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【憑依モノ祭り12日目】姫と女騎士と裏切りの……

作者:ヴァレー
作者コメント:性癖めっちゃ詰め込みました。ぜひシコってほしいですね!



「くっ、痛っ……」

「大丈夫ですか姫様!? まさか捕らわれた際にお怪我を?」

「いえ、大丈夫よ。鎖の縛りが少しキツかっただけ、特に怪我はしてないわ。それよりもなんとかここから脱出する方法を考えないと……どうかしらアリス?」

ガタンゴトンと揺れる馬車の中、その馬車内の牢屋に、二人の少女が閉じ込められていた。片方は鎖で両足を繋がれている銀髪の女の子だ。絹のような細やかな髪に、澄んだ碧の瞳、女神的とも形容される豊満かつ均整のとれたスタイルの身体で、見た人間全てが見惚れるほどの美少女である。加えて、細かなフリルや豪奢な宝石があしらわれた鮮やかなドレスを身につけており、とても高貴な身分であることが分かる。

それもそのはず、露出された彼女の胸元には『王家の紋章』が刻まれていた。これはこの国、ラ・トゥール王国の王族のみに表れるとされる聖痕であり、彼女がラ・トゥール国の第一王女――ヴィクトリア・ラ・トゥール・ウィンザーであることを示している。

「はい……捕まったといってもここはまだラ・トゥール国内のようですので、脱出する隙はあります」

そんなヴィクトリア姫の傍らに控えるのは金髪ロングヘアの女騎士だ。温和な雰囲気のヴィクトリアとは対照的にツリ目で生真面目そうなオーラを放っている。イブニングドレスをベースとした鮮やかな鎧ドレスを着込んでおり、その華やかさは「戦乙女」を連想させる。特にミニスカートとブーツの間にある絶対領域は見る者を釘付けにするだろう。

「捕らわれてからまだそこまで時間は経っていません。となれば近くには我が父……公爵家の別邸もあります。そこまで逃げ切れれば安心でしょう」

彼女はヴィクトリア直属の護衛であり、古くから王家に仕える公爵家の長女でもあるアリス・フォン・ヘッセンだ。王国内でも卓越した剣技を持つ騎士として知られ、若干18歳ながらヴィクトリアの護衛に抜擢された才女である。

「そう、ですか。………ありがとうございますアリス。そして申し訳ありません、私が花畑に行きたいなどと言わなければこんなことにはならなかったのに」

彼女らは普段、王都に住んでおり、今回は領地の視察のため、公爵家の別邸に滞在していたのだが、姫のわがままにより、つい数時間前、森の奥にある花畑に二人だけで訪れていた。そこは本来、一部の者しか知らない王族のお忍びスポットであり、危険とは無縁の場所であるはずだった。しかし――

「謝らないでください姫様。貴女を守りきれなかった私の失態です。まさかあそこで背後から襲われるとは……」

花畑にはなんと三人の敵国スパイが待ち伏せており、二人を背後から奇襲してきたのだった。ギリギリで奇襲に気がついたアリスは身を呈してヴィクトリアを守ったが、スパイの剣には神経毒が塗られており、身動きが取れず、得意の剣を抜くことすらできず簡単に敗北してしまったのであった。しかしながら、アリスは毒に犯されながらも必死の抵抗により姫を守り、わずかながら時間を稼ぐことに成功した。思ったより時間がかかったことで、慌てたスパイ達は十分な拘束もせず、馬車の牢に二人を放り込み、現在に至っている。

「ですが、毒もほとんど抜けましたし、手は縛られていますがこの程度の拘束ならば抜け出せます。スパイ達の気が逸れたタイミングで、私が隙を見て脱出のための道を開きますのでもうしばらくのご辛抱を」

アリスは少し緩めた拘束縄をヴィクトリアに見せる。それを見てヴィクトリアはホッと安心し、アリスを労る。

「分かりました。ではそのように」

「はっ、必ずや姫様を無事に送り返してみせます!」

アリスは頭を垂れ、騎士の誓いを立てる。ラ・トゥール王国に伝わる、由緒正しき騎士の礼である。

(やはりアリスは頼りになりますね。このような忠義に満ちた家臣がいて、私は幸せ者の姫です)

