身体が重い。寒気がする。額に手を当てればカイロを触ったかのように熱い。
しまった、完全に風邪をひいたと明隆(あきたか)は思った。
窓を全開にしたまま上半身裸で寝れば当然のことなのだが、それでも彼は己の不運を呪った。
「今日、最後なんだけどな……ごほっ、ごほっ、くそう」
ただ授業のある平日なら喜んで休んだだろう。しかし今日ばかりはあの忌々しい校舎にも向かいたい。
というのも今日が最後のプールの授業の日なのだ。
共学の高校には珍しく男女の時間が分かれておらず、ひとつのプールに思春期の男女が30人弱も大挙しながら泳ぐのだ。
当然スクール水着を着た女子生徒の瑞々しい肉体も目に収めることもできるわけで、男子高校生らしく女体に興味津々な明隆は、何としてでもそのラストチャンスを逃したくはなかった。
「よし、プールは見学してでも学校には行ってやる……!」
重たい足を引きずってリビングで朝食を済ませ、家を出発した明隆は照りつける太陽の下学校への道のりを歩く。
体調がすこぶる悪いせいかいつもより長く感じた。
そして学校に着く頃には全身から汗が噴き出し顔を真っ赤にした様子は傍から見ても正常ではなかった。
そして当然、朝のホームルームで明隆の顔を見た担任はすぐさま保健室送りの命令を下した。
「なんでこんな熱で学校に来たの。」
体温計が示す数値を見た養護教諭の長塚紬(ながつかつむぎ)は呆れ顔で横になった明隆を見下ろす。
よっぽど熱が高かったのだろう。
そういえば急いでいて測るのを忘れていたと明隆は思った。
「ごほっ、ごほっ!うぅ〜、紬先生ぇ……頼むから4限までには戻らせてくれよ……どうしても授業に参加したいんだ。」
「あなたそんな殊勝なことを言う生徒だったかしら?とにかく、今は休んでなさい。少しでも回復しない限りは教室の戻ることは許しません。誰かに移したらどうするの。本当なら今すぐにでも帰らせなきゃいけないくらいなのよ?」
体温計を仕舞った紬は白衣を翻しカーテンに手をかける。
「3限の終わりまでに体調が良くなったら、考えてあげる。」
そう言ってゆっくりカーテンを閉めた。
仕方なく明隆は半個室となったベッドの上で、特にすることもなく白い天井を見つめる。
(このまま少し寝れば回復するのかな……)
そう思って両目を閉じた明隆だったが再びカーテンが開いた。
「あとこれ、風邪薬だから飲みなさい。体調少しはマシになるでしょう。」
紬が水入りのコップとカプセルを2錠を差し出す。
そういえば風邪薬も飲んできてなかったと思った明隆はゆっくりと身体を起こすとそれを受け取った。
「ありがとう紬先生。白衣は伊達じゃないな。」
「くだらないこと言ってないでほら、早く飲んじゃって。私だって忙しいんだから。あとしつこいようだけど飲んだらちゃんと安静にしててね。」
無愛想なことを言いつつもちゃんと生徒のことは考えてくれる紬先生。
20代と若く、スタイルもなかなかいいことから校内の生徒、特に男子からは密かに人気を集めていた。
「うん、分かってるよ。」
錠剤を口に含み、水で胃へと流し込む。
ゴクリと喉を鳴らした明隆だったが、誤って水が少し気管へと入ってしまった。
「ぶはっ!げほっ、ゲホゲホッ!」
「ちょっと大丈夫!?ほらゆっくりと深呼吸して……」
咳が顔にかかるのを気にもせず紬は明隆に近づき背中をさすった。
まだ少しゼェゼェするものの、幸い呼吸はすぐに落ち着いた。
「もう大丈夫みたいね、よかった。じゃあ私はデスクで仕事をしてるから、何かあったら声をかけてちょうだい。」
「ありがとう先生。」
応えるように紬は僅かに微笑むと、再びカーテンを閉めた。
(とはいえどうしたものか……)
再び天井を見つめながら明隆は考える。
正直なところたかだか数時間で体調が回復するとはとても思えない。
体調悪いままでも絶対にプールの時間には戻りたいが、それを紬が許してくれるはずもない。なんとかして言いくるめる方法はないのか。
そう考えていると知らず知らずのうちに瞼が重くなっていく。
高い体温を維持し続ける肉体が疲労を募らせているのだろう。気がつけば明隆は深い眠りに落ちていた。
その眠りにつく寸前、紬が咳き込む音が聞こえた気がした。
目が覚めたのはチャイムが鳴るのと同時だった。
慌てた明隆は慌てて飛び起きたが今が何限なのか、これが始まりのチャイムなのか、それとも終わりのものなのか何一つ分からなかった。
もしかしたらもう4限過ぎているかもしれないという考えがよぎるが、ひとまず冷静になってベッド横の置き時計を確認する。
時刻は11時20分。
ちょうど3限終わりのようだ。
我ながら神がかりなタイミングだと明隆は思った。
相変わらず身体は重いが少しだけだるさがなくなった気がする。
とはいえ、熱はまだあるようでこのままではおそらく紬は授業に出させてくれないだろう。
(くそっ……!何とかして抜け出せないか!?)
