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【憑依モノ祭り10日目】乗っ取りダンジョン

作者:ドライパイン



ダンジョン深層部、繰り広げられていた激闘は遂に終わりを迎える。古代(エンシェント)龍(ドラゴン)の硬く分厚い皮膚を裂き、心の臓を貫く槍の一撃。天井すら軋み、崩れ落ちるほどの金切り声をあげた後、ドラゴンはようやく床に沈み、動きを止める。

「クッ、ガホッ……ゴボッ……」

 槍遣い(ファランクス)であるリズベット=エラーシャは、自分の口内に血の味が交じるのを感じた。口内を切ったのではない、龍との激闘の際に、壁まで弾き飛ばされた時の衝撃が原因で吐血したと分析する。聖騎士の鎧が、今は酷く重い。

「アリア……!」

 息も絶え絶えで、同行者の名前を呼ぶ。錬金術師(アルケミスト)の彼女に回復を頼もうとした彼女。しかし、先程敵に一撃を食らわせるため、アリア=カトラスも自身の精神力全てをぶつけ、龍を怯ませた。その結果、アリアも立ち上がれず、失神した状態だった。

「ハァッ……共倒れ……なの……ゴボッ……」

 魔族としては最大級の危険性を誇る古代龍。街を一夜にして滅ぼす事ができるそれを、討伐できた事は冒険者としても最高の名誉。しかし、その名誉と引き換えに命を失うのは全くの無意味。なんとか、なんとか生き延びねばとアリアの方へ歩み寄る。

「足がっ……動かなっ……」

 聖槍を、老人の杖のように使って這うように進む。しかし、最早限界はすぐそこまで迫っていた。リズは、自分の身体が急速に冷えゆくのを感じる。指先の感覚が無くなって、次第に腕も動かせなくなる。どう、と地面に倒れこんでしまった。自分の身体が冷えてゆく感覚を、リズはまざまざと味わうほかない。あちこちからの出血で、呼吸も段々と重くなる。息を吸っても息苦しいのが続く。

「おや、どうしたのですか」

 頭上からの声に、リズは顔を上げる。どこから現れたのか分からない、しかし倒したドラゴンの上に羽衣の様な布を纏った女性が居る。その姿に、リズは見覚えがあった。

「聖女……エリヌミア様……!?」

 教会で洗礼を受け、祝福を授かったときに彫刻で見た顔。武神にして卓越した治癒魔法を扱う事から、慈愛の神としても祀られている存在。肌の色や装備品は同じで無いものの、全く同じ姿の彫刻を見た事がある。宗教に篤い性格ではないものの、多くの信徒から捧げものを受けていた事を思い出した。だがどうして、聖女たるエリヌミアがここに――否。それよりも、どうにかしなくては。

「お願いします……たすけて……くださぃ……!」

 魔物だらけのダンジョンに、一筋の救いの光が指す。夢幻(ゆめまぼろし)か分からないが、ひょっとしたら命は助かるかもしれない。――――本来のリズであれば、そんな藁をも掴む様な思考などしない。だが、追い詰められた彼女にはそれ以外の方法が無かった。

「ええ、構いません。私の手を取ってくだされば」

 リズは息絶え絶えになりながらも這って、差し出された手を必死で握り返す。女性の滑らかな掌(てのひら)――それが、触れた先からドロリと溶け出す。握りしめたはずの拳が貫通し、自分の腕が粘液に飲まれてしまうのをリズは避けられなかった。

「ヒッ――」

 ソレが、致命的なミスになる。利き腕が絡めとられた状態で、振り払うことも出来ずにリズは襲い掛かってくる怪物に飲み込まれてしまった。目の前の聖女が、頭からドロドロと形を崩してゆく。片方が無くなった口元から、嘲笑う言葉が響き渡った。

「クハハッ……! 最後の最後で油断したな! この間合いなら逃げられまいっ!」
「ぐぅっ……あ゛ぐっ……!」

 両腕の自由を失っては、道具も何も使えない。脚で必死にもがいても、全く離れることができない。せめて、叫んでアリアを目覚めさせることが出来れば。大声を出そうと、思い切り息を吸った瞬間。崩れ落ちてゆく聖女の体から更に噴出した粘液。鎧の兜の内側にまで侵入され、一気に喉元までせり上がる。

「ガボッ……! ゴボボォッ……!」
「仲間が居るのは知ってるんだ、その手は食わんぞ……!」

 異物が自分の顔面を覆って、耳の穴や鼻の穴、口の穴から入り込んでくる。眼球を舐めとられるかのような痛みが、頭をつんざく様な痛みが、呼吸ができない苦しみが続く。意識を失っては駄目だ、とリズは自分に言い聞かせるのだが。

「ン゛ン゛ン゛ッ゛!? ガア゛ァァァァッ!?」

 内側から頭をかき混ぜられているかのような感覚。今居る場所も、自分の存在すら揺るがされ、何も分からなくなってゆく。息が詰まり、叩かれた羽虫の様に地面でジタバタする事しかできない。甲冑の金属音だけがむなしく響き、全身が、頭が割れるように痛む。

「ゴッ……オ゛ォォォォ……」

 最期の息が、粘液に飲まれて泡を作る。手足に入っていた力が抜け落ち、全身の体温が冷えてゆくのを感じながら、リズは遂に昏倒した。


古龍とアリア、そしてリズが倒れ伏したダンジョン。冷たく湿った空気は彼女らを包み込み、大量の瓦礫や焦げ跡が示す先程までの死闘が嘘だったかのように、静寂だけが広がっている。土埃が舞う部屋で、誰も動くものはいなかった……しかし。

「ゴ……ボォッ……」

 真っ先に意識を失わせるために頭部分に集中していた粘液が一旦体の表面に現れ、リズの喉を無理矢理に鳴らせながら侵入する。入り込んだ粘液は、リズの身体を溶かし粘液と同化させ始めた。内側から体を融解させられた彼女の躰は、一部分が落ち窪んだり縮んだりと、本来の形状を失いつつあった。溶解液は肺を満たし、呼吸もままならない。人間であれば生きながらえる事は難しい。――だが、リズは人間では無くなりつつある。

「オ゛ッ……」

 古龍より飛び出し、女神の姿を模倣した『粘液』は、元々は力の弱い種族の一個体であった。しかし、ある時手にした『あやつりの秘術』と呼ばれる禁術を用いて、より強い肉体に乗り移ることで長い時間を生きながらえ、遂にはダンジョンの支配者たる存在になり替わっていたのだった。今、『ソレ』は新たな宿主を見つけ再び禁術を行使しようとしている。

「………………」

 リズの潰れ切った身体には合わなくなった兜が、転がり落ちてしまう。溶かされ、破壊されたリズの肉体を補うように粘液が躰を再構築する。溶かされた臓器や血管を再現し、血管や神経の挙動を模倣する。『ソレ』とリズとが、不可逆に混ざってゆく。徐々にだが、リズの身体は元の形状を取り戻しつつあった。ペシャンコになっていた手足や肩に、もう一度厚みが取り戻された。――再び、無音。

「――――ゲボッ……ゴホッ……」

 咳きこみ、喘鳴と共に呼吸を再開したのはリズだった。乱雑に装備していた重鎧を外し、体に纏っていた下着を、苦しげに息をしながら外す。銀色の髪を揺らし、水色の瞳で周囲の状況を見渡した。やがて自分自身の体に目が行き、身に何も付けていないことを確認して――リズは哄笑する。

「ふふっ……はははっ……! 手に入れたぞ、新たなチカラを……!」

 リズの喉を震わせ、『ソレ』は嬉しげに自らの身体を抱きしめる。自身の持つ宝を手放そうとしない、卑しい富豪の如き歪んだ笑み。端正な顔立ちのリズにはその表情があまりにも似合わず、かえって恐ろしさを増していた。

「ククッ……しかし、古龍を屠る程の力を持つ者が、姿形を変えただけのモノに容易く騙されるとは……。最も、殆どこの身体もボロボロになっていたからかも知れぬな」

 他人事のように、自らの失態を語るリズ。――事実として、リズの『中身』にとっては他人事であった。彼女の身体にあった無数の痣や切傷、火傷の痕は今や全く消え失せている。先ほどの粘液との同化によって、リズにあったダメージの類は全て消されてしまっていたのだ。薄桃色の肌が、くすんだ色だけが支配するダンジョンと対照的に輝く。

「ふむ……再びニンゲンの雌に入り込むことになるとはな。昔のカラダと比べれば相当な強さだとは思うが……まずは『同調』しなければならぬ」

 リズが丁重に扱っていた聖なる鎧すら、足蹴にするように遠ざける。そして、身に着けていた衣服や下着を尻に敷く形でリズは遺跡の床に座り込んだ。裸体のリズにはこの部屋の空気も、さらに冷たい床の感覚はあまり心地よいものではない。しかし、リズの『中身』はそれを新鮮にすら感じていた。前に居た古龍の身体は頑丈で力強くはあったが、皮膚や鱗があまりに硬いため、感覚に鈍い。そのことを、『怪物』は玉に瑕だなと考えていた。

「んっ……」

 両脚を開き、リズは彼女の性器を恥ずかしげもなく晒す。指先で探り当てるように割れ目に触れ、指先でソコを撫で始めた。冒険ばかりで自慰行為をあまりしていない彼女の躰は、感じ始めるのに時間がかかる。小指ですら入れるのに痛むため、しばらくもどかしい気分だった。だが、『怪物』にとっては遥か昔に味わった快楽。