その姿は拘束されてなお非常に頼もしいものであり、彼女に任せれば絶対にここから逃げ出せるとヴィクトリアは強く感じた。

(でも……)

だが一方で、ヴィクトリアの心には奇妙な不安感も付き纏っていた。捕らわれたことによる不安ではない。その不安は忠義を見せるアリスを見るほどに大きくなっていった。

(何故でしょう、このように不安を感じるのは。………そもそもスパイはどうやってあの花畑のことを知ったのでしょうか? あの場所はそれこそアリスのような王国に忠誠を誓っている、王家の信に厚いものしか知らないはず……)

ヴィクトリアは思考をぐるぐると回すが、結局その不安感の理由は分からないまま、馬車は道なき道を進んでいくのだった―――


==


ガタッ―――

それからしばらくした後、馬車が急に止まった。そして同時に外で話し声が聞こえてきた。どうやらスパイ達が会話しているようだ。

「――っ、アリス……!」

「はい……! 姫様、走る用意をしておいてください」

アリスは牢に耳を当て、外の会話を聞き取りつつ、自分とヴィクトリアの拘束を緩め、いつでも縄をほどけるように準備する。

「どうやら、別の馬車に載せ替えられるようです。しかも準備のために一人が遠くに離れていますね……チャンスです」

アリスの言葉にヴィクトリアも覚悟を決める。ここからは生きるか死ぬかの瀬戸際だ。

「おい、お姫さん立ちな。向こうの場所まで移動してもらうぜ」

すると、馬車内にスパイの男の一人が入ってきた。二人に移動するように促すと牢の鍵を開け、二人を外に出す。一旦そのまま従い馬車を出ると、鍵を開けた男の他に一人見張りがいるのみであった。スパイ達は武器を持っているものの軽装であり、十分倒すことができるであろう様子だ。

(姫様、私が合図したら全力で走ってください)

(ええ、分かったわ)

スパイ達に気づかれないようにこっそり目配せをして、意思の疎通をするアリスとヴィクトリア。そして、二人を先導するスパイの男がほんの少し目を離した瞬間、アリスは拘束縄を千切り、目の前の男に体当たりした。

「おわっ!?」

背後からの強烈なタックルに、目の前にいたスパイは盛大に転倒する。同時にヴィクトリアの方も少々もたつきながらもアリスに緩めてもらった縄をなんとかほどいた。

「て、てめぇ!!」

もう一人の、見張りのほうのスパイが慌てて腰から剣を抜こうとするが、アリスは自由になった両手でそれを抑え、組み付いた。力は均衡し、二人は膠着状態になり、ヴィクトリアの目の前に空間が開く。

「今です姫様!!」

その一瞬の隙にアリスは叫び、ヴィクトリアは言われるがままに駆け出す。スパイとアリスの横をすり抜け、包囲の外へと踏み出す。

(やった! 成功したわ!)

倒れているスパイも踏み越え、馬車からどんどん離れていく。後ろをチラリと見ると、もうスパイからは大きく距離を取ることができていた。さらにアリスは組み付いているスパイを押し込んでいる。剣を奪い、倒しきるのも時間の問題だろう。

(はぁ……怖かった。でもなんとかなってよかったわ。ふふ、別邸に戻れたらアリスをしっかり労ってあげないと)



走りつつも完全に誘拐から逃れられたと確信したヴィクトリアは、そのようなことを考える。強ばっていた顔も緩み、笑顔になる。

「たあっ!! よし……姫様、今行きます!」

そして、敵を倒したであろうアリスを迎えようと再び振り向こうとする――――



「な~んてな♪」



――――瞬間、ヴィクトリアは背後から強烈な一撃を受けた。何かが背中に刺さり、目の前の視界が歪んだ。

「え? きゃっ!?」

ヴィクトリアは身体のバランスを崩し、大きく転倒する。幸い地面は小さな草むらだったので傷付きはしなかったが、思いっきり地面に倒れ込んでしまう。

「うっ、痛っ……な、に? 今のは……っ、と、とにかく逃げないと」

なにが起こったのかまるで分からないヴィクトリアだが、危機感を覚えた彼女は、アリスに言われた通り、とにかく逃げなくてはと、急いで起き上がろうとする。

「あ、あれ? 身体が動かない……(これってさっきのアリスと同じ……?)」

しかし、起き上がろうとしても身体が全くいうことを聞かなかった。意識ははっきりしているのに手足がピリピリとしびれ、少しずつしか身体が動かない。これは先ほどまでアリスが喰らっていた神経毒と全く同じ症状である。

