自分の好きなシチュを入れていたら思っていたより長くなってしまいました。今回もいつも通り俺得仕様です。
いろんな方の作風の影響を受けているのでちらほら既視感があるかも知れません。その場合はどうかお許しください。
校閲や修正は後日行うので、早く見てみたいという方はどうぞ。
※2016/06/12 おむらいすさん(TwitterID→@rx78kuroko1)に挿絵を描いて頂いたので掲載します!ありがとうございました!
あれから一週間。鎮守府では何事もなく毎日が過ぎていった。艦娘たちはいつものように、時には談笑し、時には高め合い、時には命を張って戦う日々を過ごしていた。
当然吹雪もその一人だ。しかし違う点がひとつだけあった。つい一週間前まで調子良く敵を倒し、旗艦を沈める事もめずらしくなかった吹雪の戦績が、途端に悪くなってきたのである。砲雷撃戦での攻撃はほとんど命中せず、当たったとしても敵の装甲を掠める程度。あげくの果てに沈め損ねた敵の反撃によって、味方艦隊の被害が大きくなる始末だった。しかし不思議なことに、吹雪がこれらの戦いにおいてかすり傷以上のダメージを負って帰投してくることはなかった。これがただの偶然なのか、それとも敵の気まぐれなのかどうかは定かではない。分かっているのは吹雪の調子が悪いということだけだった。
吹雪の身を案じた提督は、彼女に身体検査を受けさせた上で精神状態の確認も行った。結果至って健康、肉体と精神共に特に異常なし。強いて言うなら少々疲労が溜まっている程度とのことだった。その結果にひとまず安堵した提督だが、大事を取って吹雪には今日から数日の休暇を与えた。彼女が以前の調子を取り戻すことを信じて。
時刻は夕方の17時半。そろそろ出撃していた艦娘たちが鎮守府に戻ってくる頃だ。本来は自分も一緒に出ていたはずの吹雪だったが、提督に休暇を言い渡されたため自室で静養していた。そんな彼女は寝間着で身を包み、ベッドで横になっているが、どうやら寝ようとしている訳ではなさそうだ。代わりにベッドの隣に置いてある目覚まし時計で時間を度々チェックしている。彼女は今か今かと何かを待ちきれない様子だった。
(まだかなまだかな~ぐへへ)
すると――
コンコンッ
ノックの音が聞こえた。遅れて扉の向こうから声がする。
「ヘーイ、ブッキー!お見舞いにきマシタヨー!」
(来たっ!)
英国訛りの独特な口調と元気ハツラツな声で部屋に入ってきた女性は高速戦艦「金剛」。カチューシャ型の電探とスカートの付いた巫女服が特徴的だ。彼女はたくさんの艦娘がいるこの鎮守府において、着任順は上から数えた方が早いというベテランである。秘書艦を務めた経験もある彼女は非常に性格が明るく面倒見も良いため、提督を含む鎮守府の面々から厚い信頼を寄せられている。吹雪の記憶によると時には艦娘のお悩み相談に乗ってあげることもあるらしい。彼女はそれくらい魅力的な女性だった。
「体調はいかがデスカー?疲れを取るハーブティーを持ってきたので一緒に飲みマショウ!」
「金剛さん、ありがとうございます!先ほどまで出撃だったのにすみません……」
本人の記憶を使い「吹雪」を演じる。肉体を完全に定着させた今、男にとって造作もないことだ。現にこの一週間誰にも気づかれていない。いや、気づくことなど不可能だろう。男は吹雪の全てを手に入れたのだから。
