流して談笑しながらカラオケに行く途中、向こうから陰気そうな感じの男子が歩いてくるのが見えた。
肌は吹き出物で荒れ、髪は油で少し光っていて、姿勢も悪い。そしてキョロキョロして何かに怯えているよう。あれは……俺だ。

「ね、陽毬?あれ、陽毬のお兄ちゃんと同じクラスの……」
俺だ。浦辺陰生だ。しかし、学校カーストの頂点に位置する女子の俺がカースト最下位、賤民の俺を知っているのはおかしいから、心の中で呟いた。友達の顔を見回すと、まるで汚物でも見るような目で陰生を見ているのがわかった。結局こいつらも同じか。俺の苦しみなんてわからない。
「ヤバ、なんかされそうじゃない?」
「流石に大丈夫でしょ」
「でもさ、目つき怖くない?めっちゃこっち見てるじゃん」
それはこっちが見てるからでしょ、と言いかけたが、すんでのところで飲み込む。
浦辺陰生は、じっと──俺を見ていた。
ちくり、と俺の心に生理的な嫌悪感が走る。そういえばあの時、「俺」は性的な目で陽毬を見ていたのだった。女になってわかったが、男の目線は女に刺さる。俺も含め、女は常に見られてるかどうか、意識しているからだ。俺はいまや、きっとクラスの男子からは何回も何回も想像の中で下着や肌を晒し、犯され、射精されているのだろう。中身が男とも知らずに。
視線が俺に突き刺さる。一瞬で。胸、太もも、ふくらはぎ、唇、また胸。冷えた爬虫類のように俺の身体を舐め回すような目。しかし、あれは俺なのだ。俺は嫌悪感を全力で押さえつける。
俺は「俺」と目があったのを自覚した瞬間、最大限に微笑む。まるで救いの女神のように。

ぎょっとした光が灯ったように見えたあと、陰生は猛ダッシュで走っていった。

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俺がこの世に再び生まれてから、17年が経った。あいつは18年だ。
運命の日が来ようとしていた。

俺にはあいつに復讐する前に、最後に確認しておかなければならないことがあった。
いくつか、一回目の人生のときとは違うこともたくさんあった。
俺は陽毬として何度も自分をネタにオナニーしているが、「一周目の陽毬」はそんなことはしていないだろう。
それに、一周目の陽毬は17年の間に彼氏を作っていたことが、この身体を乗っ取る前に早戻しでみていたときに分かっている。それも改変されている。
細かいことを言えば、茶髪よりも黒髪のほうが可愛いと思い俺の好みで染めていなかったり。
一回目の陽毬は俺を罵倒したが、二回目の陽毬である俺は陰生に微笑みかけた。
いくつかの違いがある。
あいつとセックスしていることも含めて、ずいぶんと一回目の世界とは違いがある。

もしかしたら、この世界の俺──いや、浦辺陰生はいじめを受けていないのではないだろうか?この世界のあいつは、単に人の良いお兄ちゃんなのでは?
浦辺陰生がいじめを受けていないとすれば、この世界の望月修に復讐しても修は意味がわからないだろうし、俺も復讐する気が失せてしまう。
それであれば、俺も仕方ない。兄想いの妹を一生演じ続けてやろう。
確認する必要があった。

学校の近くには結構大きな公園がある。
今日の放課後。多分、あいつ──望月修はそこに来るはずだ。そして。
俺の胃がキュッと収縮し、胃液がぐっとせり上がってくるような感覚に襲われる。
いや。俺はもう別人なのだから大丈夫。見つかったとしても単に怯えたふうに泣けばいい。行って見届けなければ。

……そして、結果は変わらなかった。
俺は青ざめながら、回り道をして家に帰った。どうしても我慢できず、一度途中の公衆トイレで戻してしまった。

家に帰るとあいつが屈託ないいつもの笑顔で出迎えてくれた。その場で殺してやろうかとすら思った。
「おかえり、陽毬」
ここで耐えろ。俺も笑顔を作って言った。
「うん!ただいま~!」
いつもどおりを装いながら。

浦辺陰生が自殺したのはその次の日だった。

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前日に死を選んだ俺にとっては、17年ぶりの新しい日だった。
まさかこの日を可愛い女子高生の身体で迎えるなど、17年前は想像もしなかった。