考えをまとめようとするがボーッとして頭がうまく回らない。
そうこうしているうちに明隆が起きたことに気づいたのか、カーテン越しに紬が立ち上がる音が聞こえた。
(もうだめか……!)
紬のシルエットが近づき目の前のベッド横で止まると、ゆっくりとカーテンが開いた。
「おはよう、目が覚めた?」
「ま、まあ……」
「そう、なら今日は帰りなさい。担任の先生には言っておくから。」
カーテンを全開にした紬が非情にも宣告する。
「なんでだよ!?体調ならさっきよりマシに……」
「いいから帰りなさい。悪化でもされたら私の責任になっちゃうんだから。」
「でも……!!」
「ダメだって言ってるでしょ!」
聞く耳を持とうとしたない紬は、ベッドに手を突いて顔を明隆の眼前にまで近づけた。
「あなたは最後のプールの授業で女の子のスクール水着に包まれた発育の良い身体を視姦してズリネタにしたいのかもしれないけど、その程度で満足するようならあなたを帰らせます!」
「いやでも俺は……!え……?」
一瞬何を言われたのか分からなくなって思考が停止する。
だがいくら待っても理解が追いつかない。
「えっ、あっ、今、なんて……?」
「聞こえなかった?女の子のおっぱいやお尻を見るだけ満足するなって言ってるの。」
やはり理解ができなかった。
紬は冗談でもこんなことを言うような大人ではない。
プライベートでは下ネタのひとつやふたつは言うのかもしれないが、それにしたって普段のイメージからかけ離れ過ぎていた。
何を言えばいいか分からず、呆然と目を合わせていると、強気な表情から一転、紬は笑いを堪える表情を浮かべた。
「ぷくっ、くふふふふっ」
そしてとうとう我慢できなくなったのか、今まで見たことのないような爽快な笑みで爆笑し始めた。
「プッ、アハハハハッ!その顔、傑作だわぁ。まるで飼い主に見捨てられた子犬のようだぞ?鏡で見せてやろうか?あー、可笑し」
腹を抱えて笑う紬の姿にますます混乱する。
こんな風に紬が生徒をからかうところを見たことがない。ましてや男口調で話すことなどもってのほか。
自分が寝ている間に何かあったのだろうか。
「紬先生……どうか、した?」
「どうかしたのか、ですって?見て分からないの?」
そんなことを言われても、先程と外見は変わっておらず、明らかに変化した雰囲気以外に特に異常な点は見つけられなかった。
「そう、やっぱりそうなのね。明隆くんにはちゃんと私が長塚紬に見えていると……むふ、むふふふっ、嬉しい♪」
「本当にどうしちゃったんだよ紬先生。自分のことをまるで他人事みたいに……」
「ねえ、明隆くん。今私の身体を動かしてるのは私じゃないって言ったら信じる?」
ベッドに腰掛けた紬が悪戯っぽい笑みで明隆の手を握る。
「どういう意味だよ?先生の身体は先生のものだろ?」
「ふふっ、いいわねその響き。でもね、今この身体は私のものじゃないの。そう、別の誰かに取られちゃったのよねえ。ねえ、誰だと思う?」
白衣の内側のブラウスを肌蹴させチラチラと谷間が見え隠れする。
体調が悪いにもかかわらず、明隆は自分の股間がしっかりと反応するのを感じた。
「わ、分かんねえよ……そんなの。」
「あ〜れ〜?目の前にいるんだけどなぁ……ハ・ン・ニ・ン♪」
「冗談は程々にしてくれよ先生。どうやったらそんなことできるんだよ!?」
話の本筋が見えて来ないことに少し苛立ちを覚えた明隆は紬の手を乱暴に払った。
それでとうとう観念したのか紬は大きく深呼吸すると核心を話し始めた。
「咳、かけたでしょ。」
「え……?」