「気にしないでくだサーイ!大事な後輩のブッキーのためなら私はたとえ火の中水の中、どこへでも駆けつけマース!だからこれくらいどうってことありませんヨ?それに、ブッキーの『相談』に乗ってあげないといけませんからネ!」
金剛は自分の胸元をこぶしでポンと叩きながら言う。そのとき彼女の胸が少し揺れたのを吹雪は見逃さなかった。
(おお、流石の巨乳!揺れてやがるww)
それを見ただけで演技を忘れてだらしない顔を浮かべてしまいそうになる。
「どうしマシタ?顔が赤いですヨ?やっぱり、まだ体調悪いデスカ……?」
金剛は心配そうに首を傾げながら吹雪を覗き込む。
「い、いえ!大丈夫です!金剛さん、本当にありがとうございます……!私、嬉しいです!」
慌てて取り繕い、なんとかごまかす。
「そうデスカ?ならよかったデス!ではティータイムの準備をしますから、ちょっと待っててくださいネ!」
そう言って金剛は持ってきたハーブティーを淹れ始めた。普段の少し抜けた口調からはあまり感じ取ることはできないが、ハーブティーを淹れるその姿はまさしく気品溢れる英国のお嬢様だった。吹雪はその姿を見て素直に見惚れていた。
(話し方は変だけど、やっぱり綺麗だなぁ……)
流石は金剛四姉妹の長女と見惚れているうちにハーブティーは出来上がった。金剛は吹雪にティーカップを渡すと、自分のを持ったまま吹雪の隣に座った。
「ではティータイムにしまショウ!」
「はい!いただきます!」
(今は“金剛お姉さま”とのお話を楽しむとするか。ククク)
こうしてしばらくハーブティーを楽しみながら談笑した。
数十分後――
「はぁ……金剛さん、ハーブティー美味しかったです。ありがとうございました!元気が出てきた気がします!」
「本当デスカ!?なら良かったデス!ブッキーのために選んだ甲斐がありマシタ!」
2人はハーブティーをすっかり飲み干し、場の空気も非常に和やかになっていた。
(さて、そろそろ本当の“お楽しみ”の時間に入りますか……)
吹雪は内心呟くとこう切り出した。
「それで、『相談』のことなんですけど……」
「そうデシタ!そのために私を呼んだんですよネ!任せてくだサーイ!お姉さんが何でも解決してあげマース!」
「はい……実は――」
(ククク、言ったな?後悔するなよ……)
「じ、実は私……」
「ハイ!」
「金剛さんのことが……」
「私のことが?」
「すっ、好きなんです!!」
吹雪は顔を真っ赤にしながら言う。
「そうだったんデスカー。ブッキーは私のことが……って、What!?」
吹雪に突然に愛の告白をされた。少し遅れてそれを理解した金剛は目を見開いて驚愕した。
「わ、私デスカ!?提督じゃないんデスカ!?てっきりブッキーは提督のことが好きなんだと思ってましたケド!?」
「私もそう思ってました。でもここ最近金剛さんを見かける度に胸がドキドキしてしまって……それで気づいたんです。私は金剛さんが好きなんだって。戦闘中も金剛さんのことを考えるとそればかりに気を取られてしまって……」
「だから攻撃が全然Hitしなくなったんデスカ!?私のせいで!?」
「・・・」
そうだと言えずに黙り込んでしまった吹雪。どうやら本気のようだと金剛は悟った。
「私もブッキーのことは大好きですケド、それはloveではなくlikeの方で、ブッキーを恋愛の対象として見たことはないデース……気持ちはすごく嬉しいケド応えてあげられないネ……ゴメンナサイ……」