案の定事件はもみ消され、いじめなど問題にすらあがらなかった。
あったのは単に惨めな境遇にあった男が自ら死を選びましたという事実だけだった。
俺は陽毬としてこれからも生き、幸せな人生を送る。だが、あいつだけは。

生理が少し前から来ていなかった。
薬局で買ってきた妊娠検査薬。陽性──俺の中には新しい命が宿っていた。

あいつにセックスのたび、中に出されるたびに言っていた「大丈夫な日だから」は大嘘だった。本当は一番できる可能性が高い日だ。
そのかいあって、ついに。

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俺は「お兄ちゃん」に、折り入って話があると自分の部屋に呼び出した。
俺は制服のまま、ベッドに腰掛けて言う。
「お兄ちゃん……あのね、わたし……」とここでわざとらしく口をつぐむ。
「どうした、陽毬?」
「わたしね……ぐすっ……うぅっ……」
何度となく家族にした泣き真似。演技派女優さながらだ。
「どうしたんだよ陽毬、泣いてちゃわからないだろ?」
俺の髪を撫でながらベッドの横に座り、俺をなだめるあいつに俺は言う。

「あのね、赤ちゃんできちゃったみたい。お兄ちゃんとわたしの赤ちゃん」
目を丸くして絶句するあいつ。俺は泣きべそをかきながら言う。
「お兄ちゃんごめん……わたしがちゃんとしてないから……ごめんね……」
「陽毬、ウソだろ?」
「ウソじゃないよ。妊娠検査薬っていうの使ったの。お医者さん行こうと思うけど、その前にお兄ちゃんに相談しようと思って……」
「陽毬……」
「お兄ちゃん、わたし産みたい。お兄ちゃんの子供産みたいの」
俺の髪を撫でる手が止まり、震えているのがわかる。
しかし、あいつはこう言った。

「陽毬、大丈夫だよ。陽毬がもし産みたいなら俺、責任取るよ」
マジかよ。お前に責任とれないだろ。結局親に頼ることになるんだろ?妹にだけいい顔しやがって。
まあこれも想定のうちだ。
「ありがとう……お兄ちゃん。じゃあ、わたし産むね」
「ああ、頑張るよ俺。まずはお医者さん行って、その後父さんと母さんに……」
「ねえ、ところでさお兄ちゃん。浦辺陰生って人知ってる?」

ピタ、とあいつの動きが止まる。怪訝そうな顔をしてあいつが俺を見る。
「なんでいきなりそいつの名前が出てくるの?」
「ねえ、その人自殺したんだよね?なんで死んだかお兄ちゃん知ってる?」

複雑な、怒りとも気まずさとも戸惑いとも言えない顔。「お兄ちゃん」が「あいつ」の顔を覗かせた。
「陽毬、なんか見たのか?」
「んー、見た?まあ、見たっていうか……それについてさ、お兄ちゃんはどう思うの?」
「……」
無言か。まあそうだよな。妹である俺の前ではいいお兄ちゃんでいたいもんな。じゃあ徐々に本音を引き出してやるか。
俺はベッドの上であぐらをかく。こいつの前で初めてあぐらをかいた。わざとスカートから下着が見えるようにする。今日はお前がセックスの時にその下着興奮すると言っていた下着をつけてきたぞ。
「ひ、陽毬!見えて……」
「でもさあ、やっぱ暴力はよくなくね?こっちは折角バイトして生活費と学費稼いでるのにさ、お前が暴力ふるって全部破いていったらさ。普通に困るよね?」
「陽毬……?何言って……」
「最後の金属バットは堪えたぜ。あそこで死ぬかと思ったわ俺。まあ、死んだんだけどさその後」
「おい、誰だお前?」
急に「お兄ちゃん」の声音が変わる。ああ、これだ。これに俺は17年前、苦しめられ続けたんだ。
陽毬の声帯を17年使ってきた俺の声が震える。
「……いや、誰って……陽毬だけど?」
「嘘つけよ。俺は陽毬が見てないときにお前をボコしてたんだからよ。最後の日はミスったかなと思ったけど、他のは絶対見られてねえよ。お前、浦辺だろ」

