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【憑依モノ祭り13日目】くノ一ひょうい忍法帖

作者:ドーン



第1話 拾った女

「はぁ……どこかにイイ女、落ちてないかな……」

気晴らしで来たはずの峠道のドライブ中に、俺は溜息をつきながらボヤく。
別に嫁や彼女が欲しい訳では無い。
この場合、俺が求めているのは、中身はどうでもよくて、とにかく欲望を満たしてくれる女である。

街で見栄えの良い女とすれ違う時、この女を自分の好き放題にして遊んでみたいと考えたことは何度もある。
ずっと俺のモノにならなくても良いのだ。
一時の欲望を満たしてくれる都合の良い女でいいのだ。
普通は風俗を利用すればよいだけなのだろうが、それは俺の中で何かが違っていた。
そういう割り切った関係の女ではなく、それこそ、目の前をなにげなく横切った美女をそのままお持ち帰りにして玩具にしてみたいのだ。

「……それじゃあ完全に犯罪者じゃないか……ほんと、救われねえな……」

自分の心の奥底にある歪んだ欲望に呆れながら運転を続けていると、視界の先の茂みから黒い塊がのそりと飛び出してきて道路の端に転がった。
一瞬、熊かと思い、注視しながら車の速度を落とす。
しかし良く見ると黒いのは服……いや黒装束と言うのだろうか、頭を含む全身を覆った服装だった。
車を降りて恐る恐る近づくと、その黒い服がボロボロなだけでなく、全身傷だらけで血がこびり付いていた。
まるで何かの爆発にでも巻き込まれたかのような、酷い有様である。
放ってはおけないので介抱しようとうつ伏せに倒れている体を抱き起すと、胸に男には無い膨らみがあることに気付く。

「えっ!マジで女を拾っちまったよ……」

そして期待を込めて顔を覆う覆面を取ってみたのだが……世の中そんなに甘くはなく、かろうじて生物学上の女と判別できるレベルの容貌……平たく言えばブスであった。
さらに言えば、胸以外の部分は男と間違えそうなくらい鍛えられたゴツゴツとした体である。
落胆しながらも、軽く体を揺らすと意識を取り戻したが、さすがに身動きは取れないらしい。
もちろん病院に連れていくことを考えたが、女が拒否した。
傷は全身の至る所にあるものの、幸い、どれもそれほど深くないようだったので、仕方なく連れ帰ることになった。
俺の部屋に着くと女は礼を言い、自前の丸薬を飲むと、そのまま眠りにつく。


次の日の朝、俺は部屋に漂う匂いで目を覚ます。
部屋は綺麗に掃除され、テーブルの上にはいくつかの料理が並んでいた。
俺の部屋に世話をしてくれる小人は棲んでいなかったはずなので、これは昨日拾った女の仕業であろう。
信じられないことに、あれだけ傷だらけだった体はほぼ回復しているようだった。
驚異的な回復力に驚きながらも、勧められた料理を一口食べると、その美味しさに感動し、思わず女を見つめてしまう。
助けてもらった恩を感じているのか、俺に対して明らかに好意的な視線を向けている。

(これが美人だったらいいんだがな……)

どうにもならないことを考えながら、とにかく美味しい料理を口に運んでいると、カエデと名乗った女は、ポツポツと自分の事を語り始めた。

自分は女の忍者『くノ一』であること。
里を追われて抜け出てきたこと。
追手につかまりそうになったので、自爆するフリをして逃れたことなど。

にわかには信じられない話ではあったが、カエデの驚異的な回復力を見せつけられれば、疑う気持ちも薄れる。

「お願いします。私をここに置いていただけませんか?桔平さん」

話の最後はそう締めくくられた。
不細工とはいえ、女に名前で呼ばれたのは久々のことで少し心が揺れる。
この女を拾ったことに運命的なモノを感じたのも確かだ。

「いや、その……う~ん……」

この話の流れなら十分考えられることで、俺はある程度覚悟をしていたのだが、やはり唸ってしまう。

(ほんと、美人だったらやぶさかでは無いんだが……)

何と言えばよいか分からず、言葉を懸命に探していると、カエデは何か察したように笑顔を作る。

「ああ、あっちのほうの話ですよね?それだったら問題ありませんよ?あなたの好みは掃除中に見つけた雑誌の方で大体理解できていますから……ちょっと待っててくださいね……」

そういって窓の傍に座り込むと、通りを見渡し始める自称『くノ一』。
2階の部屋から覗いた道にはそれなりの人通りがある。

「うん、アレなんか良いんじゃないかしら。それじゃあ……」

そう呟きながら外に向けた顔の表情が一瞬、まるで親の仇でも見つけたかのように憎しみに歪んだかと思うと、突然意識を失って床に転がる。

「お、おい!どうしたんだ!?」

その様子に驚いた俺は、カエデの体を揺らしてみるが反応は無かった。

(コンコン!)