「ひゃっはっは! ここまで綺麗に騙されてくるとは思わなかったぜ姫さんよぉ」


――身体が動かずもがいていると背後から笑い声が聞こえてきた。

ヴィクトリアはわけもわからず困惑の表情を浮かべる。スパイたちはアリスによって倒され、自分はその包囲から逃げ出すことに成功していたはずであった。なのに何故自分は後ろから攻撃され、地面に倒れているのか。そして何故、後ろから自分の最も信頼する家臣の………アリスの下品な笑い声が聞こえてくるのか。

「希望の道筋を与えられ、それを裏切られる……その瞬間が人は一番イイ顔をする。いやあ、『俺』の言葉を信じて必死に走る姿は滑稽だったぜ姫さん? ならず者どもを使って演出したかいがあるってもんだ」

「え? え? あ、アリス……?」

神経毒で言うことを聞かない身体で、ゆっくりと振り向く。そして後ろにいるアリスの姿を見てヴィクトリアの顔は絶望に染まる。無様に地面を這うヴィクトリアの元に、アリスがケタケタと笑いながら近づいてくる。そして、ヴィクトリアの背中に刺さった神経毒付き小型ナイフを抜き取り、舌なめずりをすると、さらに邪悪な笑みを浮かべた。口角は吊り上がり、目は細く濁っている。その表情は、普段の真面目で気品に満ちた女騎士であるアリスが絶対するはずもないものであった。

「あ、り、アリス……? ど、どういうことなの? なんで貴女が私を……」

ヴィクトリアの当然の疑問にアリスはニタニタと笑うだけだ。

「この身体……アリスちゃんだっけか? こいつも俺に乗っ取られる瞬間、今の姫さんみたいな顔してたなあ。いやあ、美少女の絶望顔は何度見てもたまらねえもんだぜ♪」

アリスはヴィクトリアの目の前にしゃがみ、彼女の表情をじっくりと観察する(しゃがむ、と言ってもアリスの体勢は足を大きく開き、両膝に肘を乗せた、いわゆるうんこ座りと呼ばれるものであり気品の欠片もないものであった。スカートから下着も丸見えだ)。

「くく、こうしてじっくり間近で見ると俺好みの顔してやがるぜ。特におっぱいはアリスちゃんより姫さんの方がでかそうだな。ま、こっちのおっぱいも感度がよくて悪くなかったがな、ははっ♪」

さらにアリスはそのように言うと、鎧と肌着の間に手を突っ込み、自身の胸を乱雑に揉み始めた。下卑た笑みを浮かべ、鼻の下を伸ばし、下着が見えることも厭わず、脚を開き、快楽に耽るその姿はまるで身分の低い男のようであり、目の前のアリスは、アリス本人ではないとヴィクトリアに思わせるものであった。

「貴女……アリスではないのですか? 一体何者ですか!? どうしてこんなことを!!」

「ん~?? 俺は正真正銘、ラ・トゥール王国、公爵家嫡子のアリス・フォン・ヘッセンだぜぇ? まあ、それは身体だけで中身は別物なんだけどな♪」

「中身は別物……?」

困惑するヴィクトリアに対し、アリスの偽物(?) は大仰に身振りをしながら、自らの身体をヴィクトリアに見せつけつつ、得意げに解説を始める。

「中身―――本来の俺は帝国でスパイをやっていたしがねえおっさんさ。不細工で貧乏で、アリスちゃんや姫さんとは正反対のな。だが、今はちげえ。俺は魂だけの存在になってアリスちゃんの身体に憑依したのさ。この『憑依薬』を使ってな」

アリスの偽物は胸元から一つの小瓶を取り出した。それは紫色のような虹色のような、泥のような水のような、この世のものとは思えない不定の姿をしていた。見るだけで冒涜的な気配を感じ、明らかに黒魔術的な代物であるのがヴィクトリアにも分かった。