「薬をあげた時に、私に咳をかけたでしょ。その時に吸っちゃったの、あなたのウイルス。とびっきり強力なのをね。正直私もまだ信じられないんだけど、私の精神があなたに"感染"しちゃったみたいなよね。」
「そんなことが、あるわけ……」
「ええ、そう言うと思って予め手を打っておいたわ。」
「えっ?うわっ、なんだよ!?……あっ……」
いきなり手を掴まれたと思うと、紬はそれを自分の胸に持って行き、思いっきり押し付けた。
明隆は手のひらいっぱいに柔らかな感触が広がり頭が痺れそうになる。
「うわ、うわっ!あっ!」
「柔らかいでしょう?いま私、ノーブラなの。あなたが寝ている間に外しといたから。」
「うそ、だろっ……!?」
言われてみれば手のひらの中心に小さな突起のようなものの感触があった。
生地が少し擦れたのか、紬があんっ、小さく喘ぐ。
それを認識した途端、明隆の頭が沸騰した。
「っ……!!」
頭が真っ白になり、股間が脈打つ。
あまりの刺激に明隆は射精してしまったのだ。
「うっ……!はぁ……はぁ……」
「……信じた?」
「はぁ……はぁ……ここまでされて、信じないやつなんかいねえよくそっ。替えの下着持って来といて正解だった……」
「ふふっ、よかった。それじゃあ、今あなたができることを考えようか。」
「できること?」
「ええ、あなたは私にウイルスを吸わせることであなたの精神を感染させることができた。じゃあ他の子にも吸わせたら、一体どうなるのかしらね?」
言われて想像する。
もし同じようにクラスの女子を感染させることができたなら、その先に待ってるのは──
「ふふっ、想像してまた大きくなってるわよ。それじゃ、時間もないし行ってくる?それとももう帰る?養護教諭としては後者を勧めるけど……」
「そんなの、決まってるだろ。」
「……!ふふっ、いい表情よ。そんなカオもできたんだ。」
決意は固まった。
スクール水着女子をこの目に収めることなんて生易しいことでは終わらない。
もっとすごいことを、明隆はやる覚悟を決めた。
「本当に大丈夫なの?無理しないほうがいいよ?」
プールサイドの日陰にある見学スペースに座った明隆を、体育教師の武原七海(たけはらななみ)はかがみながら心配そうに覗き込んだ。
他の生徒とは違い、本格的な競泳水着に全身を包み、その上からベストを羽織っている。後ろで結んだポニーテールが肩に垂れ下がりながら動くたびに揺れている。
明隆は同様に重力によって下へ引っ張られた七海の胸をチラチラと見ながらマスク越しに咳払いをした。
「ゴホン、いえ、本当に大丈夫ですからここで見学させてください。」
「そう?ならここでゆっくりと見ててくれればいいけど、辛くなったらすぐに言ってね?」
「ありがとうございます。気にかけてくれて嬉しいです。」
猫を被って模範的な生徒を演じつつ、明隆はまずはこの七海を"感染"させる機会をうかがった。
できれば近くで息を吸わせたい。
そう思った明隆は七海に対して偽りの仮面を被った。
「先生、ひとつだけお願いがあるんですがいいでしょうか。」
「うん?どうしたの?」
七海がこちらに向けて体を傾ける。
だがこれではまだ遠い。
「すみません、あまり大きな声で言いたくなくて……ちょっと耳を借りていいですか?」
少し深刻そうな顔をして、いかにも切り出しにくそうな雰囲気を醸し出す。
何かを悟った七海はこくりと頷くと体をぐっと近づけて顔を目の前に持ってきた。
「どうしたの?」
生徒を想っていることがその真剣な表情から滲み出ていた。
明隆はその優しさを噛み締めながら内心ほくそ笑む。
(できた人間だなあ。でもさ、真面目過ぎると人って損するもんなんだぜ?)