「うぅっ……だがっ……これも悪くなぃっ……♡ はぁっ……♡」

 ようやく指先が入り込むようになり、熱を持った体液を感じる。この身体で初めて感じる『暖かい』という感覚は、リズの『中身』にとっては喜ばしいものだった。一度小指を受け入れた彼女の膣は、徐々により深い部分へと侵入を許すことになる。薬指、人差し指、同時に二本。本来なら開発に日時の掛かる性感だが、粘液で再構成された肉体は容易に『気持ちよくなる方法』を求め、適応するよう身体を作り替えていた。

「はぁっ……♡ イイっ……♡ これっ……♡ きもちいい……♡ 前のカラダより……♡ ずっとイイっ……♡♡」

 ダンジョンの主としての荘厳な言葉遣いは何処へやら、『リズ』は肉欲に溺れ始めていた。肉体の同化により、リズの体の主導権を奪った粘液だったが、彼女の精神は未だ支配下ではない。だが、『あやつりの秘術』の効果をより強固にする手段として、『ソレ』が以前の乗り移りの時から行っている手段が有る。強烈な感覚を肉体に味合わせ、精神を極限まで追い込む。まっさらになった状態の精神であれば、簡単に溶かし、喰らうことが出来る。

「あうっ♡ 人間(ヒト)の雌はっ♡ やっぱりココがイイみたいだなっ♡ あぁっ♡ 痺れるっ♡♡ けどっ♡♡ もっとっ♡♡♡」

以前、女性の身体を宿主にしていた時の記憶を思いだしながら自らを慰める。

「だがっ……♡ 前のカラダとはっ……具合が少し違うな……あうっ……♡」

数十年も前に別の冒険者の身体に居た時は、女性器への刺激に敏感だったと記憶している。しかしリズの身体はどうもそうでは無いらしい、ということが解ってくる。

「ふうっ……♡ でもっ……♡ そろそろっ……♡♡ 来そうだっ……♡♡」

身体が火照り、ジンジンと心地よい痺れに襲われる。切ない、もっと刺激が欲しい。肉欲に屈した『カラダ』は、気持ちよくなる事を望んでいた。

「はっ♡ あぁっ♡ クルっ♡♡ きてるっ♡♡♡ イッちゃうっ♡♡♡ 私がっ♡♡ 消えてくっ♡♡♡ 呑まれちゃう♡♡ でもっ♡♡ あっ♡♡ あぁ――――♡♡♡♡」

一瞬だけ表層に現れたリズ本来の意識。だが、快楽の渦は彼女の理性をすぐに飲み込み、声すらあげることもできない。全身を跳ねさせ、彼女は潮を吹いた。

「――――っ!♡♡♡♡ ッ――♡♡」

 声にならない絶叫。あどけなさの残る顔を真っ赤にして、水色の瞳を大きく開く。全身を快楽で善がらせる。神経が、肉体が、精神が――そして、リズの魂が、ただ暴力的なまでの快楽に塗りつぶされる瞬間。真っ白になったリズの全てを、『ソレ』は呑み込む。

「ァ……♡ ォ……♡♡ ゴッ……♡♡♡」

そうして、『怪物』は。
リズの全てを手にしたのだった。


数分後。生まれたままの姿で、股座(またぐら)が愛液でびしょ濡れになっていたリズ。眠るように倒れていた彼女が、体を起こして目を開く。

「ううっ……あいたた……頭がクラクラするなぁ……私、どうしてここで寝てたんだっけ……」

眠そうな眼を擦り、リズはアリアの事を探そうとする。少し離れたところに倒れていた彼女に声をかけようとして――――

「――あっ、そうだった……『わたし』はもう『俺(わたし)』になったんだ……♡」

 何時ものリズがするような、はにかんだ笑みを浮かべる。しかし、その意思そのものは既にリズ本人によるものではない。あるいは、同化してしまった彼女にとっては『中身』の意思が、リズのソレと同一のモノになってしまった状態。

「そっかぁ……♡ 『私(おれ)』って、こんなに可愛かったんだぁ……♡ とっても強いのに、鎧からこんな女の子が出てきたらズルいよね……♡」

冒険バッグから取り出した手鏡で、映した自分自身にウットリするリズ。『粘液』が吸収した彼女自身の美的感覚や、世俗的な感覚から言っても『リズという肉体』は相当の美少女の領域であると解った。

「『本人(リズ)』としては子供っぽく見られるのが嫌で、それで顔を隠してたんだけど……何で隠すかなぁ、勿体ない」

 口に出せないような秘密も、他人に知られたくないことも、次々と暴かれて(おもいだして)しまう。お目当ての記憶にたどり着き、リズはもう一度座り込み、オナニーを行おうとする。異なるのは、「リズ自身」の気持ちの良い所を思い出しながらシていること。

「ふぁぁっ♡ そうっ……♡ わたしっ……おっぱいがきもちよかったんだ……♡♡」

 乳首の先端をつまみ、わずかにこすり合わせる。ピンク色で綺麗なソコを、指先で摘まむ。指のサラサラした感触が、敏感な乳首に伝わって心地が良い。こそばゆいような、フワフワした感覚のような。じれったい。だけどきもちいい。吐息がだんだんと深くなってゆく。

「ちょっとだけっ……♡ ちょっとだけ、つよめにっ……♡ んうっ♡♡♡」

 少し力を加えると、ちょっとだけ痛い。だけど、体のスイッチが入った状態ではそれすら快感になる。くりくり、モミモミ。自分のおっぱいを揉んだり、先っぽを刺激したり。もどかしいのに、ドキドキして安心する。柔らかいものに包まれているような感覚。

「もっとっ……♡ もっとシたい……♡ もっときもちよくなりたいっ……♡♡」

 自分のクリトリスに指先をそっと当て、すぐには攻めずまわりをなでる。弱い感覚だけど、それでもカラダがじんじんとしてきた。少しだけ湿ったワレメに指を当て、指先を濡らす。そのまま、根元からゆっくりと上になでる。

「ふわぁぁぁぁっ――♡♡♡♡♡♡」

 脱力したような、ふいに力が入らなくなったような感じ。

「んもうっ……♡ ココもっ……♡ げんかいっ……♡♡」

自分のアソコから、あふれそうなほどツユが漏れ出しているのを感じている。さっきとは比べ物にならない。もどかしくて、せつなくて、ジンジンする。ツプリ、と指をいれた。

「んんっ……♡ さっきよりもっ……♡ ヌルヌルしてるっ……♡♡」

 自分(リズ)の記憶を思い出して、普段そうしてる妄想を呼び起こす。仲間(アリア)にもヒミツの、はずかしい思い出。誰かに知られたら、恥ずかしくて顔向けできない記憶。

「はぁっ……♡ いつかっ……♡ ステキな人とっ……♡ ラブラブでえっちなコトっ……♡♡ シたいっ……♡♡」

 顔も存在も知らない、わたしだけの王子サマ。優しくてかっこよくて、強い人。だけど二人きりの時には、わたしにだけは甘えてくれる大切なひと。有りもしない、だけど絶対どこかにいるとしんじているひと。

「あぁぅ♡ そうっ♡ いつかっ♡ あたしよりもっ♡♡ つよくてっ♡ かっこいいヒトとっ♡♡ キスしてえっちしてっ♡♡♡ ぎゅーっ♡ ってだきしめてもらってっ♡♡♡ それでっ♡♡♡ おちんちんがっ♡♡♡ ここにっ♡♡ ああぁぁぁっ♡♡♡♡♡♡ ひゃぁぁぁぁぅ♡♡♡」

 お姫様願望だって、似合わないっていわれても。いつか人並みの、すてきな恋がしたい。そして、つよくだきしめてもらって、みみもとでささやかれて――――

「あっ――んううううぅぅぅぅ♡♡♡♡♡ いっ♡♡ あ゛っ♡♡♡ はぁぁぅ♡♡♡ しきゅう♡♡♡ おりてくりゅ♡♡♡♡ いくっ♡♡♡♡ あっ♡ あーっ♡♡♡♡」

 ぼんやりとしたあたまで、きもちよさのピークをむかえる。ふとももがぬれるぐらいに、びしょびしょになってしまう。ふわふわして、じんじんして。しあわせで、あったかくて――少し切ない。見つけられない相手を勝手に組み立てて、自分の性欲の捌け口にしてるコトに。一応満足して、ふぅ、と呼吸を吐く。

「はぁーっ♡ はぁーっ……♡♡  ……ククッ……やはり、性感に関しては人間(ヒト)の女(メス)が一番良いな……それにこの躰。感じ方も美貌も上物じゃないか」

 リズの思考の模倣(トレース)を中断し、自分の身体の状態を確かめる何者か(リズ)。体の主導権を奪う時の、不慣れなオナニーとは全く比較にならない程の気持ちよさ。自然に自分(リズ)として振る舞う事の快感。今日ほど、自分が自分(リズ)である事を嬉しく思える日は無いだろう。今までの、どの身体よりも良い。

「ヒトの身体でこんなに気持ちよくなれるなら、いずれは夢魔(サキュバス)も、私の身体(モノ)にして体験してみたいですね……♡」

同調した身体(リズ)の記憶を操り、より良い獲物を求めんとする『怪物』。リズ(ばけもの)の欲望は、止まる事を知らない。例えリズの身体を所有していても、他の良いボディがあれば躊躇いもなく彼女を捨てる。かつてから、他者の誇りも尊厳も踏みにじって得たものすら、『異形』は何の感傷も持たずに棄て去ってきたのだ。

 リズがおぞましい笑みを浮かべていた時。傍らで、もう一人の人間が動き出した。

「ぜぇ……はぁ…………リズ……」

 錬金術師アリアは、完全に疲弊しきっていた。持てる精神力を全て使い切ってしまった彼女は、立ち上がる事もままならない。周辺状況を警戒しつつ、なんとか仲間の姿を目に捉える事ができた。警戒心が解け、安心して声をかけようとする――彼女の耳から飛び出ている、黒色の『粘液(ナニカ)』を目にするまでは。