どうすべきなのか迷っていると突然ドアがノックされた。

「なんでこんなときに……」

心配ではあったが、とりあえず息はしているようなので、カエデのことは後回しにして、玄関に出る。
ドアを開くとそこに居たのは、ぱっと見た目、『リクルート中の美人女子大生』だった。
きっちりとした紺のスーツに、白いシャツの服装。
綺麗に結い上げられた清潔感のある髪型。
まだ少女っぽさの残った化粧の薄い若々しい美貌。
胸は控え目に見えるが、スカートから覗く細く引き締まった足が映える、全体的にスッキリとしたシルエット。
そんな美女が明らかに好意的な微笑みを浮かべて立っていたのだ。

「え、えっと、何か用ですか?」

俺好みの女が突然目の前に現れ、戸惑いながら応対すると、何がおかしいのか、女は楽しそうに笑いながら口を開いた。

「ふふふ、私、カエデですよ?」

「……はぁ?……」

目の前の女の名前も、部屋で意識の無い女と同じってことだろうか?
それにしても、様子がおかしい。

「ここに居ても仕方ないので、上がりますね」

オロオロしている俺の許可を待つことなく、美女は勝手に靴を脱いで部屋に上がりこんできた。

「驚くのも無理はないですけど……今はこの女の体を使っているんです、そこに寝ている『カエデ』である『私』がね」

「……」

突然の宣言で固まっている俺に、女は更に言葉を続ける。

「ちょうどあなたが好みそうな女が通りかかったので拝借したのですが……その様子だと気に入って頂けたようですね?」

俺より少し背の低い彼女が、首を軽く傾げて見上げながら悪戯っぽく確認する。
その仕草が男心をくすぐる。

「不本意ですが『私の本体』が殿方に受け入れられないことは理解しています。だから、こうして他の女の体を使って、あなたに喜んでもらうつもりなのですが……お気に召しませんか?」

自称『中身はカエデ』の女がそう告げながら上着を脱ぐと、白いシャツを押し上げている胸が予想以上の大きさを持っていることを主張していた。
もし言っている事が本当なら、目の前の女は『たまたま通りかかった』だけであり、その事実は俺の根っこの部分を奮わせる。
美女が上目遣いで俺に懇願している姿も、今まで味わったことのない快感である。
その上、その体で楽しませてくれるというのである。
断る理由などある訳が無かった。

「い、いや」

「ふふふ、良かった」

俺がなんとか返事すると、女は嬉しそうにシャツとスカートを脱ぎ捨てる。
薄いグリーンで統一された下着があらわれ、彼女の綺麗な体のラインが俺の目を悦ばせる。

(ゴクリ!)

興奮に生唾を飲み込み込んだ俺の目の前にひざまずいた女は、少し幼さが残る清楚な美貌に悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「さあ、桔平さんも……」

俺は急いで上に着ていたモノを脱ぎ捨てていく。
女も俺のズボンに手を伸ばし、手際よく脱がし始める。
やがて、自分の手でパンツを引き下ろして現れたモノを、女は顔を赤らめ愛おしそうに見つめると、勢いよく根元まで咥えこんだ。
そして舌が纏わりつくようなネットリとしたフェラチオが始まった。

「お、おぅふ」

余りの快感に思わず変な声が漏れた。
股間のモノも急速に体積と硬さを増していく。

「さあ、あなたの好きにして良いですよ?」

フェラチオでの仕事を終えた女は、下着も脱ぎ捨て全裸になると、仰向けに寝転がり、股を開いて露骨に誘う。

「うおおおおぉぉぉぉ!」

その言葉で何かが弾け飛んだ俺は女体に飛びつき、興奮の限界突破で意識を失うまで、柔らかい肉を貪り、そして欲望を吐き出し続けたのだった……。


…………


「私を傍に置いて貰えますよね?」

心地よい気怠さの中で目を覚ますと、美女の姿は既に無く、カエデがその不細工な顔で精一杯の微笑みを作って問うてきた。

「あ、ああ……」

俺は素直に頷いたのだった。






第2話 忍法・心移しの術


カエデが使ったのは『忍法・心移しの術』という、相手に自分の意識を移し込み、その体や意識を乗っ取る術だった。
使い方によっては、乗っ取った相手になりすますなどの応用的なこともできるらしい。