金剛は申し訳なさそうに言う。予想外の相談内容に最初は戸惑ったが、彼女は彼女なりに吹雪の気持ちに真っ向から向き合うつもりのようだ。
「・・・・・・・・・」
金剛からの拒絶の言葉を聞いた吹雪の顔が一気に暗くなる。その目には涙さえも浮かべていた。
「……れでも……」
「ブッキー?」
「それでも……!私は……!」
そう言い切ると吹雪は突然金剛に覆いかぶさった。
「ブ、ブッキー!?何をするデース!手を放してくだサイ!」
吹雪にいきなり両腕を掴まれベッドに押し倒された金剛。手を振りほどこうにも彼女のものとは思えないようない力で押さえつけられている。それはまるで男に押し倒されているかのようだった。
「金剛さん……大好きなんです。今すぐ金剛さんとひとつになりたいんです……どうか『私』を受け取ってください……これでやっと……ああ、嬉しい……ふふふ……」
この状況を待ち望んでいたかのように不気味な微笑を浮かべる吹雪。金剛はそんな普段とはかけ離れた彼女に対して恐怖感を抱き始めていた。
「やっぱり今日のブッキーは変デス!きっとまだ疲れてるネ!……私が知っているブッキーはこんなことしない子デスヨ……?」
吹雪を諭すように金剛は言う。
「私のなにが分かるというんですか?金剛さんが知らないだけで私は元からこういうことをするのに躊躇いはありませんよ」
「そんなことありません!ブッキーは優しくて頭のいい子デス!こんなことをしても愛しい人は振り向いてくれないことは分かっているはずネ!お願いですブッキー…….以前のあなたに戻ってくだサイ……」
目に涙を浮かべ懇願する。それに対し吹雪は――
「以前の私……ですか?ふふふ……それは無理ですよ金剛さん……くふっ!……だって以前の『私』はぁ……もうどこにもいないんですからぁ……♪あはははははっ!!」
こみ上げる笑いを堪えるのをやめ、口角を吊り上げけたたましく笑いだした。
「ふ、ぶき……?」
あまりの豹変ぶりに金剛は愛称で呼ぶのを忘れ、彼女の名前をつぶやく。困惑のあまり、いま目の前にいる少女が誰なのか一瞬分からなくなった。この子はこんな邪悪な笑い声を上げる子じゃない。思いやりがあって何事にもまっすぐだった後輩が、こんな笑みを浮かべるはずがない!
「まだ分かりませんか?分かりませんよねぇ……だって今まで『俺』が、完璧に『コイツ』を演じてたんだからなぁ!分かるはずがねえよなぁ……!!ははははは!!」
いつの間にか口調が吹雪のものから男のような粗暴なものに変わっている。
「な、何を言ってるんデスカ吹雪……?『演じてた』……?ま、まさか偽物……!!あなたは誰デスカ!!本当の吹雪はどこデスカ!!答えるネ!!」
「ククク、『偽物』ねえ……確かに支配している心は違う。何せ『俺』がコイツに乗り移ってるんだからな!でもよお、このカラダや記憶、流れる血の一滴まで間違いなく、『吹雪』本人のものだぜ?『俺』が、それを全部奪い取ったんだ……ですから金剛さん、今の『私』はご主人様に良いように扱われるためのイレモノでしかないんです♪あなたがだぁいすきな吹雪ちゃんの魂はもう……永遠にご主人様のものになりましたよ♪」
再び口調を吹雪のものに戻し、金剛に残酷な真実を告げる。
「そんなの……そんなの嘘ネ!あなたは偽物で、本物の吹雪はどこかに捕らわれているはずネ!!」