「ぁ……!? アレ……はッ……!」

 思考に靄がかかっているかのような状態でありながら、智慧に優れていたアリアはその正体を看破する。彼女は最早、『リズ』ではない。内側から貪られた彼女を、助ける事は出来ないのだと理解してしまう。

「あ゛……ぁ……リズ……ベット……」

 だがアリアは、最速で捨て身の決心を下した。自分の身体に残る生命と魔力を焼き尽くす自爆攻撃、自分のポーチバッグに抱えている危険物もろとも巻き込む超級呪文を念じる。助かる道が無いのなら、互いの命をもって介錯せしめんとする。



しかし。
アリアの動きに気がついた『ソレ』は、慈悲や躊躇いもなく槍を突き。
僅かに、リズの矛先がアリアを貫くのが先だった。


酒場や冒険者達のための安宿が併設されているこの街の冒険者ギルドでは、今日も人だかりでごった返していた。周辺の小規模な町村からの貿易路の中心であるこの街では、舞い込んでくる依頼も多い。それ目当てに冒険者達も集まり、そこそこの冒険者たちが常駐している。

「あら、リズさんにアリアさん。例の古跡の調査報告でしょうか?」

柔和な笑みの受付嬢が尋ねると、リズは真っ先に手紙を渡した。開いてみると文字ではなく、複雑な幾何学模様が描かれている。呪術の魔法陣では、と危ぶんだ刹那。ぐらり、と彼女の頭が揺らぐ。

「『私(リズ)』の事は怪しまないで。『私(オレ)』に従え。『私(わたし)』といつも通りに会話して」

 洗脳術式によってまっさらになってしまった彼女の心に、強烈な暗示と魔術を植え付ける。人間や下級の魔物が使う魔術に対しては、ギルドの受付員もひと通りの対抗手段を持っている。しかし、今のリズは古くから生き続けてきた魔の存在。彼女の扱う闇の魔法は、一切の引っ掛かりもなく受付嬢を支配し、洗脳した。

「――あっ……そ……それで! お怪我などは無かったのでしょうか?」
「平気ですよ、ありがとう。ただアリアが魔術の使いすぎで疲れてしまって。今はちょっとボーッとしてる状態なんです」

リズの近くに付き添うように立つアリアは、リズの言葉通りに気の抜けた表情。ただ寝ぼけているかのように見える彼女だったが、実際は意思を封じ込められて体を強制的に操られているだけであった。リズは懐から小さな薬瓶を取り出し、受付嬢にそっと手渡す。

「それと、冒険者の皆様にこれを振る舞ってください。遺跡で見つけた美酒ですので。いつものお酒に混ぜるだけで美味しくなるんですよ」

普通であれば、冒険者から渡された物は依頼品であろうと鑑定し、危険が無いよう丁重に取り扱う必要がある。なにせ、それに毒や爆発物が混ぜられていたり呪われていたりしたら目も当てられない。だが、ベテランであるにも関わらず受付嬢はトロンとした目で酒瓶を受け取り、彼女の懐に仕舞いこむ。酒瓶を受け取った彼女の瞳には、意思の欠片も見られない。ただリズの命令に従う木偶人形でしかなかった。

「それじゃあ、後は『いつも通り』でお願いしますね」

 リズの一声で、受付嬢は『いつも通り』の業務を始める。他の冒険者の対応を始めた彼女は、朗らかな笑顔と丁重な対応で利用者達にも人気だった。――その彼女の笑顔の下で、『リズ』の欲望が渦巻いている事には誰も気づく事はない。

「それじゃアリア、行きましょうか」

虚ろな瞳のアリアを連れ、リズは受付から密かに貰った鍵を手にギルドの階段を登る。建屋の最上階、来賓や重要な会合があるときのみ開かれるシークレットルーム。取り換えられたばかりの純白のシーツが敷かれてある来客用の綺麗なベッドにアリアを組み伏した。

「ふふっ……どう調理しよっかなぁっ……♡」

今にも遅いかからんとするリズを目の前にしても、アリアは光の無い瞳で相手を見つめるだけ。無反応なアリアに、少しだけリズは不服そうに顔を膨らませる。

「流石にこれじゃ、さみしいなぁ……」

仲のいい人には、ほんの少し悪戯心が働いてしまう。そんな「リズ元来の」感情に従って、彼女はアリアの意識を深い催眠状態から開放する。

「ぐっ……あ゛っ……?」
「アリア、起きたかしら?」

いつも仲間を起こすときのように、リズが声をかける。寝ぼけた頭で一瞬、アリアは普段のように返事を返そうとした、が。

「あぁ、おは――――」

 思い起こされた、絶望的な光景。魔物に操られ、支配されていたリズ。今地上にいるということは、連れてこられたのか。アリアは即座に魔術を撃てるよう手をかざし、臨戦態勢に入る。

「まさか、お前ッ……!」
「そうですよ……あなたの思ってる通り。私(リズ)の身体は既に操られているの。魅了魔術や傀儡の魔法なんかじゃない。今や、私がリズそのものになったの」

彼女の口ぶりを真似て、アリアに脅しをかける。リズを生かすも殺すも、コチラが決めれるのだと暗に示しつつ、『リズ』は更にアリアに語りかけた。

「既に彼女(リズ)の魂も我の手中にある。――だけど、君ほどの手練の錬金術師なら。どうすれば私(この娘)を助けられるか、解っているのではないか?」

 内心、アリアは焦る。コイツはアタシの事をナメている、タカをくくっている。否――あるいは、絶対に負ける事はないという自負が、相手には有るのだと。そうだとしても、リズを救う方法に賭けなければならないのは事実。

「ああ。お前なんかにやらなければいけないのはシャクだが」
「魔術契約の上、両者が決闘を行う。昔から行われてきた事だろう?」
「リズの身体を奪うような卑怯者に、こっちから正式な申込みをしなければならないのが……ソレが、腹が立つんだよ」

 化物が、リズの中に居なければ。今にも敵の喉笛を食い破らんとする狂犬の如く、アリアは眼前の仇敵を睨む。苦虫を噛み潰したかのような表情のまま、アリアは頷いた。

「分かった、決闘を申し込む。アタシが勝てばお前はリズから出ていく。……負ければ、アタシはお前に従うさ」
「いいだろう、勝負を受けてやる。貴様自ら、決闘の宣告をするが良い」

僅かにアリアの喉が鳴る。この決戦に自分の、そしてリズの運命が掛かっている。負ける訳にはいかないのだ。自分自身に言い聞かせ、怨敵を威圧するかのような凛とした声で、アリアは宣告する。

「此(こ)れより旧(ふる)きから伝承されし(うたわれし)神聖為(な)る決闘――『おまんこイカせ合いの儀』を汝に挑む」


「んおおおっ♡♡♡ ほおぉぉっ♡♡♡ ひんっ♡♡♡ あっぐぅぅぅぅ♡♡♡♡  まだぁっぁぁぁ♡♡♡♡」
「ふふっ……♡ んっ……♡ ねえアリア、もっとわたしを感じさせないと……♡ あっ♡♡」

 ベッドのシーツに広がるシミは、殆どアリアの愛液によるものだった。アリアは自らの利き手の指先を自らの膣口にあて、水音をじゅぶじゅぶと立てながら自慰行為をしている。
空いている左手は敵(リズ)を攻めているのだが、十分に効果を発揮しているとは言い難い。更に、リズの方はというと アリアの乳房を舐めとり、時折舌先でチロチロと弄るのだ。明らかに不条理な様相だが、アリア自身はこれを『正当な勝負だ』と認識(ごにん)している。

「ふうぅぅぅっ♡♡ まけなっ♡♡ まけるもんかっ♡♡♡ あぁっ♡ んぐぅぅっ♡♡♡」
「ほらっ♡ わたしのオマンコ、もっと愉しませないとっ♡ わたしがのっとられちゃいます♡♡」

元より。こんな痴乱騒ぎが由緒正しい決闘の手法であるわけでなく、なおかつアリアは左手しか相手に使えず、利き手で自らを慰めるなどという理不尽極まったルール。それですら、アリアは公平な勝負であると思い込んでいる。

リズの槍によって貫かれた身体は粘液によって一部補修され、元のアリアの身体として回復している。だがそれは、 アリアの身体の内側深くに既に『怪物』の一部が侵入しており、汚染によって思考すら歪められる事に他ならない。

「ひゃぁぁっ♡♡♡♡ あぁぁっ♡♡♡♡ ひぐぅぅっ♡♡♡♡ ――――ぜぇっ……はぁっ……まだっ……まだイッてないっ……! まだまけてなんかぁぁっ♡♡♡♡」
「そのようですね。さあ私を早くイかせて、バケモノを身体から追い出さないと♡」

アリアの神経、感覚も彼女自身の魔力によって、『快感をより強烈に覚えるよう増幅させている』状態で挑んでいるのだ。リズの身体に居るバケモノがまだ絶頂に至らないうちに、アリアは何度も脳が焼き切れるかのような快楽に飲まれていた。 ショートカットの赤髪がボサボサになり、緋色の瞳からは涙が止まらない。それでも、アリアは負けを認めようとも、降伏しようともしなかった。

「リズっ……♡♡ リズベットっ……♡♡ ぐうぅぅぅ♡♡♡♡ はっ♡ はぁっ♡ あ゛ぁぁぁっ♡♡♡」
「アリアっ……♡♡ そんなにぐしゃぐしゃになってっ……♡♡ カワイイっ……♡♡♡♡」