この術を使うために必要な要件は2つ。
1つは、術の対象が視認できること。
もう1つは、術の対象に対して術者が、怒りや憎しみといった、強く、そして歪んだ感情を抱いていること。
その感情を『矢尻』にして、自分の意識という『矢』を相手の意識に打ち込むのだ。

カエデの場合、その容姿で不遇な目にあってきたせいで、美しい容姿を持った女たちに根深い恨みを抱いている。
だから今回のような女相手にこの術が使える。

男勝りの体格の持ち主であるカエデは、男たちに混じってもその身体能力の高さは遜色なかったようだ。
だが、男を誘惑・翻弄する役目を担う『くノ一』としては不合格である。
そのハンデを克服するために、秘伝である『忍法・心移し術』を密かに習得し、他の女の体を使うことを思いついたのだ。
そうして、同僚の女の体を勝手に使用して『くノ一』の技を磨いていたのだが……やがて、ばれてしまい、里を追われる身となった。
特に一番多く利用した双子姉妹には相当恨まれ、自爆しなくてはならないくらいまで追い詰められたのだという。

(どうやらこいつも結構イイ性格しているようだな……そういう意味では俺と釣り合う『イイ女』なのかもしれないな……)

カエデの話を聞きながら、俺は内心でなんとなく納得してしまうのだった。



次の日、カエデとの同棲に必要なモノを買出しに行くことになった。
とはいえ、ボロボロの黒装束では無理なので、仕方なく俺のジャージを着させることにした。
下手に女物の服を着ると、この女の容姿が浮いてしまうので、むしろ男物の方が良いだろう。

買い物の途中に事件が起こった。
通りすがりに俺たちを見て嘲笑にした女がいたのだ。

「なに、あの女。あんなに不細工でよく道が歩けるわねぇ~。男の方も趣味が悪いわ~」

取り巻きの男女を数人連れた、どこぞの高飛車なお嬢様といった感じの女だった。
その言葉を聞いて目を細めたカエデは、近くにあったベンチまで黙って歩いて行くと、勢いよく座る。

「お、おい」

俺の制止の言葉を無視して顔を憎しみに歪めると、そのまま意識を失う。
すると俺たちを馬鹿にした女は一瞬固まった後、大声で叫びながら凄い勢いで服を脱ぎ始めた。

「今まで生きててごめんなさ~い!私の人生を今日ここで終わらせま~す!」

取り巻きを含めた周りの人間も、あまりに突然の出来事に完全に固まって見守ることしかできない。
元々露出多めで薄着だった女は、直ぐに全てを脱ぎ終えて裸になると、躊躇することなく通りを走り始めた。

「うふふ、あはは……」

呆気に取られて立ち止まる人々の間を、心底楽しそうに笑みを浮かべながら走り抜ける。
そして人目につく一段高くなった場所に上がると、腰を落とし踏ん張り始めた。
股間から液体がしたたり落ち始める。
蕩けるように気持ちよさそうな表情で尿を出し終えた女は、次の瞬間、呆けた顔で周囲と自分の姿を交互に見つめた後、顔を引きつらせる。

「……え?……なにこれ?……どうなってるの!!?いやぁぁぁぁぁぁ!」

甲高い絶叫が響き渡った。
同時にベンチで意識を失っていたカエデが起き上がる。

「あ~、気持ち良かった。ストリーキングの気持ちが少し理解できたわ。病みつきになりそう」

(……恐ろしい女だ……)

俺はカエデを怒らせないことを心の中で深く誓った。


…………


それから俺たちは、いろんな女の体を使って楽しみ始めた。
俺の部屋から見渡せる範囲だけでは限度があるので、いろんな場所にも出張する。

フィットネスクラブに赴き、男のみならず女たちの視線も集める美人インストラクターと、帰り際に地下の駐車場でヤッテみた。

練習中の体操選手の柔軟な体を奪い、普通ではありえない体位で楽しんでみた。

屋内プールで、水泳選手と水中セックスも楽しかった。

車で出かけて、歩道を歩いている女に助手席のカエデが乗り移ることも多かった。
OL、女子大生、そして、彼氏と楽しそうに談笑していた美少女もその場で別れさせて、お持ち帰りした。