「……というと?」
「自殺した浦辺が、陽毬の身体に入ってるんだろって言ってんだよ!陽毬を返せよ!」
いくら冬とはいえ、暖房の効いた部屋の中に居てだんだん白熱してくると熱くてたまらない。下着も男のと違ってピッタリ股間に張り付いているから、結構蒸れる。
こういう時女は楽だ。俺は、ヘラヘラ笑いながら制服のスカートをバタバタさせ、スカートの中に風を送り込ませる。「お兄ちゃん」には今まで見せたこともないような動作だ。

「うーん、半分正解だけど半分ハズレかなあ。でも最初からそこにたどり着くなんて恐ろしくカンがいいね。もしかしてオカルトマニアかなんか?」
「馬鹿にしてんのかお前!」
振り上げられた手に、ひっ、と声が出て思わず防御姿勢を取ってしまう。
あー、陽毬になってからはこれ一回も出なかったのになぁ。
「や、やめてよお兄ちゃん。わたしは陽毬だって!」
「陽毬の真似すんな!」
「いや、これマジで真似じゃないよ、お兄ちゃん。わたしは正真正銘17年、お前と一緒に生きてきた望月陽毬でもあるし、浦辺陰生でもあるんだよなあ」
「マジでお前意味わかんねえぞ、早く陽毬の身体から出てけよ!」
「だーかーらー。んーこれどうするかな……あ、そうだ。じゃあお望み通り出ていってあげるね」
と、俺は身体の所有権を手放す。すっと吐き出されるような感じがして、俺は次の瞬間、陽毬とあいつの身体を見下ろしていた。
うまく手放せるか心配だったが、出来るようだった。もっともこれができないと、次の予定にも支障が出るからよかった。

「お、おい陽毬!?」
「……」
と、次の瞬間、大声で赤ん坊のように陽毬が泣き出した。まるで産まれたての赤ん坊のようだった。その場を転がり、さっき以上に下着が見えるのもお構いなしにジタバタと暴れている。そこに人間としての尊厳はあまりないように見えた。
17歳の女子高生が大声で産声をあげるのは傍から幽体として見ていると不気味だった。きっとあいつも同じことを感じたのだろう。
「見てるんだろ!?なんとかしろよ!」
やれやれ、出ていけといったり世話がやけるやつだ……と思いながらも自分も幽体でずっといたいわけではない。もう自分の身体として愛着の湧いている望月陽毬の身体に戻る。
吸い込まれるような感覚が再びした後、見慣れた視点で少し身長の離れた「お兄ちゃん」こと望月修を見上げている。
「ふう……わかった?要するにね、わたしはもうこの身体が産まれてきた17年前からずっと陽毬なのね。お兄ちゃんと毎日ご飯たべてたのも、小さい頃一緒に魚釣りに行ったのも、エッチなことしたのもぜーんぶわたしだよ。だから陽毬っていうのはもうわたしじゃない?それともあの赤ちゃんが陽毬だって言うの?」
「……」
「あ、ああ。それじゃつじつまが合わないって言いたいの?浦辺陰生が自殺したの、昨日だもんね?」
「……」
真っ赤な顔をして、俺のことを睨みつけたままでいるあいつに言ってわかるかどうかは不明だが、一応説明することにした。
「自殺した瞬間からさ、時間が巻き戻っていっちゃって。最初はお前のこと乗っ取ってお前の人生全部奪ってやろうかと思ったんだけど……それだと面白くないじゃん?だから、お前が大事にしてる妹を乗っ取ってお前の全てをぶち壊そうと思ったの。わかった、お兄ちゃん?」

「……俺を、どうするつもりなんだ?殺すのか?」
分かってないのか分かっているのかは不明だが、とにかく俺のことを睨みつけながらあいつは言った。実の妹に対してなんて仕打ちだ。
「ん~殺すっていうか……自分の立場分かってる?」
「はぁ!?」

分かっていないようだったので、俺は再び身体の所有権を手放し、今度はあいつの身体の中に入り込む。
「うへ、やっぱ変な感じ……」
本当に久しぶりの、男の身体だ。股間になにか「ある」という違和感に若干気持ち悪くなりながら、俺は服を全部脱ぎ捨て、全裸になってから自分の──陽毬の身体に戻る。

「こういうことだってできるわけよ」
「……!?」
今度は本当に驚いたようで、声も出ないようだ。しかし裸の男というのはいつ見ても情けないものだ。
「これが何を意味するかわかる?お兄ちゃん。お兄ちゃんの身体に入って高層ビルから飛び降りちゃえば、それで終わりだよ!」
陽毬として「お兄ちゃん」にこれを言うことが、快感でたまらない。信頼しきって、愛してきた妹が、実は自分が虐めてきた男だった気分はどうだ?