リズの内側から湧き上がる、元の彼女からの想い。飲み込み、支配したと思っていたリズ自身の感情が湧き上がってくる。カッコよくて、頭も切れて、ずっと私を守ってくれる、大切な仲間(ひと)。そんな彼女(アリア)が、ぐしょ濡れになって顔を真っ赤にしながら、それでも私(リズ)を助けようと懸命になっている事。その事が堪らなく、嬉しい。

「リ……ズぅぅぅぅっ♡♡♡ う゛ぅっ♡♡♡ あたし、は……っ♡♡ があ゛ぁぁぁっ♡♡♡♡」
「はあっ……♡♡♡ うぅっ……♡♡♡」

手中にあるはずのリズの思考が、『バケモノ』の側に染み込んでゆく。別個の2つが、更にひとつのものに混ざり合わさってゆく。予期せぬ事態ではあったものの、しかし『リズ』に焦りは無かった。アリアを思ったときに、じゅん、と下腹部に暖かく心地よい感触が響く。

「んっ……♡♡ アリアっ……♡♡♡ そこっ♡♡……いいっ……♡♡ もっとシてっ……♡♡」
「あ゛ぁっ♡♡ ほお゛ぉぉぉっ♡♡♡ イ゛げ゛っ♡♡♡♡ はや゛ぐ゛っ♡♡♡」

何度か、考えた事があったのだ。もしもアリアが男の人だったら、私(リズ)は恋してしまったんじゃないかと。いつも一緒に居て、いつも私(リズ)を助けてくれた、大切な仲間。憧れの感情があったのは確かだ。でもそんな事は許されない、アリアだって気持ち悪がるだろう。だからそう思って、気の迷いと考える。リズは自分の考えを忘れるよう心掛けていた。

「アリアっ♡ ちゅうっ……♡♡ あむうっ……♡♡ アリアのおっぱい、おいしいっ……♡♡♡」
「ひぎいぃぃっ♡♡♡ や゛だっ♡♡ イ゛ぎだぐな゛ぃっ♡♡ イ゛っだら゛っ♡♡ リズがあ゛ぁっ♡♡♡ リズう゛ぅぅ♡♡♡ う゛ぅぅぅぅっ♡♡♡♡」

 でも。そんな考えは必要なんだろうか。私(リズ)の名前を呼びながら、涎と涙と愛液で塗れたアリアの姿を見てそんな事を思う。リズになりつつある怪物には、元の自分の躊躇が無くなりつつある。アリアの左手から伝わる拙い刺激が、今はひどく愛おしく、切ない。自分のカラダが、アリアを求めている。ぐい、とリズ自身の膣をアリアの指が入るよう自ら動く。

「あっ――――♡♡♡♡♡♡♡ あーっ♡♡♡♡ あああぁぁぁぁぁ♡♡♡♡」

直後、リズの身体で閃光が弾ける。今までで、どの身体でも、味わった事の無い衝撃。気持ちよさ、嬉しさ、恥ずかしさ、熱さ、愛しさ。全部が自分(リズ)の体の中で入り混じって、全身に感情が弾け飛ぶ。自分の身体をビクンと震わせ、声を出すことすら叶わず悶える事しか出来ない。だけど、間違いなく気持ちよくイッたのだ。

「はあ゛っ……♡ あ゛ぐっ……しょうぶ、付いただろっ……! リズをっ、早く返せっ……!」

必死の形相のアリア。何時もクールな切れ長の赤い瞳も、懇願するかのように細い。こんな表情のアリアを見たことが無くて、初めて見れる彼女の風貌が嬉しい。だけど、もっとアリアの色んな顔が見たい。恥ずかしがる顔、にっこり微笑んだ顔、快楽に悶絶する顔。イクときの、みっともないけどカワイイ顔。――だから、悪戯(なりすまし)は続けてみよう。

「分かったよ、俺の負けだ。リズの意識は返してやる、ほら――――」

ガクン、と頭を垂れるフリ。今や化物とリズの意識は、支配と被支配の関係では無くなっていた。2人分の意識が1つの人格として機能している今であれば、『リズ』のようにも『怪物』のようにも自然に振る舞うことが出来る。……もとい、どちらも自分だという自覚がある。怪物としてアリアを弄るのは十分だろう。

「……あり……あ? あれ、ここって……」
「リズっ! リズ、なのか……?」

 酷い格好だった。いつも綺麗に整えている短髪も乱れ、顔面は体液で塗れている。リズが舐め続けていた乳首は赤く勃起していて、おまんこはダラダラと愛液を垂れ流している。冒険で大変な目に合った時と同じぐらい、あるいはもっと酷いあんまりな見た目。落ち着いた風貌のアリアだからこそ、ボロボロになった状態の悲惨さが際立つ。そんな状態のアリアが、涙を流しながらリズをぎゅうと抱きしめてきた。

「リズッ……! 良かったっ……!」
「うわわっ!?」

 アリアに押し倒されて、ベッドに倒れこむ2人の体躯。既に服の一部がはだけており、お互いの素肌が重なり合う。すべすべして、温かくて。アリアに包まれていることに、安心する。アリアの雌の部分が発している匂いですら、今のリズにとっては喜ばしく感じられるのだった。自分(リズ)の長い銀髪と、アリアの赤髪がベッドで交じり合って模様を作る。

「なんだか、良く分からないけど……私達、変な格好だよね?」
「そっ……それは……」

分かりやすいぐらいに動揺しているアリア。ベッドの染みも、殆ど脱げかけの服も、そして二人とも下着は既に床の上に打ち捨てられた状況。下手な弁解をしようものなら、逆に誤解を招きかねないだろう。仕方なく、リズは助け舟を出すことにした。――自分の望む方向に、誘導する目的で。

「ねぇ、アリア……なんだか、さっきから身体が火照って仕方ないのっ……♡ 自分じゃ、抑えられないっ……♡」
「リ……ズ……? ――あうぅっ」

その発言と同時にリズは、アリアの中に潜めた粘液を操る。感覚と思考に根を張った「リズ」の一部をコントロールすることは、結果としてアリアの身体と精神を支配することに等しい。望むならば、今すぐにでも命令には従う操り人形にすることだってできる、と確信はしている。もっとも、リズにとってやりたいのはそんな事ではない。例え誘導する形でも、アリアの方から彼女自身の意思でリズを襲って欲しいのだ。

「アリア……お願い……♡」
「……うん……わかった……」

虚ろな目だが、アリアはリズのクリトリスを緩慢に舐め始めた。やっていること自体は、さっきと全く変わらない。アリアがリズの身体を犯すという事柄こそ変わらない。だけれども、怪物(リズ)にとっては今の方が抑えきれない程の悦楽だった。アリアが感じさせるように愛撫してくれている。クールな彼女が、蕩けた表情で自分の秘部を舐めている。

「はあぁぁっ♡♡ イイっ♡ アリアっ♡♡♡ すきっ♡♡♡ あーっ♡」
「じゅるっ……♡ れろっ……♡ リズのおまんこ……♡♡」

お互いの身体が熱を帯び、2人とも顔が真っ赤になっている。犯し、支配して力を奪い取る。それだけが生きがいだった『怪物』に、反対にリズの心が染みこむ。今まで大事に守ってきたもの。ぐちゃぐちゃにトロけさせて、一緒に気持ちよくなりたい。

「アリアのもっ……♡♡ 気持ちよくっ……♡♡♡ させてあげるっ♡ ほらっ♡♡♡」
「――あ゛っ♡♡♡ あついっ♡♡♡♡ はーっ♡♡ ほお゛ぉぉっ♡♡♡ んうううっ♡♡♡♡」

互いの感度を、可能な限り最大まで引き上げる。互いの性器を重ね合わせ、貝合わせの状態で少しだけリズが身体を揺らす。くっついたり、離れたりするそれだけの緩慢な動きだったが、どちらも幸せそうに喘ぎ声を漏らす。リズの『中身』は、既に不可逆なほどに混ざり合っている。その結果、この行為には単なる愉悦以上の多幸感を覚えていた。

「私ね……『俺』に乗っ取られてっ……♡♡ 元の私じゃないのっ……♡♡♡ でもっ♡ 前もっ、今もっ♡♡♡ アリアの事がっ♡♡♡ だいすきでっ♡♡♡♡ 『俺』が記憶を読むたびにっ♡♡ どんどんすきになっちゃうっ♡♡♡♡ こんなのはじめてなのっ♡♡♡♡」

 本来『怪物』が使おうとしていた、隷属の魔術。アリアを傀儡に変えるために用意していたその魔術を取りやめ、別の術を魔力で刻み付けてゆく。『愛欲の呪(まじな)い』と呼ばれる紋様を、互いの下腹部に。刻んだ紋様のペアが愛し合えば、より感度は強く、より愛情が深まる。微弱な魔力では単なるお守り程度の魔術、だが規格外の魔力を叩きこまれたソレは、肉体と精神に強烈に作用する禁術と化していた。

「だからっ♡ アリアぁっ♡♡♡ 私のものになってっ♡♡♡♡ 私と一緒にいてっ♡♡♡♡ もっとずっとっ♡♡♡ 私をしあわせにしてぇっ♡♡♡♡♡♡♡♡」
「お゛ぁっ♡♡♡♡ あ゛っ♡♡ あ゛あ゛ぁっ♡♡ リズう゛ぅぅぅっ♡♡♡♡」

言葉として紡ぐには、意味をなさないアリアの絶叫。しかし、リズの言葉に応ずるかのように彼女の躰を強く抱きしめた。その衝撃で、じわじわと堪えていた絶頂までの堤防が、同時に決壊する。潮を吹き、彼女らは一緒くたになってベッドに倒れこんだ。