様々な女とヤリまくる日々の合間に、別の楽しみも出来た。
それはカエデから忍術の話を聞くことだった。
熱心に説明を聞きながら俺は呟く。

「俺も何か習得してみたいな……できるかな?」

「できますよ、きっと……」

カエデは笑顔で力強く頷いてくれたのだった。





第3話 襲撃


今日は訳あってカエデとは別行動をとり、ひとりで人通りの多いショッピングモールを歩いていた。

(おっ!イイ女!)

こちらに向かって歩いてくる美女を見つけて、視線が釘付けになる。
二十歳前後くらいだろうか、淡い色柄のワンピースを着たスラリとした細身の女性で、可憐な美しさを身に纏っていた。
これ程の上玉に出会えるなら、カエデと一緒に居るべきだったかと少し後悔する。
そしてまさに擦れ違おうとした時だった。
突然女がふらつき、俺にもたれ掛かって来たのだ。
華奢な体を受け止めると、彼女は恐縮して謝罪してきた。

「ご、ごめんなさい」

「おい、大丈夫か?」

透き通るような白い肌から儚い印象を受けるその体は、見た目通り軽く、そして柔らかかった。

「は、はい。貧血になってしまったようです。もしよろしければ、落ち着くまで少しの時間、付き添って頂けませんか?お礼は致しますので……」

「……わかった」

女の細い声での願い出に、短い沈黙の後、俺はそれに応じた。
頼まれたからではなく、俺なりの思惑を持って女に付き添うと、人混みを抜け、人気の無い場所に連れ込む。
女の方は落ち着いたようで、笑顔になると礼を述べてきた。

「どうもありがとうございました」

「ああ」

適当に相槌を打ちながら、さてどうしてやろうと思案していると、女はニコリと微笑んで続ける。

「……ほんと、お人よしだね、あんた……」

次の瞬間、首筋に何かが当たったかと思うと強烈な衝撃が走り、俺は気を失った……。


…………


「んんっ~」

「おや、お目覚めかい?」

濁った不快な眠りから目を覚まし見上げると、先程の美女が頭の上から声を掛けてきた。

「なにをしたんだ?……くっ!」

女に詰め寄ろうとすると、体の動きが効かず、顔から前に倒れてしまう。
そこで初めて、手足が縄で縛られている事実に気付く。
幸い、腕は手前で縛られていたので、両手を突いて顔面を打つことは避けることができたが、勢いで床に転がってしまう。
なんとか顔だけ上げて見渡すと、壁に大きめの鏡が掛かっている以外に何も見当たらない室内だった。
そんな殺風景な部屋に美女と二人きり……嬉しいシチュエーションではあるが、傍から見れば、監禁状態というやつだろう。
芋虫のように床から女を見上げて、俺は必死に言葉を吐く。

「一体なんだっていうんだ!お前、何者だ?」

「あたしかい?あたしはアヤメっていうんだ。お前のツガイの女に用があるんだよ」

「えっ?」

その名前には聞き覚えがあった。

(こいつがカエデの言っていた双子姉妹の姉の方か……)

ニッコリ微笑んでいればどこぞの令嬢と思えるような可憐な容姿の美女は、その清楚な美貌を憎しみに歪めながら吐き捨てるように言葉を続ける。

「あの爆発で生きていただなんて、ほんと、しぶとい女だねぇ~。おまけにこんな男をつくっているなんて……」

しかし、俺の無様な姿を見下ろして機嫌が良くなったのか、口元に笑みを浮かべる。

「妹がカエデの奴を誘い出しに行ってるわ。お前を目の前でいたぶってやったら、あの女はどんな顔をするんだろうね~、楽しみだわ、ふふふ、あはは……」

アヤメの華麗な笑い声が部屋に響き渡った。


…………


(コンコン!)