心の中で勝利宣言を告げると、ゆっくりとマスクをしたズラし、何か言おうとしてわざとらしく咳き込んだ。
「あの……ですね、ゴホンゴホンッ!あ、ごめんなさい先生……やっぱり、なんでもないです。」
この至近距離だ。
目には見えないがウイルスが七海の体内に吸い込まれたことを確信した。
目標が達成されると芝居を早々に打ち切って再びマスクを付けてしまう。
「え……?本当にいいの?何か悩みがあるなら打ち明けていいのよ?それとももしかして、私に言いたいのに言い出せないってこと?」
七海は態度を変えた明隆を見てすぐさまいじめを疑った。
報復を恐れて自分に相談することを断念したのかも知れない。
だがそうであるなら尚更彼を大人が守ってあげなくてはいけないと思った。
だが肝心の明隆は口をこれ以上開こうとしなかった。
「いいんです。もう事は済んだので。」
「……?でも……」
「大丈夫ですよ先生。あなたが思っているようなことではないので。安心してください。」
そういえば紬の時は意識がなかったせいでどのように変化するのか見ることができなかったと明隆は思った。感染した瞬間に意識が支配されるのか。それとも徐々に乗っ取られていくのか。明隆は心臓を弾ませながら七海の様子をうかがった。
「分かったわ。でも何かあったらすぐに相談してね。」
七海はニコリと笑うとプールサイドへと向かっていった。
どうやらすぐに意識が切り替わる訳ではないらしい。風邪のように潜伏期間があるのだろうか。
準備運動を終え、七海がベストを脱ぐとそのプロポーションがより露わになる。
引き締まった肉体に女性らしい膨らみが合わさりなんとも艶かしい雰囲気を醸し出していた。健全な男子高校生には刺激が強すぎるとさえ思えた。
「それじゃあ、まずはクロール25メートルを3本から行きましょうか!最初に私がフォームを見せますね。」
そう言って飛び込み台に立つと、見事な入水を見せ泳ぎ始める。
右左右と腕が水をかき、2巡に一度息継ぎをする。さすがはインストラクターの経験もあってこれ以上ないほどのお手本だ。
だが内心明隆はがっかりしていた。
待ってもなかなか自分が望む瞬間が訪れてくれない。
まさか完全に失敗したのか、そう思い始めた時だった。
「カハッ!ゴホッゴホゴホッ!」
プールの中腹を過ぎた辺りで息継ぎに失敗したのか突然咳き込み、胸を押さえながらプール底に足をつけた。
水がなかなか抜けなかったのか、しばらく咳き込んでいたがやがて呼吸が落ち着いていく。
「こほ、こほん。はぁ〜……」
ゆっくりと上下させて深呼吸しているのが分かる。
少し心配になったのか七海といつも仲のいい女子生徒の1人が声かけた。
「七海先生大丈夫〜?」
その声にピクリと反応すると七海は気を取り直してかのようにプール底を蹴り、残り距離を難なく泳ぎ切った。
プールサイドをタッチすると一息つき、こちらに背を向けたまま両手を使ってプールから上がった。
しかしなんだか様子がおかしい。
水面から出た途端自分の両手を持ち上げ具合を確かめるかのように閉じたり開いたりを繰り返す。
そして何かを確信したようにぐぐっと力強く握りこぶしを作ると生徒たちの方に振り返った。
「みなさーん!今日はつまらない授業はなしにして、好きに遊んで泳ぎましょうか!」
にこやかに宣言する七海に生徒たちが驚く。優しい先生ではあったがこんな風に授業を自由時間に変えるような放任主義者ではなかったからだ。
「え!?いいの?泳ぎの練習をしなくて。」
「ええ、今日はプール最後だしたまには思いっきり遊ぶことも大事だと思うの。だから今日はみんな自由に遊んじゃっていいわよ!あ、怪我だけには気をつけてね。」
「やったー!七海先生だいすき!」
生徒たちが喜びの声を上げ次々とプールに飛び込んでいく。
最後まで真面目な泳ぎの練習だと思い、仮病でサボった女子生徒が少し悔しそうな顔をしていた。
一方七海は、生徒が全員プールに入ったことを確認すると、大きく腰を左右させモデル歩きで見学者のスペースに戻ってきた。
明隆の前に立ち、意味ありげな笑みを浮かべる。
「どう?体調は。」
「おかげさまで少し楽になった気がします。"人に移す"と楽になるって本当だったんですね。」
七海の表情から全てを察した明隆は七海と同じ笑みを浮かべて、顔を上げた。
実際、人を"感染"させるたびに自分の身体が楽になっていくのが分かる。