「ああああぁぁぁぁっ♡♡♡♡ あーっ♡♡♡♡ ありあぁぁぁっ♡♡♡ しゅきっっ♡♡♡♡ だめっ♡♡♡♡♡♡ おさえられなぃぃ♡♡♡♡♡♡」
「ふーっ♡♡♡ あ゛あぁっ♡♡♡ リッッッう゛ぅぅぅっ♡♡♡♡ お゛ぉぉぉぉ♡♡♡♡♡ ほお゛ぉぉぉ♡♡♡♡♡♡」

 リズの視界に、イキ顔を晒したアリアが映る。失神寸前のごとく目の焦点は合っていないし、口からもダラダラ涎が垂れている。――かわいい。もっとイかせたいし、もっと気持ちよくさせてあげたい。『私(リズ)』の事を、アリアの身体に一生離れられないように刻み込んであげたい。アリアに可愛がられたいし、可愛がってあげたい。

「――じゅるり♡」

『化物(リズ)』らしく、獲物を前に舌なめずりする。
二匹の雌の鳴き声は、それからしばらく続いていた。


自分の衣装を整え、リズはアリアのそれもチェックする。寝巻に着替えたアリアだが、一部にキス跡が残っている。アソコがじゅんと湿るのを感じつつも、リズはアリアに尋ねた。

「それで……アリア。今から私、他の冒険者の皆をグチャグチャにするの。もう取り戻しのつかない状態になっちゃうけど、それでも止めない?」

一切の躊躇も無く、アリアは頷いた。

「何を言ってる? リズがそうするなら、止めたりしないさ」
「――有難う、アリア。あなたのおかげで、私もより『私らしく』なれたみたい」

 契約された決闘で早々にアリアが敗北していた(絶頂していた)ことから、リズの命令にアリアは反抗できないよう魂に刻み込まれている。しかし、アリアには最早それを悲しんだり不服に思ったりすることも無い。立ち上がり、部屋から出ようとしたリズにアリアが問いかける。

「なぁ、大丈夫なのか。さっき受けた魔法の影響が残っていたり……しないか?」
「……ふふっ♡」

 アリアを騙すことに成功した、その事よりも。アリアに気遣われていることが嬉しく思えた。リズとして振る舞う限り、アリアは『私』を愛してくれるのだろう。そう考えるだけで、また体の芯が火照りだす。しかし、今からやる事は『リズ』にとって邪悪なもの。アリアにすぐには見せるわけにはいかないのだ。

「大丈夫、ありがとう。今はゆっくり休んで……」

 アリアを愛しているものの、その本質は『怪物』。人間を支配し、より強固な力を得ようとする本能はまだ残っている。そのために、アリアには協力してもらえるよう強く愛情(せんのう)を与える。淫紋の効果をより確固なものにするため、アリアに眠りの魔術をかける。すん、と眠りに落ちた彼女を見て、リズは不敵に笑みを浮かべた。

「大駒は既に私の手に2つある。……けど、もっと手駒が欲しいよね?」

 誰にともなく、さらなる凶行を口ずさむ。衣装を整え、あらかじめ用意していたポーチバッグを肩にかけ、かつての親友の身体にシーツを被せて頭を撫でた。大切な、最強の手駒。一仕事終わったら、沢山愛してあげよう。今度は私(リズ)が、アリアをいっぱい感じさせるんだ。そう思いながらもリズは部屋を後にした。


「そろそろかしら」

 薄い青色をした私服のワンピースを整え、ポーチケースを携えた状態で『リズ』はギルド1階の酒場に降りてゆく。先ほどまでの喧騒は一切ない。静まり返った店内では、つい先ほどまで開かれていた酒宴の景色そのままに、料理や並々注がれたマグコップが長机に広げられていた。それらを口にするべき人間だけが、誰一人として居ない。

――その代わりに。テーブルの傍らにある椅子には、だらりと垂れさがったモノがある。かつて人間だったもの、酒場の客で冒険者だった者たちが、ぐったりと横たわっていた。体には本来あるべき厚みが失われており、押しつぶされたかのようにペシャンコになっている。肉体というよりは、打ち捨てられたぼろきれのよう。身じろぎも呼吸もしていない。

「薬は回ったみたいね、あとで受付の娘にはゴホウビをあげなきゃ……♡」

 受付嬢を洗脳して渡した小瓶の中充填されていたのは、あらゆる生き物の『中身』を溶かす魔法薬。酒樽に混ぜられ、振る舞われた客が飲んだ結果、冒険者ギルドの客たちは物言わぬ『皮』のようになってしまったのだ。どのようにして受付嬢が客全体に、途中で発覚せずに飲ませたのかはリズには判断できなかったが、薬が遅効性であることを利用して客たちに少しずつ飲ませていったのではないか、と推測する。

動物の皮のように引き延ばされたそれらから、リズは目ぼしいものを探り当てようとした。大剣や魔道具の杖が傍らに置かれた、元々は冒険者たちだったモノと、ソレらが身に着けていた装備から、目的の人物に当たりをつけていく。ある卓で、リズの歩みは止まった。

「この娘たちがいいかな、どれを入れようかなぁっ……」

 リズは『皮』の一体を掴み、その背中部分を確認する。着ていた服は、その中身を抜かれる形でギルドの床に落っこちる。背中をダガーで切り裂くと、抵抗もなくすんなりと皮は刃によって穴を開けられた。2人の冒険者、聖職者(ビショップ)のマリー・倭刀遣い(サムライ)のサクラのパーティー。つい先刻まで飲み食いし、互いの冒険を話し合っていた彼女らは、今や物言わぬ皮。以前彼女らと共に討伐依頼をこなした事をリズは『思い出す』。彼女たちなら最適だろう。

「それじゃ、マリーちゃんにはこれを入れてあげよっと」

 リズは切り裂いた穴に、ポーチから取り出した瓶詰めの粉を注ぐ。砂時計の中身が落ちるようにサラサラと皮に注がれてゆく薄い緑色のソレは、僅かにマリーの脚の部分を満たすのみであった。空になった瓶をしまい込み、聖職者であったマリーの皮を床に伸ばす。ペシャンコになったままだったソレの穴を、リズはサッと指先で軽く撫でた。

「さてと……」

 すると短刀で開かれた穴は、傷跡も、血の一滴も残さずに塞がる。足先だけが砂で膨らんで、ほとんどが潰れたままのマリーの体躯。――突如として、足の部分が不自然に動く。水が沸騰し、泡立つかのようにボコボコと皮膚の表面が泡立つ。本来の人間の形ではありえない方向に脚や手先が曲がり、バタバタと床で暴れまわる。マリーの身体に起こる異常を、リズは口元を歪ませて眺めるのみ。しかし、異常な動きを繰り返しつつも潰れていた体躯は段々と人の形を取り戻してゆく。

 そして、形状が元のマリーの様子に戻ってゆく。床にうつ伏せになった状態の彼女は、身じろぎもせずに横たわっている。――数秒後。ビクンと一瞬マリーの肩が跳ねた直後、咳き込むように呼吸が始まる。ツインテールに結った金髪をゆらり、と動かし頭をあげる。一糸纏わぬ状態のまま、彼女は苦しそうに立ち上がった。

「ゴボッ……ゴホッ……ココ……ドコダ……? オデ、イツノマニ……」

 ボサボサになった金髪を整える事もせず、フラフラと独り言をマリーは呟きながら、自分の裸体を隠すこともせず周囲を伺う。すらりとした脚を立ち上がらせ、右を向いた瞬間。彼女の視界にリズが映り、2人の視線が交差する。瞬間、マリーの金色の瞳に狂気が宿る。

「――ガァァァァァッ!」

 刹那、マリーは殆ど『本能的』にリズに飛びかかり、襲おうとした。およそマリーの可憐な容姿に似合わない、濁った声を上げながら。ところが、マリーの握り拳による攻撃を、リズは見透かしていたかのように素早く躱す。足は微動だにせず、ただ上半身を傾けただけ。

「グウ゛ウ゛……ニンゲン……メス……オカス……!」
「主人の顔を忘れるなんて……まあ仕方ないかな?」

 およそ真人間とは思えぬ様相のマリーの力任せの攻撃を、しかしリズはいなす様に躱し続けた。周囲のテーブルや椅子が壊れ、自分の拳に血が混じるのに構わず、乱暴に攻撃を続けるマリー。しかし、リズは距離を取ることすらせずに僅かな動きだけで回避する。

「クフフ……この身体、やはり戦闘に長けている。身のこなし、反射神経、相応の筋力……やっぱり以前の巨体より小回りの効くカラダの方が良いみたい」

 あろうことか、自身の体の調整を兼ねての行動。実際に、リズの(あたらしい)身体(カラダ)を得るようになってから『リズ』は驚いていた。相手の攻撃が手に取るように解る。彼女が経験的に得てきた戦闘スキル、それらが身につくことは力を求めていた『怪物』にとって喜ばしい事だった。そして、過去の『怪物』の積み重ねと合わさって、現在の『リズ』の戦闘技術はかなりのモノ。

「よし、確認は済んだ。もういいぞ――ねぇ、よーく見ててくださいっ♡」

 一瞬、猫を被るかのような甘い声を出し――リズの喉から、『ナニカ』がせり上がる。ゴボゴボという水音と、人間の嘔吐する声。それらが同時に重なり、リズの口から現れたもの。不定形な粘液はゆらゆらと揺れながら、その姿を現す。かつて黒灰色だった粘液は、リズの瞳の色を反映させるかのような薄い水色を湛えていた。ダンジョンの主として、様々な生物を使役し、支配してきた怪物。立ち上る塊から、黒紅の眼がマリーを射ぬく。