双子の妹のユリが、姉が待っているはずの部屋のドアをノックしてから開けると、鏡の前に立っている自分と同じ顔をした女性がこちらに振り向くのが見えた。
その姉は、身だしなみでも整えていたのか、衣服を弄っていたようだ。

「上手くいったわ、アヤメ姉さん。カエデの奴、もうすぐここに来ると思うわ」

「ああ……ご苦労様、順調だな……」

カエデをおびき出す役目を終えて戻って来たユリが報告を終えると、アヤメは服に掛けていた手を降ろし、頷いた。
ユリは床に転がる男に視線を向ける。

「何、この男。今から酷い目に会うのに呑気に寝てるなんて……。さすが、あのカエデのツガイになる大馬鹿モノね!」

そして男を見下ろし、嘲笑を浮かべながらユリは言葉を続ける。

「あとは、あの女の目の前でこいつをいたぶってやるだけね、ふふふ」

「そうだな……」

全てが予定通りに進んで機嫌良さそうに笑みを浮かべるユリの死角から、アヤメの手に握られた無機質なモノが近づく。

(バチン!)

完全に油断していた妹の首筋に触れると、不快な音と共にユリの体に強烈な衝撃が走る。

「ひぐっ!!ね、姉さん……なぜ……」

姉にスタンガンを当てられた妹は、驚きに目を見開いたまま気絶し、床に転がった。


…………


ユリが部屋に戻ってきてから、数分も立たないうちにカエデがやってきた。

「予定通りにいったみたいですね?」

床に転がる『俺の体』とユリの姿を見て、カエデが話しかけてきた。

「ああ」

『俺』はアヤメの声で返事をする。


実はこの襲撃を予想して、俺たちは事前に準備をしていたのだった。
俺はいくつかの忍術の指導をカエデから受けている。
そして『美しい女をオモチャにして弄びたい』という黒い欲望を心の奥底にため込んでいた俺は、その歪んだ感情を利用して『忍法・心移しの術』を使えるようになっていた。
ただし、この術の対象に出来るのは、まさにその欲望を満たせるレベルの美女だけだが、それで十分である。
つまり俺を無力と思い込み、無警戒だったアヤメは、俺に体を乗っ取られていたのだった。

「あとはこの姉妹をどうするかですね?」

カエデの問いに、俺はアヤメの綺麗な顔を歪めてニヤリと笑う。

「お前から忍術の話を聞いていた時に思いついた事があるんだ。任せてくれ」

俺はアヤメの体で笑みを浮かべたまま、壁に掛けられている鏡の前まで歩く。
そして鏡に向かい合うと、自分の意識をアヤメの意識の奥に沈める。
今まで抑え込んでいたアヤメの意識に表面上の行動を任せ、その意識の方を内側から操る事で、視覚・聴覚・触覚などの感覚は共有したまま、間接的に支配するのだ。
こうすることでアヤメは、心の内側からの俺の命令に従って動くロボットのような存在となった。
その証拠に、鏡に映るアヤメの顔から、俺の意思で浮かべていた笑みが消える。

(まずは質問だ……お前たちは『心刻みの術』を習得しているか?)

『忍法・心刻みの術』……敵に捕まった時に重要な情報を漏らさないよう、自分に強力な暗示を掛けて、事実と異なる内容を心に刻み込む……いわば自己洗脳術である。
心の内側からの俺の問いに、アヤメの口が動く。

「……『心刻みの術』?……もちろん習得している……妹も……」

その答えは、俺の予想と期待のどちらも裏切ってはいなかった。

(くくく、いいぞ……では今から送るイメージを自分の中で固めて、『心刻みの術』でお前の心に刻み付けるんだ……)

俺が命令を発すると、鏡の中のアヤメが神妙な面持ちで頷いた。
それを確認した俺は、用意してあったイメージを送り出す。
すると再びアヤメの口が動き出す。

「……私たちは……桔平様とカエデ様の忠実な下僕……お二人に仕えて喜んでもらうことが私たちの存在意義であり、至上の悦び……」

俺が与えたイメージを自分で言葉にしながら、噛み締めるように確認していくアヤメ。
その内容は本来の彼女にとって死を選ぶレベルの屈辱であるはずだが、俺に内側から支配されている今は、素直に受け入れることしか出来ない。
鏡の中に映る、自分を奴隷化する作業を真剣な表情で続ける女の姿は、酷く滑稽で、俺の欲望を満足させるモノであった。

(よし!では仕上げだ!やれ!!!)