そんなことを認めるわけにはいかない。認めたくない!それ一心で金剛は吹雪の言葉を否定する。認めてしまえばそれは、吹雪の心と身体が何者かの手におちてしまったことを意味する。それだけは避けなければならなかった。
「はぁ……しょうがないですね。ええっと、どれどれ……」
吹雪は呆れたように言うと右手の人差し指をこめかみに当てて目を瞑り、何かを思い出そうとしているようだった。数秒経って目を瞑ったまま再び口が開くと、文章を読み上げるかのようにスラスラと話しだした。
「来たる○○月△×日、わが艦隊は夜明けと同時に西方海域、カスガダ沖に存在する敵深海棲艦中枢に奇襲をしかけ、撃滅すると共にカスガダマ島の奪還を目指す。編成は金剛、榛名、吹雪、羽黒、加賀、瑞鶴とする。くれぐれも加賀と瑞鶴は喧嘩しないように」
「そ、それは……」
「そうですよ、今度行われる極秘作戦の概要です。こんな大事な情報は参加する艦娘しか知らないはずですよね?でも考えてみれば当たり前のことです。だって『私』が『覚えてる』んですからぁ♪」
「っ!!」
冷笑を浮かべながら吹雪は言った。それを聞いた金剛の表情は完全に凍り付いていた。
もう認めざるを得ない。目の前にいる少女はかつて自分と共に戦ってきた心優しい艦娘ではない。邪悪な存在に全てを乗っ取られ、今は敵として存在している。
大切な後輩は……
もういない。
ならば今の自分にできることは、彼女を止めること。彼女が必至で守ろうとしてきた場所と人々が、彼女自身の手で傷つけられる前に、かつての仲間としてできるのは、その命に終止符を打たせることだけだった。
金剛は――――――――
「吹雪、今までアリガトウ」
覚悟を決めた。
その瞬間、完全に押さえつけられていたはずの金剛がとんでもない力で押し返し始めた。そのあまりの強さに吹雪は驚愕する。
(なんだと!?いくら体格差があるとはいえ、このカラダのリミッターを外しているんだぞ!?並大抵の力じゃ身動きもできねえはずだ!!……ま、まさか……)
「てめえ、俺をこのカラダごと殺す気だな!?」
「吹雪は、私たちの大切な仲間ネ!その仲間の身体を……心を……あなたなんかに渡しマセン!あなたに奪われるくらいなら……ここで私が終わらせマス!」
覚悟を決めた艦娘の力は通常の何倍にもなる。確かに男は吹雪の記憶を通してそれを把握していた。だが、まさか本気で仲間を殺そうとするなんて、男は思いもしなかった。艦娘たちの意志の強さを、絆の強さを見誤っていたのである。このままでは拘束を解かれてしまう。
(なるほど。あいつらも手こずるわけだ)
予想外の事態にも関わらず男は妙に冷静だった。それどころか「フッ」と不敵な笑みを浮かべる。
(しょうがない。もう少しこのカラダで楽しむつもりだったがとっとと事を済ませるか)
すると男は吹雪の顔を使ってとびきりの笑顔でニコッと表情を作った。そして吹雪の口を使い、明るい声で言葉を紡ぐ。
「なら金剛さん、あなたもご主人様のモノになってください♪」
そう言うと、吹雪は突然金剛の唇に口づけをした。
「んむ♪」
「んぶっ!?っっ!!」
突然口を塞がれた金剛が一瞬怯む。吹雪はその隙を見逃さず、再び金剛の身体を完璧に抑え込んだ。彼女が動けなくなったところで舌を入れ、無理やり口を開かせる。
「んんんっ……!!むうううっ!!んがっ……」
僅かに金剛の口が開いた。
(今だ!!)