「ォオオ……ボズ……! ドウシテ、ニンゲン……」

 身体の支配者を一時的に失ったリズは、だらりと頭が後ろに反った状態で、虚ろな目のまま声を出す。マリーは攻撃の手を止め、畏れ多い存在を見たかのように膝をつく。リズ自身の声と、怪物のおぞましい声が不協和音を奏でながらマリーに語りかけた。

「この人間の身体を奪ったのだよ。――それより自分の身体を見てみたらどうだ」

 言われてようやくマリーは彼女自身の体を確かめるように、目線を下げる。おずおずと、腕を上げ下げし、身体中をぺたぺたと触った。自分が裸体であることに驚いたのではなく、躰そのものの形状を確かめるように手先を動かし、問いかけるように叫ぶ。

「オデ……カラダ、オカシイ!」
「そうだろう。お前にも人間の身体を与えたのだから。――ゴキュッ、ゴボッ……マリーさん、よく見てください♡♡」

 粘液を飲み込み、再びリズの瞳に混沌の光が混ざる。彼女が魔術を唱えると、二人の近くに鏡が出現した。元は光に関わる魔術を反射する為に編み出された高位の魔防壁を、リズはただ愉悦のために使う。

「ほら、リズ(わたし)とマリー(あなた)が映っているでしょう?」

リズよりもやや小柄なマリーの身体には、しかしリズ以上にたわわな膨らみがある。リズはにやけた笑顔のまま、乳房を掌で包み込み揉み始める。

「んうっ……コレ……ナンダ……?」
「くふふっ、『元々の君(ゴブリン)』の身体には無い感覚でしょう?」

リズの痴態を咎めることもせず、マリーは『初めての感覚』に戸惑っている。胸全体を動かすように弄り、指先で乳首に僅かな刺激を加える。

「ひゃぁっ……♡ イマノ……ムネ、ジンジンスル……」
「それが『人間の女の子』の感覚なんですよ♡ 他の皆さんより一番先に味わえるなんて、幸せものですねぇ♡」

 マリーの背後から抱きつくようにして、リズはオッパイへの愛撫を続ける。マリーの『内側』に居る存在は驚いていた。人間の雌はただ犯すだけの物だと考えていた。しかし、胸から伝わるこの感覚や、背中から伝わる柔らかい感触。それらが合わさって、自分の鼓動が高鳴っているのだ。

「ウァ……♡ ボズ……あぁっ♡♡」
「あっ、今気持ちよくなったでしょっ……♡ それが『イク』って事なの……♡」

 段々と呼吸が荒くなり、一瞬マリーは痙攣したかのようにビクンとなる。小動物が甘えるかのような、可愛らしい鳴き声。しかし、体が勝手に動く不随意運動に、気持ち悪さはない。もっと強く摘まれたい、もっと激しく揉まれたい、そんな思いが『マリー』の頭によぎる。

「ねぇ、マリー……少し床に寝転んでくれる?」
「マリー……ソレ、『コイツ』ノナマエ?」
「そうよ……♡ 元のアナタと違って物分りが良いわね、知力も身体に由来するのかしら」

 皮肉を言われている事までは理解が及ばず、マリーは仰向けに横たわる。ざらついた木目の感覚が気になったが、今までのサクラとの冒険で酷い地形で寝たこともある。それに比べればマシだ、とマリーは考え――そんな記憶は、今の『マリー』にはないはずのもの。

「ウッ……ナンダ、イマノ……?」
「どうかしたの?」
「オデノ知ラナイ事、思イ出シタ……自分(オデ)ノ事ジャナイノニ……」
「うーん……記憶の同期には少し時間が掛かるようですね?」

考え事をするかのように、リズは値踏みする様な視線をマリーに向け、数秒考え込む。やがて、リズはマリーにくっつく様に抱きついて、柔和な表情を繕った。

「大丈夫、気にしないで。マリーは気持ちよく感じてるだけでいいんだから……♡」

 マリーの両脚を開かせ、リズはその間に陣取る。リズの方も四つん這いになり、指先でマリーの秘部の周りを焦らすように撫でた。じゅん、とマリーの下腹部に熱いものが滾った。

「ふふっ……濡れてきましたね♡ そうしたら……」

 指先で、傷つけないようにクリトリスの皮を剥く。既に出来上がっていたマリーは、ただ襲い掛かる快楽に耐えることしかできない。生温く、優しい吐息がアソコにかかる。

「ア゛ァァッ……! チンポ……! キモチイイ……!」
「こーら、女の子なんだからちゃんとクリトリス、クリちゃんって言いなさい♡」
「クリトリス……♡ クリ、キモチイイ……ッ♡♡」

 初めて自分の身体に備わったその器官の名前を、喘ぎながらマリーは口にする。褒美を与えるかのように、リズは剥けたソレを舌先でチロチロとくすぐる。

「オ゛ア゛ァッ……♡ ふわあぁっ……♡♡ すごいっ……♡♡ クリチンポ……♡♡♡ はぁっ……♡♡♡ きもちいい……♡♡♡♡」
「れろっ……♡ ふーっ……♡♡ すっごい、さっきのアリアの時よりもたくさん溢れてる……♡♡ マリーちゃん、エッチな娘だったんですね……♡♡」

 愛液は充分すぎるほどにマリーから湧き出してくる。今ならば問題ないだろうと、リズは人差し指を割れ目に侵入させた。肉を掻き分け、しかし傷つけない絶妙な侵食。

「アガッ……ナニカ、はいって……っ♡♡♡」
「身体中が火照ってるでしょう……♡ 今、もーっと『イイコト』してあげる……♡♡」

 自分の内側に異物が入り込んでくる。マリーの『中身』は、直感的に理解した。今自分は犯されているのだ。『元の自分』なら屈辱でしか無い事実。しかし。もっとシてもらいたい、もっと気持ちよくなりたい。もっと犯されたい、ぐちゃぐちゃにされたい。そんな思いが沸き上がり、リズを止める気は全く起きなかった。

「グアァッ……♡ なかっ……♡♡ 挿入(い)れられてっ……♡♡♡♡」
「ここかなぁ……あっ♡」

指から伝わる粗い感触。『ソコ』がマリーの、雌の急所。その事を先程確かめていたリズは、絶頂の直前までマリーを焦らせ、たぎらせる。スポットの周囲を執拗にくすぐり、しかしトドメの一発までは触れない。

「あっ♡♡ んうぅ♡♡ あ゛ぁっ♡♡♡ ァア゛ア゛ッ♡♡♡ 何かっ♡♡ キてるっ♡♡♡♡」
「そろそろかなぁ……♡ それじゃ、えいっ♡♡」

 マリーが甘イキする直前で、リズは『ソコ』を強く刺激する。自分の身体が内側から破裂するかのような、快感の衝撃。しかし、一呼吸の内にその爆発が、今度はもっと激しい勢いでマリーを飲み込む。

「ひゃぁぁぁっ♡♡♡♡ んうぅぅぅ♡♡♡ ――あ゛っ♡♡♡♡ あ゛ああぁぁぁっ♡♡ お゛ぉぉぉぉっ♡♡♡♡♡ い゛っっ♡♡♡♡♡♡」

 二度連続で激しく身体を跳ねさせ、マリーは絶頂を味わう。息苦しいし、身体は倦怠感を訴えていて――――だけど、とってもキモチイイ。もっとしたい、病み付きになる感覚。吹き出した愛液を顔中に浴びたリズは、怒ることもせずに唇に付いた分を舐めとる。

「マリーちゃん……私も、もう限界なのっ♡♡ 同じこと、私にシてくれるかしら♡♡」

 オンナを犯し、乱れさせる。リズの『中身』はマリーの女体をイかせる過程で既に濡れていた。これは調整行為だからアリアへの浮気じゃない、と『リズ』は自分(リズ)に言い聞かせつつも下着を外し、二人で互いの秘部が重なりあうような体位で身体を寄せあう。敏感になっていた『ソコ』がクチュリ、と艶かしい音を立てて触れあった。

「んぅっ♡♡♡」
「んっ♡♡ ――マリーさん、カワイイ声♡♡」

 自分も僅かに喘いだ事への照れ隠しか、リズはそんな事を口にする。本来なら怪物である『彼ら』には似つかわしくない単語。だが、それを言われたマリーは自分の心が跳ねるのを感じていた。

「うん、ちょうどオッパイのあたりかな……ソコを舐めて貰えると……あぁっ♡♡ 急に吸わないでっ♡♡♡」
「ちゅぅ♡♡ れろっ……♡♡」

 背丈の違う彼女らが『下』を合わせるように並ぶと、背の低いマリーの顔が、ちょうどリズの乳房が触れあう。火照りだしたリズを慰めるように、しかし『雄』としてマリーは乳首を本能的に犯し始めた。

「んぅぅっ♡♡ はぁっ♡♡♡ いいっ♡♡♡♡ きもちいいよっ……♡♡♡」
「ちゅぅ♡♡ ちゅぅぅぅ♡♡ はぁーっ……♡♡♡♡」

 絶頂ほどの快感ではない。しかしお互いに相手の腰とぶつけあい、雌をそれぞれ犯していると錯覚する。倒錯の元で成り立つ性交は、段々と激しさを増していった。

「はぁ゛っ♡♡ はぁーっ♡♡ あぁっ♡♡ くるっ♡♡♡ きてるぅっ♡♡ いっ♡♡♡ あっ♡♡♡ あーっ♡♡♡♡」
「ぢゅるっ♡♡♡♡ むぅっ♡♡ んんんっ♡♡♡♡」