アヤメの意識の中でイメージが固まったのを確認して、俺は興奮気味に最後の一押しをする。
それを受けて更に表情の険しさを増した鏡の中のアヤメは、手で印を結ぶと、鋭い気合と共に、自分を屈辱的な存在に変える仕上げの言葉を自ら口にした。

「はぁ~っ!忍法!心刻みの術!!!」

アヤメの凛とした声が響き渡ると同時に術が発動し、この女の意識が強力な自己暗示により書き換えられていくのが、その内側に潜む俺には手に取るように分かった。

(くっくっく、アヤメ、お前、最高だよ!)

心底楽しませてくれた女に感謝しながら、俺は『心移しの術』を解いたのだった。



「んんっ~」

自分の体で意識を取り戻した俺は、体を起こす。
手足を縛っていた縄は、カエデが解いてくれていたようだ。
立ち上がりアヤメに視線を向ける。
彼女は、鏡の前で呆然とした表情で座り込んでしまっていた。
傍に歩み寄ると、彼女はその表情は変えずに俺を見上げる。
これは『心刻みの術』による一時的な後遺症のようなモノで、頭の中で整合されるように記憶の組み換えが急速に行われているのだろう。
しばらくすると呆けていた表情が解けて、瞳に理性の色が戻って来た。
すると突然、アヤメは顔色を変え、恐縮して床に土下座した。

「も、申し訳ありません!主人である桔平様を拉致するなんて……私たち、どうかしていたんです!」

額を床に押し付けながらの謝罪に俺は、内心の笑い声を押し隠して、鷹揚に頷く。

「まあ、これからの働きで取り返すんだな」

「は、はい!もちろんです!桔平様とカエデ様の忠実な下僕として、精一杯仕えさせていただきます!」

後に目を覚ました妹のユリも、同じように自分自身を書き換えさせてやる。
こうして俺たちは美しい双子『くノ一』姉妹の奴隷を手に入れたのだった。





第4話 新しい楽しみ


「アレなんかイイんじゃない?」

ロッキングチェアーでくつろいでいた俺は、隣で同じ様にくつろぐカエデの声に促され視線を向ける。
俺たちはシーサイドホテルのベランダから眼下に広がる白い砂浜を眺めていた。
カエデが指さす先に水着姿の二人の女が居るのが目に入る。
明るいピンクのビキニ姿でショートカットの女と、白いワンピースの水着を着たロングヘアーの女は、俺たちの視線に気づかず楽しそうに談笑している。
どちらも相当な上玉だ。
会話が聞こえる距離では無いが、その身振り手振りや表情の様子で、ビキニを着た方が気が強く、二人の間ではリード役のようだと容易に理解できた。

最近、女に対する考え方が変わってきていた。
目の前に現れる美女たちは、俺の欲望を満たすために生まれ、今まで大事に育てられてきたのだと感じるのだ。
それは一種の倒錯だが、実際、結果としてそうなる訳で、だったらその事実に感謝して楽しみ、有意義に使ってやるのが義務だとさえ考えるようになった。
問題なのは、俺の目が肥えてしまって食指が動くレベルの女が中々見つからなくなっていることだ。
そういう意味でも視線の先にいる二人は、合格水準に達している幸運な女たちだ。

「あなたはどっちにする?」

「そうだなぁ~、白いワンピースの方かな?」

まるで、食後に2種類のデザートが出たのでどちらを食べるかを決めるかのようにカエデに問われ、全く同じ感覚で俺は返事を返す。
そしてお互い宣言した方の女に意識を集中しながら、自分の意識を練り上げて『矢』をイメージしたモノへと変えていく。
更に対象の女に向けて抱く感情を確かめながら『矢』に『矢尻』を取り付ける。
心の中の準備が整った俺たちは両手で印を結び、同時に発動の言葉を唱えた。

『忍法!心移しの術!!!』

気が付くと『俺』は砂浜に立っていて、目の前のピンクのビキニを着た女を呆然と見つめていた。
相手も同様に呆けた感じでこちらを眺めていたが、すぐに瞳に感情が戻って来ると、ニヤニヤと笑みを浮かべ始めた。
『俺』は周囲に目立たないように自分の手を胸に持っていき、白い水着に包まれた柔らかい膨らみを確認する。
そして、同じように笑みを浮かべ返すと、一緒に自分たちの宿泊する部屋に向かって歩き始めた。