「ぐむっ!んぐぉぇ……」
すると吹雪の喉元が波打ち、口から白いスライムのようなものが吐き出された。彼女はそれを容赦なく金剛の口、そして喉の奥へと注ぎ込む。あまりの異物感に金剛も目が見開いた。
「んむっ!?むぐうううっ!んんんんっ!!」
金剛はその長い脚をじたばたと動かしながら口から喉へと侵入してくる異物をなんとか吐き出そうとするが、身体と顔をがっちりと抑えつけられ、まともに動くことができない。そうしている間にも異物は金剛の抵抗を無視して侵入、ごくごくと喉を波立たせながら体内へと入っていく。
「んぐっ!おごっ!おええぇっ……!」
一度侵攻を許してしまったものをどうすることもできず、金剛はただ目に涙を浮かべながら身体を痙攣させることしかできなかった。やがて白いスライムが金剛の体内へと入りきる。それと同時に吹雪はいやらしい笑みを浮かべながら拘束を解いた。ようやく解放された金剛は自由に呼吸できるようになった。
「おぇっ!ごほっ……!げほっ……!い、一体……私に何をしたデス……!なに、を……ぁ、頭がぁ……!」
吹雪に詰め寄ろうとした金剛だったが、頭を抱えて苦しみだしてしまった。目の前にモヤがかかり、何かに塗りつぶされていくような感覚。金剛の身体は絶えず震えていた。
「だから言ったじゃないですか。ご主人様のモノになってくださいって。今、あなたの中に『ご主人様』の魂を入れました。もうすぐあなたはその魂に身体を明け渡すことになるんですよ♪ああっ、嬉しい!これで金剛さんも『ご主人様』のイレモノになるんですね……はあぁっ……♪」
吹雪が恍惚とした表情で身もだえながら言う。
しかし金剛には拭えない疑問がひとつあった。
「どう、して……あなたは意識を、失わない……デスカ……」
そう、吹雪の身体を支配していたモノが自分に移ったなら、吹雪の身体はもう抜け殻のはず。それなのに彼女はなんら変りなく行動できている。その理由が分からなかった。
「ああ、私の中にも『俺』の一部が入ってるんですよ。いわゆる分身ってやつですね。この後あなたの身体を絶頂させて、金剛さんの全てを手に入れるために、2人でい~っぱいエッチで楽しいことをしたいなと思ったので残しておきました♪」
恥ずかしげもなくさらっと言う吹雪。男はとことん彼女の身体を利用するつもりのようだ。
「あ、あなたのっ思い通りには……させ、ない……ネ……!このことを、誰……かにっ」
そういうと金剛は身体を震わせたまま立ち上がり、おぼつかない足でふらつきながら、ゆっくりと部屋から出る扉へと向かっていく。
「へえ、『俺』本体が乗り移ってるのにまだ意識を保っていられるんだ。流石はベテラン、精神力が違うね」
吹雪はニヤニヤしながら言うだけで特に追うようなことはしない。外へと向かう金剛をただ見守っている。
当の金剛は遠のいていく意識を必死に手繰り寄せながら歩を進めていく。
「はぁ……はぁっ……」
(私が、伝えないと……いけマ、セン……)
だが進むにつれてその足取りはどんどん重くなっていく。
「はぁ……はぁ……うあぁっ……」
(提督に……伝えないと……吹雪……が、あぁぁ……ちん、じゅふが……あぶ……な、ぁ……てい…………と……………….)
「・・・・・・・・・」
扉の目の前で足が止まった。その右手はドアノブへと伸ばされている。だがその手が扉に触れることはなかった。金剛の身体はまるで時が止まったかのように完全に停止し、部屋は静寂に包まれる。結局吹雪はその様を最後まで見つめているだけだった。
長い沈黙の後、金剛の右手がゆっくりと降ろされた。静かに佇まいを直し、金剛は吹雪に背を向けたまま黙っている。
「その身体はどうですか?『金剛』さん」
吹雪の呼びかけに身体がビクッと反応し、金剛はゆっくり振り返る。
「そうですネ……」
