今回はFGOの憑依モノに挑戦してみました。ただ、今回だけ見ると洗脳色が強いです(汗)
次回以降はもう少し憑依に寄せたいです!
注意:FGO6章(下手すれば7章)までのネタバレを含みます!知りたくない場合は読まないことをお勧めします。
「くっ……マスター!凄まじい魔力です……!これは、神霊に匹敵するレベルの……ううっ……あとどれほど持ちこたえられるか分かりません!」
人理崩壊の未来を変えるためいくつもの特異点を旅し、その核となる聖杯を回収してきた人理継続保障機関「カルデア」のマスターとそのデミサーヴァントであるマシュ・キリエライトは突然観測された本来の7つの特異点とは違う位相空間を調査、修正のために訪れた。だが到着した途端にカルデアとの連絡は付かなくなり、気が付けば周囲には何もない空間に捕らわれていた。脱出の方法を探っていたふたりだったが突如何者かの攻撃を受けてしまう。マシュがとっさに構えて攻撃を防いだ盾の向こうにいたのは全身が真っ黒に塗り潰された人型の存在。姿だけで言うならシャドーサーヴァントに非常に似通っているが、ひとつだけ違ったのはその霊基の規模がシャドーサーヴァントのそれとは比べものにはならないほど大きいことだった。
「俺が支配する空間にようこそ。歓迎するぞ、マシュ・キリエライト。さっそくだがお前とそのマスターの魔力、ここで限界まで吐き出してもらう!」
真っ白な光がふたりの眼前を覆った。途方もない力の奔流が盾を握りしめて必死に堪えるマシュに襲い掛かる。後ろにいるマスターを死なせるわけにはいかない。最後のマスターである彼が死ねば文字通り人類に未来はないのだ。
「なぜこれほどの力が……!とてもひとりのサーヴァントのものとは思えません!」
「お前を手に入れるために魔術王から借り受けた力だ。俺はお前のために人であることすらやめた!マシュ・キリエライト……今日からお前のマスターはそいつではなくこの俺だ!」
「私のマスターは先輩だけです!私に“生きたい理由”を与えてくれた先輩のために、私は戦うのです!先輩でなければ、私はここまで来られなかった!だから、私はあなたに立ち向かいます!」
色をくれた先輩のために、とマシュは心のなかで続けた。
それに対して黒い存在は不機嫌そうに押し黙ったがしばらくすると口角を上げた。
「ならばこれ以上の会話は不要だ。」
彼から放たれる光の密度が上がる。空間をも消し飛ばすほどの力がマシュを押しつぶそうとする。
「さあ!限界まで力を絞り出せ!でないとお前もろともマスターは消滅するぞ!ははは!」
「くっ……!絶対にそうはさせません!ギャラハッドさん、力を貸してください!
真名、開帳――
私は、災厄の席に立つ。
それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。
顕現せよ!ロード・キャメロット!!
はあああああっ!!!」
ふたつの力がぶつかり合い、空間を飲み込んだ。
「はあ、はあ、はあ……なんとか耐えました……でも……」
魔力の光線を自分の宝具で凌ぎきったマシュだったが、腕はもう上がらず盾を構える力すら残されていなかった。煤けた全身と毛先が焼け乱れた髪がその威力を物語っていた。
「ふふ、耐えてくれると思っていたぞ。さあ仕上げだ!」
「くっ……!」
黒い存在はマシュに向かって真っすぐ突進する。だがマスター共々持てる力のすべてを使い果たした彼女は避ける事すらままならなかった。
「マスター、ごめんなさい……」
目を瞑ってこの後自分の身に起こるだろう何かを覚悟した。せめて彼だけでも助かることを祈って。
「なぜ謝るんだ?マシュ」
背後を振り返る。そこにいたのは先ほどまで魔力を使い果たし、息を乱しながらも最後まで諦めぬ目つきをしていたマスターだった。
いや、違う。彼と契約している霊基と己の本能が告げる。
これは敵だ。