ホテルの部屋に戻ると、同じ顔をした二人の女が出迎えた。
アヤメとユリの双子姉妹である。
こいつらは基本、意識の無い本体の警護役だが、様々な雑用にもこき使ってやっている。
美貌と資産を併せ持つ女の情報を集めるのも、この姉妹の仕事だ。
この部屋の宿泊料も、そうやって得た女たちの懐から出ている。

ベッドのある部屋まで行くと、そこには撮影用のカメラが設置してあった。
先に指示してあった通りアヤメが撮影を始めると、『俺たち』はお互い憑依している女の体で向かい合い、意識を奥に沈めて、激しく愛し合うように内側からけしかける。
すると体は勝手に動き始め、二人とも水着を乱暴に脱ぎ捨てて裸になると、もつれ合ってベッドに転がる。
そして、俺とカエデに内側から操られて暴走し始めた女たちは、『俺たち』とその感覚を共有したまま、カメラの前で痴態を繰り広げ始める。

「ぁふん~、うんむ~、はぁ~ん」

発情して瞳を潤ませ、顔を赤く染めた女たちは、お互いの唇を奪い合うかのように飛びついて口づけをかわすと、執拗に舌を絡ませ、息継ぎのたびに熱を帯びた吐息を漏らす。
脚を絡ませ、体は隙間を埋めるように密着させ、柔らかい肉同士が擦れ合う心地よさも楽しむ。
手は相手の胸、尻、そして股間へと伸ばし、感じる場所を探し当てるかのように這いまわった。
終いには、いわゆるシックスナインの体位をとり、お互いの恥部に顔を埋めると、舌で攻め合い始める。

男の体で女の体を弄ぶのも悪くはないのだが、一度、自分で女の体の感覚を知ってしまってからは、女同士で絡み合う快感を忘れられなくなった。
だから『俺たち』はこうやって、女たちが狂ったように貪る快楽を一緒に楽しませてもらうことにしているのだ。


淫らな宴が終わった後も、ベッドに裸で横たわる女の中に俺はまだ居た。
カエデの入った女や双子姉妹は別の部屋に行ったようだ。
おそらく撮影を続けているのだろう。
心地よい気怠さを僅かに惜しみながら再び内側から命じると、女は立ち上がり、姿見の前まで歩いていく。
そして鏡に映し出された美しい裸体で目を楽しませながら、俺は最後の仕上げを始める。
女の口元が動く。

「……私はご主人様を悦ばせるために生まれてきた玩具……」

俺は乗っ取ている女と意識を同調させて、『自分が玩具である』事実をイメージとして浮かべさせる。
そして、それが完全に固まると、女は鏡に向かって両手で印を結び、凛とした掛け声を発した。

「忍法!心刻みの術!!!」

これはアヤメとユリを絡め捕った後に研究と研鑽を重ねた成果だった。
俺は『忍法・心刻みの術』も習得していた。
そして忍術を習得していない普通の女にでも意識を同調させることで、まるで動きをトレースして踊る人形のように、『心刻みの術』を使わせることが出来るようになったのだ。
術が発動し、女の意識が書き換えられていくのを確認しながら、俺は『心移しの術』を解いた。


ベランダに居た自分の体で目覚めると、俺は先程まで憑依していた女の元へ向かう。
予想通り、女は鏡に向き合ったまま、呆然とした表情でしゃがみこんでいた。
俺が近づき見下ろすと、焦点の定まらぬ目で俺を見上げるが、次第に正気が戻ってきたようだった。
俺は何気なく女に尋ねる。

「一応確認しておきたいのだが、お前は俺の何なんだ?」

「え?私はご主人様を悦ばせるために生まれてきた玩具ですが……?」

何故そんな分かりきったことを尋ねられるのだろうと、不思議そうに女は応える。
その様子を見て、俺は笑いを堪え切れなくなった。

「くっくっく、あっはっは!そうだ、これからも俺を楽しませてくれ!」

「はい!」

女は目を輝かせながら俺を見上げ、満面の笑みで返事をしたのだった……。


…………


後始末を終えて一息ついた俺は、カエデと共にベッドで横になりながら呟く。

「なあ、他に面白い事に使えそうな忍術って無いか?」

「そうねぇ……、あ!アレなんかどうかな?」

新たな楽しみを求めて、俺はカエデの話に耳を傾けるのであった。
[ 2020/12/17 18:00 ] 憑依モノ祭り(憑依ラヴァーver.) | TB(-) | CM(1)
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