「さっき、『殺すのか』って聞いたよね、お兄ちゃんは」
「違うよ」
俺はいつもと同じような屈託のない笑顔を陽毬の表情筋を使って作り出す。
「『苦しませてから殺す』んだよ」

________________________________________

「おい望月、何か言うことはないのか?」
「浦辺、てめ──」
皆まで言わせない。俺の脚が綺麗にあいつに金的を喰らわせる。たまらず前のめりに倒れ込むあいつの頭を踏み付ける。
「誰が呼び捨てにしていいって言った?浦辺様、だろうが」
「かっ……はっ……」
「うわ、マジで白目剥いてるじゃん。ごめんね、17年も『無し』で来ちゃってると加減わかんないや、はは」
一周目ではろくに食べられず、身体も筋肉も小さく、勝つことは不可能だったろう。今も、女の身体では確かに腕力で叶うことはない。しかし。

「『お兄ちゃん』、わたしが空手やってるって知ってるよね?悪いやつから身を守るためにさ。そしたら日本でも有数の師範に習わせてくれたんだよね」
望月家が総力を挙げて俺の望月家への復讐を手伝ってくれるのは滑稽だった。

「うーん、口の利き方がなってないならここで殺しちゃってもいいんだよ?」
俺はあいつの髪を掴みながら、笑顔を絶やさず言った。
「……浦辺、様……ごめんなさい……」
「そうそう。やれば出来るじゃん。で、」
俺はベッドにもう一度腰掛けると足を組む。

「ねぇ『お兄ちゃん』、俺で何回くらい抜いたの?」
「……え……」
「だからさあ、俺をネタにして何回くらいオナニーしたのって」
「し、してない……ぐっ!」
次はみぞおちに蹴りを叩き込む。殴る、もう一度蹴る。踏みつける。
「嘘だぁ、だってあれだけセックスして、俺の中に勃起した汚ねぇチンコ挿れといて俺で興奮してないことないでしょ?てか失礼じゃね?」
俺の演技にも失礼だし、お前の妹の身体にも失礼だよ、と俺は笑いながら言う。
「まぁいいや。ね、そしたら今から俺の裸見て抜いてみてよ」

あいつの呆然とした顔を見る。
「あぁ!そういえばお兄ちゃんの部屋にエロ本あったよね。わたし以外で抜くなんて失礼だと思うけど特別に許してあげるよ。ポーズ覚えてるから再現してあげるね。実の妹の陽毬ちゃんが!」
そう言って俺は制服を一枚一枚、見せつけるように脱ぎながら「こんなのもあったよな?」と言いながらポーズを取る。
「いや、そそるよな俺の身体?みてよこの身体!多分毎日俺が揉んでるから一周目の陽毬より俺のほうがおっぱいでかいと思うんだよなぁ〜」