その顔からは一切の感情は読み取れない。全くの無表情である。両手を上げゆっくり開け閉めをしながら自分の身体を見下ろす金剛。そしてそのまま……
勢い良く自分の豊満な胸を鷲掴みにした。金剛の手には収まりきらないサイズの胸がいやらしく形を変える。すると無表情だった顔がいともたやすくとろけていった。
「とぉ~ってもいいカラダデ~ス……はぁ……♪これで『私』も『俺』の所有物なのですネ……ブッキーのカラダも悪くなかったですケド、オトナの女性の感覚は最高ネ……あぁんっ……」
金剛の身体を乗っ取った男は本人の口調を真似ながら甘い吐息を漏らし、ようやく手に入れた身体を頭から足先まで撫でまわしている。肌が触れる感触と触られる感触、ひとつひとつをゆっくりと楽しむ。それだけで股間がじゅんっと疼きだす。男の興奮に金剛の身体が反応している証しだった。その様子に眺めている吹雪も嬉しそうだ。
「ふふふ、気に入ってもらえて良かったです。これでもう一度『仲間』になれますね!金剛さん!」
「ハーイ、ブッキー!『私』も『俺』に変えてくれてありがとうございマース!一緒に『俺』の道具として頑張りましょうネ!」
2人とも本人と同じ口調と声色で話しているが、内容は普段のものからかけ離れており、その表情も彼女たちのものとは思えないニヤニヤとしたいやらしいものだった。
「では金剛さん、早速ですが身体だけではなく、心も記憶もぜ~んぶ『ご主人様』に捧げてしまいましょうか♪というよりさっき『ご主人様』に乗っ取られていく様子を見て、私も興奮してしまったので早くエッチしましょう!」
「私もこのカラダで早くオトナの快感を味わいたくて、アソコがキュンキュンしていマス♪ブッキー、『私』の全てを『俺』のものにするお手伝いをしてくだサイ♪」
金剛はわざとらしくお尻を振りながら、吹雪が待つベッドへと戻っていく。
「はい……!喜んで!」
こうして2人の淫らな夜は始まった。
暗くなった部屋のベッドの上で、吹雪と金剛がお互いに抱き合っている。熱い視線で見つめ合いながら、どちらからともなく口づけを交わす。どうやら舌も入れているようだ。
「んむっ……んはっ……んちゅっ……」
「あはっ……じゅるっ……むふっ……ん!?んはぁん!」
いきなり金剛が嬌声を上げ、口を離す。2人の唇からいやらしい唾液のアーチが出来上がっていた。
「ブッキー、いきなりおっぱいを揉むなんてずるいデス……♡ 気持ちよくて声が出てしまいマシタ……はふぅ……」
「だって目の前にこんなにいやらしいおっぱいがあったら触りたくなるに決まってるじゃないですか。私のよりずっと大きいのに形も良くて羨ましいです」
吹雪は金剛の胸をモニュモニュと揉みながら少し恨めしそうに言う。
「ああんっ!んぁっ……!そ、そんなことないですヨ?ブッキーの掌サイズのおっぱいだってプニプニして可愛いデス。それっ!」
お返しとばかりに吹雪の慎ましい胸を丁寧に揉みほぐす。
「あっ!ふあぁぁっ……金剛さん、それ……良いですぅ……♪」
「ブッキー、気持ちよさそうネ……ならこれもどうデスカ?ほらっ!」
金剛は吹雪のパジャマのなか、更にはブラジャーの下に両手を直接入れ、緩やかな双丘を揉みしだく。ダメ押しと言わんばかりに手のひらで胸の頂きにある小さなつぼみもころころと刺激する。服の下で蠢く手がなんともいやらしい。彼女の責めに吹雪の身体が小さく跳ねる。
「ひゃああっ!こ、金剛さん……!んぁっはっ……そ、そんなっ、ぁっ……だめですぅ♡」
吹雪の発達途上な身体が快感でどんどん高みへと上り詰めていく。金剛の手の動きも気づけば吹雪の乳首を摘まみあげるものに変わっていた。
「あはぁっ!金剛さんっ、待ってくださ、ぁああっ!待ってぇ……待ってまって、まっ......!……………んっ、んはああぁっ……♡」