身体と身体がぶつかり合い、パンっ、パンっと肢体の音が響く。目の前の雌がイキそうになっている。このメスを犯している。このメスに、犯されている。リズは、勢いよくマリーを抱き寄せた。

「んっ――♡♡♡♡♡ くぅぅぅぅ♡♡♡♡♡」
「あぁっ♡♡♡ うぅぅぅ――♡♡♡♡」

 最後の衝撃で、二人の我慢は限界を迎える。こらえきったものが崩壊し、びくびくと身体の抑制が効かなくなる。甘く、蕩けたような声を互いに口から漏らし、だらしなく彼女らは床に倒れこんだ。


「そろそろいいかしら、マリー」

口調を崩しリズは聖職者であるマリーに問いかけた。荒い呼吸を落ち着かせ、金色のツインテールを解き、手慣れた動きで長髪に伸ばしながらも、マリーは口元を歪め応ずる。

「はい、わたくしはマリー=クェスネル……ゴブリンの『入れ物』になった冒険者ですっ♡♡」
「ふふっ、話し方も随分と賢くなったんじゃないかしら」
「ええ……この女の知識、頭の回転や無数の魔術が手に取るように解るんです。すっごく楽しいっ……!」

 小鬼(ゴブリン)として、動物的本能にだけ突き動かされて生きてきた『彼』にとって、膨大な知識とそれを『理解できる』という感覚は、元の体では得難い経験だった。ただ肉を貪り喰らい、外敵を殴り、雌を犯すだけのゴブリンとは比べ物にならない程の、『マリーとして』の魂をまるごと乗っ取るという快楽。それを知ったゴブリンは、もはやただの小鬼には戻れなくなった。人間として得た知識で、改めて自分(マリー)の体を品定めし、舌なめずりをした。

「イヒヒ……今のオレ、すっごくカワイイ……♡」
「良かった、小さくて可愛らしい娘が君には似合うかしらって」
「はいっ! ――今の身体って私(オデ)好みの妊み袋ですから♡ これが自分のものになって、毎日ブチ犯せるだなんてっ……♡」

 しかし、神官としての清らかな魂は、既に粗暴な獣の本能に染まりきっていた。姿見に自分の姿を映したマリーは、目の前の少女(自分自身)を陵辱しようと、下衆た目つきで見つめている。

「あー……自分で自分を慰める事は出来ても、セックスするのは無理じゃないかしら」
「……あっ。あぁっ、そんなぁ」
「そんな急に悲しそうな顔をしないでも。ちょっと待ってて……」

 ちょうどマリーが気落ちしつつも、早々に自慰を始めた頃に、リズは隣にいた冒険者の皮に別の『中身』を入れていた。マリーと同じパーティーを組んでいた、倭刀遣い(サムライ)のサクラ=ダイドウジ。黒と褐色の入り混じった砂を内側に入れられ、サクラの躰も徐々に潰れた皮の状態から膨らみを取り戻す。むくり、と立ち上がった彼女は、しかし元の彼女とも中身ともつかぬ状態で、目の焦点が合わないままリズとマリーの二人を見つめる。

「あれ……まりー……? うぅぅ……何だこの体……?」
「ボス、これってどういう……?」
「えーっと、今の私の身体で呼んでくれないかしら、リズって。多分まだ中身が馴染んでないのかも。だけどいずれ適応すると思うから、その間は好きにしてていいよ」

 好きにしてていい、という発言の言外の意図すら解るようになったマリーは、獲物をじっとりと狙うかのようにサクラに近づく。御馳走を前にした獣の様な眼をしたマリーは、傍目から見れば異常にしか見えない。だがサクラは襲い掛からんとするマリーを止めようともせず、ただ彼女を力なく見つめるだけだった。『普段の元気なサクラの姿』を思い出したマリーは、今のサクラとのギャップにまた興奮を味わう。自分(ゴブリン)の知らない事すら、自在に扱えるのだ。

「まりー……なんだか、からだがおかしいよぉ……ふわふわして……とけてるみたい……」
「気持ちいいでしょう♡ 私(わたくし)も溶けて一つに混ざった時、とーっても気持ちよかったのよ♡ だから、サクラちゃんにも教えてあげますわ♡」

 雄(ゴブリン)であった頃では思いつかなかった、女の躰を味わうための方法。互いの唇を重ね合わせ、マリーの方から舌を入れ込む。黒色のサクラの瞳は、ぼやけて何も見えていないかのよう。ただ、頬を赤らめてその行為を受け入れている。生暖かい唾液が二人の口で混ざり合い、互いの体を侵す。起き上がりかけていたサクラの身体が、さらに床に倒れこんだ。

「んくっ……♡♡ じゅるるっ……♡♡ ぷはっ……♡♡ ちゅぅ……♡♡♡」
「こふっ……んんんっ……♡ はぁっ……♡♡ んむぅ……♡♡」

 裸体で交わった2人の間で、熱と熱が混ざり合う。離れた唇から糸を引く涎を、マリーは勿体ないと思う。――そんな感情が芽生えるなんて、思っても居なかった。一緒に冒険して来て、仲良くなって、かけがえのない存在になったサクラ。そんな彼女をマリー自身の手によって汚し、犯しつくす。破滅的で、だけどそんな行為をサクラが受け止めてくれるのが嬉しくて。マリーの感情すら自分自身の物としてゆく『マリーの中身』は彼女とシンクロしつつ、新たな感情に陶酔していた。

「あぁぁ……なんなんだろ……ここ、ぬれちゃってる……こんなのはじめてかも……」
「『今の』サクラさんには初体験かしら♡ もっとフワフワになれるよう、きもちよくして差し上げますわ♡♡♡」 

 マリーの指先が、ぴっちりと閉じているサクラのワレメに当たり優しく撫でる。それと同時に、倒れこむ形になってサクラの乳房を舌で愛撫し始めた。ロングの金髪とおかっぱの黒髪が触れ合い、肢体と肢体とが重なり合う。互いの体温が、直接伝わってくる。

「うぅぅん……♡ あぁっ……♡♡♡ むずがゆい……♡ でも……もっと……♡♡♡♡」
「こんな事も……っ♡♡ してみないかしら♡♡」

 一度おっぱいを舐めるのを止め、ちゅっと最後に啜りあげる。甘い声を上げ、サクラは少し口惜しげな表情。そんな彼女に、マリーは再び口づけする。それと同時に、二人のピンと勃った乳首とを擦り合わせた。

「んっ……♡ くっ……♡♡♡ んううっ……♡♡♡」
「ううっ……♡ ちゅるっ……♡♡ ぷはっ……♡♡ んんっ……♡♡♡♡」

 ピンク色の突起がそれぞれ主張し合うかの如く、触れては揺れ、その度に二人して堪えるようによがる。思わず漏れてしまったかのような吐息と嬌声に、マリーは照れ笑いした。

「ふふっ……サクラさんのおっぱいが気持ちよくて、わたくしも感じてしまいましたわ……♡♡ 一度、イキたそうな顔ね……♡♡♡」
「ふあぁぁぁ……♡♡ なかで……♡♡♡♡ くにくにってぇ……♡♡♡」

 人差し指の先を僅かにサクラの膣口に沈め、爪先だけを動かす。ただ焦らすだけの行為。しかし、サクラを悶えさせるには充分な攻めだった。

「はぁっ……♡ あぁぁっ……♡ あっ♡♡♡♡ んうぅっ――♡♡♡♡」
「サクラさん♡ こんなにお股から漏らしちゃって……♡ かわいい……♡♡♡」

じわりと、自身(マリー)の躰から愛液が染み出す。発情しきった女の、だらしなく交尾を求める様相。こんなものを見せつけられて、『マリー(ゴブリン)』が興奮しないなどということがあろうか。

「ちょっと待ってくださいね……♡ 今、サクラさんの欲しいモノをあげますから……♡♡♡」

 そう言ったマリーは、常人では不可能な事をやってのけた。彼女自身の割れ目から、徐々に何かが現われる。どす黒い色を持ったソレは、本来なら女性に存在してはいけない器官。マリー自身の膣壁を擦り、快楽を発生させながらもソレは勃起した状態で現れた。

「んっ♡ うぅぅっ♡♡ あひっ♡♡ あ゛っ♡♡♡ イっ♡♡♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡♡♡♡」

膣の奥深くから先まで、マリーの身体に挿入するのと真逆の方向にペニスが満たされている。元の小鬼(ゴブリン)としての身体が不定形になり、マリーの皮の中で自在に躰の一部を形成できるようになった能力を利用した結果だった。マリーの身体に、ゴブリンの生殖器官が生えたかのような、歪な存在。秘部から勃ちあがった小鬼の局部は、獲物(サクラ)に襲い掛からんと、ドクドクと脈打っている。

「はぁっ♡ ふぅっ♡ いまからっ♡ いれますわ……♡♡ んっ♡♡♡ はぁぁぁぁっ♡♡♡♡」
「ふっ♡ んうぅ♡♡ あぁっ♡ なかっ♡♡ かたくてっ♡♡♡ ふといの♡♡♡ きてるぅぅ♡♡♡♡♡」

 いつものサクラからは考えられない、セックスする為だけに声をあげ、愛情を求める姿。こんな恥ずかしくて色っぽい仕草を見るのは「マリー」も初めてで、少しドギマギする感情が湧き上がった。しかし、「マリー(ゴブリン)」の本能はこいつを犯せ、よがらせて膣内で射精(なかだし)してしまえ、と叫ぶばかり。本能を止める者は誰も居ない。

「ヌルってして、あったかくって……♡♡ サクラさんのなか、すっごくキモチイイ……♡♡」
「ふぅぅ……♡♡ ――うぅぅ……ねぇ、聞いていい? ワシ……儂(アタシ)って、チンポを挿入れられる側だっけ……?」
「――クスッ♡♡ だってあなたには、おちんちんがないじゃないですか♡♡ つるつるのオマンコで、わたくしの魔羅を受け止めてくれるのでしょう♡♡」