「その薬を使ってアリスの身体を奪ったということですか……?」

「あぁ、そういうことだ。この身体の主導権は完全に俺のもんで、アリスちゃんの精神はもういねえ」

アリスの偽物はウットリとした表情で、アリスの身体を乗っ取った時の詳細を語り始める。

まず、そもそもとして、この男は敵国のスパイではないらしい。正確には元スパイで、憑依薬を手に入れたのを機にスパイを辞め、国から脱走し、第二の人生を謳歌するため、乗っ取る身体を探していたとのことだ。そしてその道中でアリスとヴィクトリアを見つけ、その姿に一目惚れし、自分の新たなボディにすることを決めたという。

「そんな……なんて身勝手な……」

男が語るあまりに自分勝手の事情に、ヴィクトリアは愕然とする。こんな汚らわしい男の勝手な欲望によって、アリスが身体を操られ、辱めを受けているという事実は到底受け入れられるものではなかった。

「はっ、てめえら王族や貴族が贅沢な暮らしをしている裏で、俺たち貧乏人は泥水をすすりながら生きてたんだ。身体ぐらい奪わねえと釣り合いがとれねえ」

男は姫の言葉にさらに自分勝手な理屈を並べ、言葉を吐き捨てる。そしてその言葉さえもアリスの口と声で発せられているため、ヴィクトリアにとってとても聞くに堪えないものであった。

「いやぁ、それにしても乗っ取る瞬間のアリスちゃんはホントに良かったぜ? 俺が中に入っていくたびに『姫様、姫様』って泣き叫んでよぉ。ボロボロ涙流したり、お漏らししながらも必死に抵抗してさぁ、すっげえ無様で思わず感動しちまったよ」

男はさらに憑依薬を使った時のことを自慢するように語る。アリスがこの男に乗っ取られたのはほんの数日前。姫が寝床に着いた後、別邸の庭を見回っているときに襲われたらしい。今回のように背後から襲い、そのまま霊体となった自身を耳や口から侵入させ、少しずつ身体の主導権を奪っていったそうだ。

「ホントはそのまま姫さんの身体も奪っちまうつもりだったんだけどなぁ。アリスちゃんの絶望顔があんまりにも綺麗だったから、姫さんのそんな顔も見たくなっちまってよぉ。数日の間、アリスちゃんに成りすまして、この誘拐劇を演じたってわけよ」

そして男はヴィクトリアにとって衝撃の事実を語る。なんとこの一連の誘拐劇はアリスを乗っ取った男の自作自演だったというのだ。

「じゃ、じゃああの花畑で待ち伏せされていたのは……」

「あぁ、俺があらかじめならず者を雇って待機させてたのさ。アリスちゃんの記憶を読んだら、姫さんが花畑に行きたがっていたって分かったからな。うまいこと誘導しようかと思ってたが、あんたから行きたがってくれて助かったぜ♪ 記憶を読めたおかげで俺のアリスちゃん演技にすっかり騙されてくれたしな」

(そん、な……昨日までの、いつも通り優しかったアリスが偽物だったというの?)

さらにはこの数日共に過ごしたアリスは既に乗っ取られており、いつも通り別邸で優しく世話をしてくれたアリスも、誘拐後に励ましてくれたアリスも、全て男による演技だったという。ヴィクトリアはアリスのことを一番分かっていると自負していたにもかかわらず、全く見抜けなかったことに動揺を隠せない。

「ま、見抜けなかったのも無理ないさ。憑依薬で記憶を読み取れば、元の持ち主の記憶や嗜好、仕草まで完全にトレースできるからな」

そんなヴィクトリアを見て、男はアリスの顔でケラケラと笑う。

「なんならもう一回見せてやろうか? ンンッ――――これでどうですか姫様。こうすればどこからどう見ても『私』でしょう? ふふ、昨日の姫様可愛かったですよ。中身が『俺』ともしらず無防備な姿を何度も晒して………あぁ、あと偶然を装っておっぱい触った時も全然気がつかなくてちょっと笑っちゃいそうになりましたね」

男が一拍間を置くと、その雰囲気は一変し、本物のアリスそっくりの雰囲気・口調・仕草になる。まるで違和感がない。だが、話している内容は下品なモノであり、元に戻ったわけではないのが分かる。