俺が全ての制服を脱ぎ、全裸になった時、あいつのペニスは見事に勃起していた。
「ぷっ……お前分かってるの?俺、男なんだけど?お前があれほどまでに気持ち悪がってた浦辺陰生だよ?」
つくづく、男は悲しい生き物だと思う。妹だと分かっていても、さらにはその中に男の魂が入っていると分かっていても、目の前に俺のように魅力的な女の裸があれば、脳は視覚で興奮してしまい、理性を抑えることができず勃起してしまうのだ。
「ほら、良いからシゴけよ。『陽毬ちゃん』が見ててやるから。てかシゴかないと殺しちゃうよ」
俺はあいつのチンコの目の前にしゃがみこみ、唾液を口の中に溜める。
「手伝ってやるからさ。これ使えよ」
そう言うと俺は唾液を口からつぅ、とあいつの陰茎に直接垂らしてやる。すると滑稽なことにさらにあいつのチンコはムクムクと大きく、固くなったように見えた。
「うへ……過去最大デカイんじゃないの?これ。もしかしてお前ドMなのか?そしたらこれ、ご褒美になっちゃうじゃん」
「う、浦辺……様……許して……」
「はよシゴけや変態」
あいつは涙目になりながら陰茎をシゴきはじめる。しぶしぶ、というようにも見えるがチラチラと俺の裸を見ているのがわかる。
「もっと激しく。あと1分で射精しなかったらどうなるか、わかるよね?」
焦ったような、はぁはぁと荒い息遣いが聞こえてくる。俺はキモ……と言いかけるが、それより早くにどくどくと、あいつのペニスから白い液体が出てくるのが見えた。
「あー出てる出てる、射精って気持ちいいよねぇ、俺も男だったからわかるよ。しかも俺みたいな最高のオカズ目の前にしてさあ。てか中身は俺、男なんだよ?その男の胸みて興奮してバッカじゃないの?男だった時は気持ち悪いって触りもしなかったろ、俺を殴るときですら棒とかバットとかでさあ」

しばらく小突いていたが、何も言わないと思ったら、今度はあいつが子供みたいに大きな声で泣き出した。
「うっ……ううっ、浦辺様、ごめんなさい、ごめんなさい、すみませんでした……」
「おいおい、お前は俺がごめんなさいって言ったら許してくれたことあったっけ?」
都合が良すぎる。だから望月家はダメだ。泣けば、喚けば、自分の不幸を回避できると誤った教育を受けているのだ。それは俺自身が、望月陽毬として17年間体験してきた。
でも、これはいいかもしれない。俺もこの身体になってからお得意の涙を流してあいつの泣き言の独唱に加わった。
「浦辺様、陽毬もごめんなさい、罵ってごめんなさい、ゴミを見るみたいな目で見てごめんなさい、視線を身をよじってかわそうとしてごめんなさい」
「浦辺様、バットで殴ってごめんなさい、貧乏人と蔑んでごめんなさい、お金を破り捨ててごめんなさい」
俺たちは謝罪の大合唱をした。ああ、気持ちいい。俺はじわりと、自分のマンコが興奮で湿っていくのを感じていた。兄妹の泣きながらの謝罪をあとで聴くために録音しておくべきだったかもしれない。自分の喉から出てくる陽毬の声の謝罪と、あいつの泣きながらする謝罪の二重奏は、こうしてしばらく続いたが、不意に俺がこう言って止めた。

「さて、殺すかな」

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「pふぉえはwぽg:pl:おbかお@pdw」
声にならない声をあげると、あいつが部屋から逃げ出そうとする。だから無駄なんだって。
もう一度あいつに憑依し、俺の前に正座させる。
「ひっ……ひいい、ひいいぃぃぃ」
人は恐怖に陥ると呼吸なのか何かを言おうとしているのか判別できないくらいの音しか出せなくなるようだ。

「っていうかさあ……被害者ヅラしてんのマジ腹立つんだけど。前の俺にしたことだけじゃなくてさ……お前のやったこと、結局近親相姦だからね?二周目で罪を増やしてんじゃねーよ」
それはお前が、と言いたげな目をした、ように感じた。
「実の妹が誘ってきたら止めるのが兄じゃねぇのかよ!」
と、頬を一つ張ってやる。
自分でも、俺が誘っておいてこんなことを言うのはどうかと思って流石にちょっとニヤニヤしてしまった。

「いやあ、しかし子供が早くデキてて助かったよ」
俺は心からの感謝をあいつに伝える。
「普通に自殺させちゃったらさ、流石に動機もなにもないからちょっと不審じゃん?絶対バレることはないとはいえ、さ。でも妹レイプして孕ませて、責任が怖くてっていうのなら説得力出てくる台本になるからさぁ」
あいつは歯をガチガチ鳴らしている。

ふと、あいつの股間を見ると、先程以上に赤黒く怒張したペニスがあった。大きく破裂しそうなほどに膨らんだソレは、今まで見てきた「お兄ちゃん」の肉棒より一回りも二回りも大きかった。
待てよ。これは聞いたことがあるぞ。俺は望月陽毬の脳で考える。
「生き物ってさ、最期死にそうになると、子孫を残そうと思う本能が一番優先になるらしいんだよなぁ」