声を上げ、吹雪が口から涎を垂らしながらゆっくりと脱力する。どうやら軽くイッてしまったようだ。その様子に金剛は満足そうに笑みを浮かべる。
「私の責めはどうデシタ?気持ちよかったデスカ?イッちゃいましたカ?にひひっ」
「あはぁ……はぁ……はぁ……待てって、言っただろ……」
吹雪は息を整えながら男口調で金剛に抗議する。
「へへへ、だってブッキーの悶える顔が可愛かっ……きゃっ!」
突如ベッドに押し倒された。顔の左右に吹雪の両手が置かれ、その上に真正面を向く形で彼女が覆いかぶさってきた。
「はっ……ぶ、ブッキー…..」
急に押し倒されたことに驚きながらも、その目からは期待の眼差しが放たれていた。
「今度は俺……いえ、『私』が金剛さんをイカせる番ですよ♪」
笑顔で言うと吹雪は金剛の巫女服をはだけさせた。すると眼前に彼女のサラシに巻かれた大きな胸と見事な谷間が現れる。思わずむしゃぶりつきたくなるほど、その白くきめ細やかな肌がまぶしく感じられた。
「ぐへへ、本当にスケベなおっぱいをしてますね。こんなの欲情するなって方が無理ですよ」
そう言いながらサラシを掴んで下にズラす。金剛の胸がブルンっと揺れ、その全容が露わになった。肌がほんのり上気している。興奮しているからなのか、その胸の頂点あった綺麗な桜色の乳首は既にぴんっと上を向いていた。その様子に金剛自身も目が釘づけだ。向こうからもさぞ壮観な眺めなのだろう、彼女の心拍数が上がったことが手に取るように分かる。
「あははっ!もう乳首が勃ってるなんて金剛さんは変態ですね♪」
「へ、変態でいいデス……だから、早く私のおっぱいを弄ってください……もう待ちきれないネ……早くぅ……」
悩まし気な表情で吹雪に懇願する。その顔を見て吹雪の胸が思わずドクンっと高鳴る。それは彼女を本気にさせるのに十分だった。両手を使って金剛のたわわに実った胸を掬い上げるように揉む。それによって谷間が深くなったり浅くなったりと、より扇情的な光景になった。
「あんっ♪…はあっ……あはぁ……おっぱいを揉まれるの、気持ちいいデス……んっ……!」
金剛はされるがままに、身体を時折捻らせながら快感を受け入れる。
それに気を良くした吹雪は更に彼女の胸の感触を楽しむ。もちろん金剛をよがらせることも忘れずに。
「ふふふ、さっきよりも乳首が勃ってきましたよぉ?私も摘ままれた時は気持ちよかったですし、お礼をしてあげますね。ほらっ」
そう言って両手の指で胸の先にある突起を摘まみ上げた。その途端に金剛の背中が跳ねた。
「んああっ!?あっ、ああん!そ、それ……!それぇ!気持ちいいデス……!背中に電気が通ったみたいにビクビクってしマス……!もっとしてくだサイ……!」
「さっきまで私の身体を好きにさせないとか言ってたのにそんなこと言っていいんですか?今の私は得体の知れない何かに乗っ取られているんですよ?助けなくていいんですかぁ?」
「もういい……!もうそんなことどうだっていいネ……!気持ちよくなれれば何もかもどうなってもどうでもいいデス……!」
本来の金剛なら絶対言わないであろう言葉が彼女の口から放たれる。もちろんこれは本来の金剛の本心ではない。金剛に乗り移った男が言わせているのである。
「あははっ、『今』の金剛さんはとってもスケベでいやらしくて……私、大好きです」
言い終わると吹雪は左を指で摘まみ上げたまま、右の乳首を口に含んだ。舌を使い、乳輪をなぞるように舐め回す。
「ひゃああああああっ!ふあっ、ああああんっ!ち、ちくびっ!舐められると……はああんっ……!声がっ、勝手にっ♪んあああっ……!お、抑えられ、ないっ!はぁっ♪」
快感に翻弄されるあまり金剛の嬌声はどんどん大きくなっていく。吹雪はふと股間の方に目をやると、スカートがめくれ白い下着が晒されていた。よく見るとクロッチの部分がしっとり濡れているのが分かる。それを見て吹雪は左の乳首を弄るのをやめ、左手で下着の濡れている部分を撫でた。