 記憶と魂の同調。始まりだしたそれは、止める事は出来ない。魔物と人の子は、忌み子とされる。異なる性別、種族との間でもうけられた子供は生まれ持った魔力が大きいが不安定だ。その結果魔力を上手く操作できず、自身の人格を破壊する『自爆』に至るケースが多い。しかし、もしも人間の肉体に別種族の魂を直接入れる事が出来れば。今回の実験は、そういう物を見越したものなのだろう、と「マリー」の知恵を使った彼女(ゴブリン)は解釈する。

「ねえ、サクラさん♡♡ こうやってしてると♡♡ カラダがどんどんアツくならないかしら♡♡♡♡」
「うぁっ♡ やめてっ♡♡♡ きゅうに♡♡ パンパンしないでっ♡♡♡ やめてよっ♡♡♡♡」

 緩慢ではあるが、マリーの腰が動く。2人の少女が腹と腹、乳房どうしを擦りあわせながら、手を繋いで快楽に悶える。シンクロしているようで、味わう性的快楽は雄と雌とのソレ。

「はぁっ♡ サクラちゃんのおまんこ♡♡♡ ヒダヒダも♡♡♡ とってもイイっ♡♡♡♡」
「くぅぅっ♡ どうしてっ♡ ワシっ♡ 挿入(い)れられてっ♡ こんなのっ♡ しらないっ♡♡♡♡」
「カワイイ女の子の癖してっ♡♡ ワシなんて言うなっ♡ オラッ♡♡♡」
「はぐっ♡ や゛めっ♡♡♡ あ゛お゛っ♡♡♡ お゛ぉ゛っ♡♡♡」

 慣れてきたのか、マリーは腰の動きを激しくして強く差し込む。濁った喘ぎ声が出るサクラは、徐々にその『中身』に汚染されつつあった。自分の性別にすら混乱が生じ始め、混濁した意識の中で暴力的な快楽に沈められている。痛みはある。だが、乱暴にされているのに不思議な心地よさをサクラは感じていた。

「もぅ♡ むりっ♡ 射精(だ)すよっ♡♡♡ ぜんぶっ♡♡♡ なかでっ♡♡♡ うけとめてっ♡♡♡ 孕んでっ♡♡♡ 孕めっ♡♡♡♡♡」
「うあっ♡ あぐっ♡ ぼくっ♡♡♡ もうだめっ♡♡♡ ぐうっ♡ あ゛お゛っ♡♡♡ お゛ぉっ♡♡♡ あ゛っ♡♡♡ ひゃあぁぁ♡♡♡♡」

雄としての本能を隠さなくなったマリーが、これまで以上に過激に突き立てる。サクラの喘ぎも、理性の片鱗もない獣のような轟音を発するのみ。肉棒がサクラのGスポットを刺激し、子宮が精子を逃すまいとギュッと締め付けた瞬間。遂にマリーの我慢は決壊する。

「あっ――♡♡♡ あ゛ぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡ お゛あ゛っ♡♡ ん゛お゛っ♡♡♡ お゛お゛お゛ぉぉぉぉっ♡♡♡ お゛ごお゛ぉぉっ♡♡♡♡」
「かひっ♡ はっ――♡♡♡ あ゛ぁっ♡ あ゛あぁぁぁっ♡♡♡ う゛ぁぁぁっ♡♡ んううぅぅぅーっ♡♡♡♡ んぐうぅぅぅぅ♡♡♡♡」

 最後の一撃とばかりに腰を打ち付け、ピッタリとくっついた2人。放出されたものを逃すまいと、サクラも全身でホールドする。身体じゅうがキモチいい。快楽で、蕩けそうになる。自分と、自分の中身とが溶け合い、深い所で結びつく感覚。絡み合い、二度と元には戻れないのが彼女たちには解る。

「はぁっ♡ はぁーっ……♡♡ んうぅぅっ♡♡ 『わたくし』が、変わってく……♡ 気持ちいいっ……♡♡♡♡」
「あぁっ……♡ ワシが…… 『ボク』になっていくっ……♡♡♡♡ あったかい……♡♡♡♡」

両者とも体液に塗れており、綺麗な状態とは程遠い。彼女らの美貌を台無しにしかねない格好で、しかしマリーもサクラも多幸感に溺れていた。にゅるん、と動かないままにマリーの肉棒が膣内に収まる。小さな嬌声を出した後に、2人は離れた。

「その身体はどうかしら、サクラさん……いいえ、呪術師(ダークマージ)さん?」
「フンっ、小鬼が気取った言い方など真似しおって」

 『中身』の口調を取り戻し、サクラは立ち上がる。傍らに落ちていた倭刀を抜き、握る手に力を加えて何かを囁く。――すると、抜き身の刃に青白い炎が宿り、魔法剣の形をとる。『元々のサクラ』には魔術の適性が無く、本来は出来ないはずの事。しかし、呪術師の魂が混ざり込んだ今なら、容易な事になってしまっていた。

「すっごい! サクラちゃん、魔法を使えるなんて初めてじゃないかしら! よーしよし♡」
「もう! 同じぐらいの背丈なのにいっつも子ども扱いしてー! ――っとと……儂(ボク)の口調にどうしても引っ張られるな。だがこれはこれで、擬態するには良いかもしれぬ」
「――あれ、2人とも調整は終わったかな」

 一仕事終えたリズが、彼女らの様子を確かめに来る。2人ともが顔を見合わせ、ニヤリと笑顔を作る。まるでいつもの彼女らがそうしているかのような、少女らしく可愛らしい物。

「何を言っているのか、分かりませんわ♡ 私達(わたくしたち)、いつも通りでしょう♡」
「ボクも、なーんにも変わりないよ♡ あっ、だけどボクの『中身』が変わっちゃったから、新しい魔法が使えるんだっ♡」
「うふっ、良かったわねサクラさん♡ 私(わたくし)も前以上に体力が付いた気がしますわ♡ もう一回、サクラさんとシたくなってきたかも……♡」
「ご機嫌なのは何より。だけど、2人には手伝ってもらいたい事があるの」

 リズが転がっている無数の皮たちを指さす。数体が、むくりと動き始めていた。

「『調整』をお願いできるかしら? 君らがやっていた方法と同じで構わないですよ」
「――ええ、分かりましたわ♡」
「そうだね、儂(ボク)ももうひと頑張りするよっ♡」

3人とも、口元を歪める。およそ彼女らには似つかわしくない、邪な笑みだった。


 その晩、冒険者ギルドの明かりは夜通し消えることは無かった。『皮』になっていた冒険者たちに、次々に魔物の魂が注ぎ込まれ混ざってゆく。本来の性別とは異なる体に入れられた「彼ら」が真っ先に行ったのは、「彼女ら」同士による性交だった。代わる代わるに魔羅を出し入れし、お互いの快楽を貪り合う邪悪な夜宴。

「はぁあ゛ぅ♡♡ オークのちんぽっ♡ しゅごっ♡ おくまでぇっ♡ おごっっ♡ きてりゅっ♡♡ んぐぅぅ♡♡ はぁぁぁっ♡」
「うぅっ♡ すっごい締付けっ♡ いつも冒険でケンカしてたけどっ♡ アタシたちのカラダの相性はバツグンだねっ♡♡♡ あっ♡ でるっ♡♡♡」
「はぁっ♡ あぁっ♡♡ シスター♡ 罪深き我がおマンコおぉっ♡ おゆるひくだひゃぃぃぃ♡♡♡」
「神は全て許すでしょう♡ 私めを介して降り注ぐ聖なる水♡ はうっ♡♡♡ これからまいにちっ♡♡ 礼拝の方には注いで差し上げましゅ♡ あぐっ♡ イクぅっ♡♡♡」

 水音と体同士の弾ける音、乗っ取られた女性達の嬌声だけがギルド内に響き渡る。浸食は続いてゆき、やがて街全体の住人が取り戻しのつかないレベルで汚染されてゆく。1つに混ざりきった存在は、最早元には戻れない。それでも、彼女らは幸福だった。あえぎ声の合唱が、身を襲う快楽が、他に何も要らないと思えるほど素晴らしいものだったから。


 今も、その街の近くにあるダンジョンには魔物が棲んでいる。時折街の人間が、数体魔物を狩っては、戦利品を持って帰る。その夜、ギルドを新たに訪れた冒険者達は『生まれ変わる』のだ。生まれ変わった彼女らの傍らには、常に銀髪の槍遣いと、赤髪の錬金術師が居たという。

「しかし……『聖女』エリヌミア、ねぇ……擬態に姿を使ったとはいえ、そんなに強かったのね、あの人達。昔戦った事があるけど、いつの間に『聖女』とやらになったのかしら」

 リズの『中身』の闘争本能は、未だ失われていない。力あるものがあれば、奪って自らのモノにする。例えそれが、伝説上の存在だったとしても。そして、今はそれ以上に楽しみな事がある。奪った力も、身体も、今なら十二分に味わうことが出来る自負がある。

「リズ様っ♡ 神や聖女もボクたちのモノにしましょうよっ♡♡」
「んっ――リズがそうするなら、私もついて行くよ?」
「私(わたくし)も、是非ご一緒したいですわ♡ 聖女様の乱れる所、見たくてたまりません……♡♡」 

 人々が魔の手に堕ちる時。魔のものどもは、神々をも獲物にしようとしていた。

[ 2020/12/14 18:00 ] 憑依モノ祭り(憑依ラヴァーver.) | TB(-) | CM(0)
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