俺はニヤリとすると、あいつを無理やり立たせて後ろからしごいてやる。
妹になってから、あいつのチンコを何度となく触ってきたが、こんなに優越感を持ってしごくのは初めてだった。
「俺は一周目に陽毬ちゃんを見ながらこうやってしごいてたわけよ。お前は二周目の『わたし』におっぱい押しつけられながら、泣きながら情けなく勃起してるんだよなぁ。ほら、俺は男のときこういうオナニーをしてたんだぜ?俺のやり方のほうがお前のより気持ちいいだろ?」

女でありながら、「前の人生」では男のオナニーを散々してきた俺。
今まではそんな素振りを見せないよう、ぎこちなくセックスする「わたし」を演じてきたが、もはやその必要はない。
細くて白く、爪先にはお気に入りの薄いピンクのマニキュアをした俺の指先で、柔らかく脂肪のついた手のひらで。俺の胸を背中に押し付けてやりながら、フェロモンをねっとりと染み込ませた若い女の唾液を潤滑油にして、男のときに散々磨き上げた、射精をより効率的に気持ちよくする手技で、素早く何度も上下にしごきあげてやる。

あっ、とあいつの無様な声が出たと思ったら、こんなにどこに溜まっていたのかと思う量の精液が、勢いよく発射されて窓ガラスにへばりついた。
「あーあ、無駄になっちゃったねえ、最期の射精」
俺はくすくす笑う。
「でも大丈夫。もう着床して君の遺伝子は残されてるよ。心置きなく死んでね」

________________________________________

わたしがお兄ちゃんに妊娠報告をした日の夜。
お兄ちゃんは高層ビルの最上階から、窓を突き破って投身自殺した。
目撃者によると、飛び降りたときにはニヤニヤと不気味な笑いを浮かべていたが、「地面に近づいたころ、正気に返ったように」空中で暴れ、そして……
わたしは、その報告を聞くとその場に泣き崩れた。お母さんが気づかってわたしの肩を抱いてくれた。

現場近くに落ちていたお兄ちゃんのスマホからは、動画での遺書と思える撮影が見つかった。
実の妹を何度もレイプし、妊娠させてしまったこと。隠れて浦辺陰生という同級生に酷いいじめを行い、自殺させてしまったことの反省の弁と、死んでお詫びするという内容だった。
加えて、わたしのお腹にいる赤ちゃんのDNA鑑定が済んでしまえばこの内容が裏付けられ、自殺であることは、最早疑いようがなかった。

わたし……まあ、もう済んだからいいか。俺、のすべて計画通りに物事は進んだ。
モデルの母親は「後で身体ごと使うかもしれないから」残しておいた。
父親は出世コースからは当然外れ、廃人のようになりいつも家で何かをブツブツとつぶやいていてうるさいから、今度処分しておこう。

とりあえず、他の男のチンコも味わってみて口直ししてみたいな。
出産のために休学した高校に復学し卒業したら、大学へ行って適当な男でも探すか。

これで俺の復讐は幕を閉じた。




──と思うかい?

________________________________________

大きな病院で。
「陽毬さん、頑張って、頑張ってください!もうちょっとですよ」
出産。陣痛を抑える措置をしてもらってもまだ痛い。しかし絶対に産まなければ。
あの事件があってなお、子供を産みたいと頑張る「わたし」に、お父さんやお母さんは最後には折れてくれたのだった。

出産を終え、息も絶え絶えになりそうになっている俺の眼前に、「陽毬さん、ほら!可愛い女の子ですよ」と赤ん坊を見せてくれる。
びっくりした顔をしたような、産声もあげない赤ちゃんに、俺はこっそりと耳打ちする。

「まだまだ終わらないよ、『お兄ちゃん』♡」

出産。
それは、女の幸せそのものだ。

END

[ 2020/12/16 18:00 ] 憑依モノ祭り(憑依ラヴァーver.) | TB(-) | CM(2)
最高の作品です
ありがとうございます
[ 2020/12/17 09:52 ] [ 編集 ]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2020/12/17 17:02 ] [ 編集 ]
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