まるで自分に蓄積されたウイルスを人に押し付けて身軽になっているかのようだった。
「ふふっ、先生は風邪を引いたことがないのが自慢だったんだけど、まさかこんな形でこの健康体が侵されちゃうなんて……どうしてくれるのかしら?」
「七海先生が魅力的なのがいけないんですよ?ましてやそんなカラダのラインが出るような競泳水着なんて着ちゃって、ターゲットにしてくださいって言ってるようなものですよ。」
「これだから思春期の男子高校生は困るわ。これは何かがあったときにすぐに救助できるように着ているのであって、あなたの性的興奮を煽るためではないのよ?でも、今となってはあなたの気持ちもよく分かるわ。だって、私の肉体ってこんなに引き締まっててスタイル抜群なんだもんね。あなたの精神(こころ)、しっかりと私に定着したわ。ほら、見て。あなたの興奮で私の乳首、勃起しちゃってる。」
七海は前屈みになると他の生徒に見えないように水着の胸元をぐっと引っ張りその見事な谷間と双丘の頂きにあるぷっくりと膨らんだ桜色の突起を見せつけた。
周りの女子高生と違って大人として成熟した肉体とその最も女性らしい部分のひとつである立派な胸。
その光景はあまりにも刺激的で、既に紬に絞られてなかったら耐えられず射精していたほどだ。
「すげえ……めちゃくちゃエロいよ先生。」
「ふふ、喜んでくれて嬉しいわ。私のおっぱい、彼氏以外ではあなたにしか見せたことないのよ?」
「え?彼氏いるの?うわあ、ショックだなあ。みんなの前では真面目な先生も、夜は男とズコバコやってるのかー。」
「ごめんね、夢を壊しちゃって。でも私が男のオチンポでひぃひぃ喘がされてるのを想像するとすっごく興奮しない?ほら、こんなかんじで……あんっ、激しい、あっ、あっあっ!もっと突いてぇ、あん、あはんっ!……って。」
聞いたことのないような七海の声に明隆の興奮がますます高まる。
目の前の女を襲いたい衝動に駆られるが、ここでは流石に目立ちすぎる。
「ふふっ、物欲しそうな顔をしてるわね。とりあえず隣、座ってもいい?」
「ええ、どうぞ。」
明隆は自分の隣にスペースをペタペタと叩いて迎え入れる。
七海はありがとうと微笑むと、その大きなお尻をコンクリートに下ろした。
「で、どうなんだ?七海先生になった気分は。」
「うーん、正直不思議な感じ。私は七海のはずなのに何かが決定的に違っていて、私のガワはそのままに中身だけすり替わっちゃったような気分。このカラダであることに違和感はないのにそれが堪らなく嬉しくて。これが馴染むということなのかしら。こうして私の口調で喋っていると、武原七海の人格を掌握してるんだと実感するわ。」
プールではしゃぐ生徒たちを眺めながら七海は語る。
「スリーサイズから経験人数、ハジメテがいつだったかも手に取るように分かるの。もう私のプライベートはあなたに丸裸にされちゃってるのよ。意外と性欲が強く週に3回はオナニーしちゃうこととか、乳首を弄られるのが好きとか、全部あなたに覗き見られちゃってのに恥ずかしいどころか興奮しちゃってる。知ってることなのに初めて知るかのように胸の高鳴りが抑えられないわ。これ、だいぶ病み付きになりそう。今頃長塚先生も自分をオカズにしてオナニーしてるんじゃないかしら。」
瞳が潤み、頬を上気させる七海。
気が付けば体育座りで組んでいた両手は彼女の豊満な胸を弄んでいた。
「んっ、ふう……この感覚が心地いい……どうして女ってこんなに気持ちいいのかしらね。実際になってみると益々嫉妬しちゃうわ。あっ、乳首突くのいい感じにぴりりと来る……やっぱり記憶の通り一番弱いのはここなのね、あっ、うぅ〜ん……」
「七海先生ってそんな女の顔もするんだな。でも気を付けないと他の奴らに気付かれるぞ。」
「それはそれで、うふっ、んっ……興奮するんだけど、怪しまれちゃ確かに"次の獲物"が手に入らないわね。あぁ……この疼いてるのに生殺しにしてる感じも悪くない……先生のカラダ、興奮してる……」
授業中にも関わらず湿った吐息を漏らす七海はどう見ても教師に似つかわしくない表情を浮かべてしまっていた。
「はぁ……それじゃ、次は誰に"移しましょうか。やっぱり憧れの絢辻(あやつじ)さん?」
七海の指差した先には、良いところのお嬢様として有名な絢辻光(あやつじひかり)がいた。
続く