「あなた、マスターの身体を......!」
てっきり自分の身体を狙われるのだとばかり思っていた。
それならば……
「標的が自分ならば、まだ俺に対抗できると思っていたんだろう?お前には融合した英霊の加護がある。それも盾の英霊だ。外部からの干渉には強い自分なら俺を退けることもできるはずだと」
彼はマシュの思考を読み取ったかの如く言った。
「その通りだ。俺はお前のカラダは奪えない。乗り移ったところで抵抗され、はじき出されるのがオチだ。だがコイツは違うだろう?」
右手を掲げ、手の甲に刻まれたそれを、“令呪”をマシュの方に向ける。
「ま、まさか……」
「マスターがサーヴァントに絶対的な命令を与えることのできる3画の印。どれだけ拒もうがこの強制力の前には歴戦の英霊も無力の奴隷に成り下がる。万全の状態ならまだしも、力を使い果たした今のお前に抗う術はあるか?」
「くっ!マスター目を覚ましてください!マスターならきっと打ち勝て……」
「令呪を以って命ず。マシュ・キリエライト、俺の支配を受け入れろ」
手の甲の令呪が赤い光を放ち、1画が消滅する。
「うあっ!あっ、ああっ!」
それと同時にマシュの瞳が震えた。堪らず両手で抱えた頭のなかには黒い何かが猛烈に流れ込み自分の自我を洗い流そうとする。彼への抵抗の意思を、警戒心を、嫌悪感を瞬く間に奪い去り、代わりに幸福感、愛情、忠誠心を頭いっぱいに満たしていく。自分は彼のモノであるという注ぎ込まれた思考が他のすべてを飲み込むようにぐるぐると渦巻き、身体中を染みわたっていく。
「お前のマスターは誰だ」
カルデアのマスターの肉体を奪ったくろい存在がニヤついた表情で問う。
「わ、私のっ、マス、ターは……せんぱ……」
僅かに残った意思を繋ぎ留め本来の主を答えようとする。
だが……
「ならお前の“本当の”マスターは誰だ」
「うひぃ!わ、わたしのほん、とうの……マスターはっ!あ、あ、あなた、ですっ!あ、いや、ちが…. あぐっ!わたしは、あな、たに仕えるっ…..サーヴァント……!」
即座に「正しい答え」を聞かれ自ら上書きするように主を答える。すると初めからそうであったかのように認識が書き換わる。それが堪らなく恐ろしいはずなのに心の奥底から幸せの感情が止めどなく溢れてくる。
「うぁ、ああ……マスター……ますたー……ぁ……せん、ぱい……」
飲み込まれそうになるなか、心の奥底に眠る旅の記憶が頭をよぎった。楽しいことよりも辛いことの方が多かった。たくさんの人と出会いその分だけの別れがあった。なかには笑顔で終われないものもあった。命の危険に晒され何度も挫けそうになった。
それでも先輩と過ごしたその日々は、かつては何もなかった自分の心のなかで眩しく輝いて温もりを与えてくれる。「色彩」を与えてくれる。
これだけは手放したくないと何かが叫ぶ。それにすがり続ける。
「せん、ぱい……せんぱい……」
「やはり主従関係が切れてもこの男の存在がお前のなかにしぶとく根付いているようだ。それがお前を繋ぎとめている。だが裏を返せばお前にはもうそれしかない。そう、だから……『裏返す』」
再び右手に魔力を込めると令呪が輝き出す。
「令呪を以って命ず。我が下僕よ、お前の価値観を、心のすべてを、“反転”させろ」
「ぁ――――――――」
温もりが消えた。先ほどまであれほど大事に思えた輝かしい思い出は途端に無価値に感じられるようになった。
変わる。
真っ白だった心のキャンバスに鮮やかに描かれた色彩は見る見るうちに滲んでいき、ぐちゃぐちゃに混ざった黒に変わって余白を塗り潰していく。
どうでもよくなっていく。
「あ……♡」
彼との記憶が。
「ああっ……!♡」
彼との絆が。
「はあああああっ♡」
彼の存在そのものが。
そして気づく。
(こんなもの……なんの意味もなかった。私が馬鹿だった。私の命に、意味なんてなかった。ふふ、あははは!)