「金剛さぁん♡ もうここがグショグショみたいですよぉ?」
甘い声で金剛の耳の前で囁く。するとそれに呼応して金剛の身体がぞくぞくっと反応した。
「はあああんっ!耳元で囁かないでくだサイ……アソコがキュンとしてしまいマス……んんっ♪」
「今からここをもぉっとキュンキュンさせてあげますよ♪」
吹雪が下着をズラし、愛液が溢れる秘所に手を当て、割れ目に沿って中指を上下させる。さらに親指でクリトリスを擦り、金剛を快楽の海へと沈めていく。
「ああっ、あっ、はあっ!んああああっ♪だめっ!気持ちよすぎて……腰がっ!ひゃあああうぅ、あっはああああぁっ♡」
腰が勝手に上下し、全身で快感を受け止める。口から唾液が漏れ、ベッドシーツは愛液でびしょびしょになっていた。絶頂の瞬間は近そうだ。
「じゃあ金剛さん、最後は一緒に気持ちよくなりましょう?」
そう言うと吹雪は自分のパジャマとパンツを脱ぎ、金剛の股の間に自分の股をくっつけた。2人のアソコから溢れる愛液が混じり合う。吹雪の腰が前後し始めた。
「ああっ!はっ、はっ、あっ、ああっ!!」
「んああっ!あっ、あっ、はっ、ひゃああっ!!」
2人の嬌声が重なり合い淫靡なハーモニーを作り出す。お互いの声が興奮を高めていく。
金剛はより快楽を貪るために自分の胸を揉みしだき、乳首を刺激し始めた。それにより更なる快楽の渦に飲まれ、今にも溺れてしまいそうだ。
「はあああんっ!ふあっ、はっ、あっ、んああああっ!!わ、私……もうイキそう……ネ….!『私』の全て、がっ、はっ、あっ♪『俺』に取られちゃぁああああっ♡」
「はい!金剛さん!イッてください!はああっ♪ 私の目の前で無様にイッて、『ご主人様』に全てを明け渡してください!」
ラストスパートと言わんばかりに2人の腰の動きが激しくなる。背中から全身へと走る電流のような快感に身体が激しく痙攣する。そしてとうとう限界の時を迎えた。
「あっ、ああっ♪ な、なにかクるっ、あっ、やっ、あっあっ、はああああっ♪」
「金剛さんイッて!イッてイッて!私も、一緒に!あっあっあっあああっ♡」
「はああああっ!!あっ、あっ、ああっ……んああああああああっ♡」
「ふわああああっ!!んぁっ、はっ、はあっ……あああああああぁっ♪」
2人の身体を弓なりに反り、足をぴんと伸ばす。アソコからは大量の愛液が溢れ、辺りにメスのいやらしいにおいが充満した。絶頂の快楽を受け止めきると、2人糸が切れたかのように力が抜け、抱き合うようにベッドに身を預けた。
しばらくして吹雪が上半身ゆっくりと起こした。自分達が作り上げた淫らな現場を眺めてニヤッと笑い、金剛に尋ねる。
「気分はどうですか?金剛さん。いえ、『ご主人様』?」
金剛も服が乱れたままゆっくり起き上がり、自分の身体を見下ろす。そして問いに答えるべく口を開いた。
「ふふふ、あははっ……!やっと本当の『私』になれた気がシマース!ぐへへっ!はぁっ♪やっと全部が手に入った……!」
下品な笑い声をあげて自分の身体を抱きしめる金剛。無事絶頂を果たし、男は金剛の心と身体の両方を手に入れた。明るく、仲間思いだった金剛の頭の中は、男の欲望によって邪悪なものに塗り替えられてしまった。これで彼女も吹雪と同じように、男の支配下となった。
「それにしても危なかったよなぁ……『俺』ごと吹雪を殺そうとするなんて。分身体ならまだしも、本体が入ったままやられてたら本当にお陀仏だったぞ」
突然吹雪が金剛に男口調で話を投げかける。
「確かにな……『俺』は本物の幽霊みたいにカラダを壊されても抜け出ればいいというわけにはいかない。肉体に入ったまま殺されると『俺』も道連れになっちまう。なにせ俺は……
深海棲艦に造られた存在だからな」