堕落した女の笑いが脳内で響き渡る。
拠り所に価値を見出せなくなったマシュはそのままひとつ目の命令によって意識を飲み込まれていく。
すべてに価値を見出せなくなっていくなかで彼が心の中心に入り込む。
彼が愛おしい。彼こそが自分の存在理由を与えてくれる唯一の存在。今までの自分なら思いつきもしなかった淫らな考えが頭を支配する。彼に仕えたい。この肉体のすべてを使って喜ばせたい。このたわわに実った胸で挟めば喜ぶだろうか。まだ一度も使ったことのないこの性器で包み込めば褒めてくれるだろうか。
聞いてほしい。自分がよがり狂う声を。見てほしい。主人に服従し、だらしなく乱れる姿を。
私はあなただけの――――――――
「んあああああっ♡♡ ご主人様(マスター)ぁあ~~~っ♡♡」
嬌声とともに忠誠を込めて叫ぶ。
彼女の肉体は黒い存在のものとなった。
「ははは!そうだ、俺がマスターだ!そして、お前のすべてが俺のモノだ!」
大声で笑いながらマシュの頭を掴むと己の存在を流し込む。自分を支配者として認めた今、彼女を守る障壁は一切存在しない。
「令呪を以って命ず!堕ちた我が愛しき乙女よ!俺の存在を魂に深く、傷跡が消えぬほど奥深くに刻み込め!」
「んはあああああっ♡ 入ってくるっ!マスターに……私、塗り潰され……っ♡」
上と下、両方の口から体液が溢れ出し全身を震わせる。
「そうだ!生まれ変わったその肉体、俺がもらった!」
「はい♡ 私のカラダは、あなたのっ、んあっ!モノですっ♡ あ、あ、何か!クる!満たされて、うぁ、あっ!あああああ――――――――♡」
びくん!
身体が大きく跳ねた。黒がマシュのなかに入り込みそれを受け入れるためだけに作り替えられた魂が吸い込んでいく。
「んああああぁあーーーっ♡♡♡♡」
黒いそれがマシュのなかに入りきるとふたりは糸の切れた人形のようにその場に倒れ込む。
僅かな時間の間だけ辺りは静まり返った。
びくん!
二度目に跳ねたマシュの身体。うつぶせに倒れていた状態からゆっくり起き上がりその場に座り込む。
辺りを見回すとピンク色の毛先が視界に入る。試しに触れてみると一部焼けて痛んでしまっているものの、透き通った輝きを放ちながら滑らかな手触りが返ってくる。
視界を下に降ろす。
するとそこにはボディスーツに包まれた豊満な胸が存在を主張しており、すぐ下の地面が見えないほどだ。焦らすようにゆっくりと両手を近づけ上から覆ってみるとマシュマロのような柔らかな感触が手のひらいっぱいに広がった。
その甘美な感覚に思わず笑みがこぼれる。
「これがマシュ・キリエライトの胸……柔らかい……ん、んふぅ……気持ちいい……んぅ……いいです、ご主人様(マスター)ぁ♪…………………. ふふ、ふふふ……ついに手に入れたんだ。このカラダを……穢れを知らなかったこのカラダを内側から真っ黒に染め上げて俺だけのものに……んあっ!あんっ!それに良い声で鳴く……この魅惑的な肉体をたっぷりと情欲で満たしてやるからな……んはっ!」
しばらく指先で胸の突起を弄びながら肉体から発せられる快感を堪能するとゆっくり立ち上がる。
先ほどよりも低い視界。自分が新たな肉体を手に入れたことをより実感させられる。
「こういう変化も面白いな。ま、この肢体ほどではないが」
全身を撫でまわし可憐な少女には相応しくないほど扇情的なボディラインだと改めて思い知らされる。
「こんな素晴らしいカラダが目の前にあるというのにカルデア最後のマスターは手を出さなかったのか……でも後悔しても遅いですよ先輩。私はもうご主人様だけのものですから♪」
魅惑的だが邪悪な笑みを浮かべ、意識を失ったままの男に向かって囁く。
黒い存在は手に入れたマシュの声と口調を使って楽しんでいるのだ。
「さて、そろそろカルデアに戻りますかね。邪魔な記憶を消してから先輩を起こして、内部からゆっくりと崩壊させることにしましょう♪先輩には悪いですけど付き合ってくださいね♪魔術王と『私』の……暇つぶしに♪」