「――っ、アリスの声でそんな風に話すのは止めなさい!! これ以上アリスの尊厳を侮辱するなら私が許さないわ!! はやくアリスの身体を返しなさい!! この下郎!」

煽るように話す男に対して、ヴィクトリアは憤慨し、声を荒げる。

「さっきも言っただろぉ? アリスちゃんの精神はもういないってな。俺の魂は、既にアリスちゃんの精神を喰らいつくしている、もう俺自身がアリスちゃんそのものなんだよぉ!」

憤るヴィクトリアに対して、男は高笑いする。アリスの魂・精神は乗っ取った際に、男の魂によって浸食され、もうこの世にはいないという。それを聞いてヴィクトリアは今まで以上に絶望に打ちひしがれる。

「そ、そんな……アリス……う、うぅ……」

(あぁ、いいぜその表情。それだよ、それが見たかったんだよなぁ。主従ともどもすっげぇいい表情してくれるぜ。回りくどいことしたかいがあったもんだ♪)

男はそれを見下し、ニヤニヤと笑う。これこそが男が見たかった絶望顔だ。逃げられるという希望から、信頼していた家臣に裏切られ、奪われるという絶望への落下。そのあまりに動的な感情の変化は男の征服欲を大いに満たしてくれた。そして、それが満たされたことによって男は最後の詰めに入る。

「くっくっく、泣くのはいいけどよぉ姫さん。もういないアリスちゃんのことを悲しむより自分の心配をしたほうがいいと思うぜ?」

男はそう言うと、先ほど取り出した小瓶――憑依薬の封を開け、一気に飲み干した。すると、アリスの身体はガクガクと震え、白眼を剥いたかと思うと、崩れ落ち、口の中から白いユラユラと揺れる気体が湧き出てきた。言うまでもないが、憑依薬によって幽体離脱した、男の魂である。

「ひっ……!?」

『さっきも言ったが、本命は姫さんのほうの身体だからなぁ。悪いがいただかせてもらうぜ』

この世のものとは思えない恐ろしい存在に、姫は本能的な恐怖を感じ、狂乱のまま逃げようとするが、神経毒のせいでまともに動くことさえできない。男の魂は姫の身体にまとわりつき、少しずつ、口や耳、鼻へと近づいていく。

「いやっ……! 来ないでっ! ひぐぅ!?」

ヴィクトリアは必死に抵抗するが、それも全くの無意味で簡単に体内への侵入を許してしまう。内部を侵され、ヴィクトリアは無様な喘ぎ声をあげる。

「あっ、ぐ……頭が……ひゃう♡♡ だ、だめ、んっ……♡♡」

黒魔術的な白い気体によって、脳や内臓を侵食され、徐々にヴィクトリアの感覚はおかしくなっていく。意識が朦朧とし、自我が薄れ、自分が自分でないような感覚に陥る。手足は動かすこともできず、ただただもがくことしかできない。

『ははっ、いい表情するねぇ。魂を喰われ、身体を奪われるってのはどんな気分だ?』

脳に男の声が響く。その声によって、自分の精神が押しつぶされていっているのがヴィクトリアには分かった。頭の中が圧迫され、自分という存在が押し出されていっている。

「あっ、がっ……あがっ、ひゅっ♡♡ た、すけ……あっ♡ あっ♡ あっ♡ ごぼっ……!!」

身体のあらゆるところが限界まで搾り取られ、目や鼻からは無様に体液が漏れ出る。股間からは小便も垂れ流しだ。男の魂はほとんどヴィクトリアの中に入り込み、もう抵抗する術はなかった。そして男の魂全てが中に入り込むと、彼女の身体から力が抜けていき、まるで糸の切れた人形のようにがくりと、崩れ落ちる。

(やだ……死にたくない……助けて、アリス……)

その思考を最後にヴィクトリアの意識は途切れるのだった―――



==



「…………………ン、ァ……」

ヴィクトリアが力なく崩れ落ちて数十秒後、彼女の身体がピクリと動く。ぎこちない動きでふらふらと立ち上がり、手足を伸ばした後、自身の身体をボーっと見つめる。そして視線を動かし、同様に動かなくなったアリスの身体を確認すると、彼女はニヤリと笑った。

「ひっひっひ♪ 乗っ取り成功っと。いやぁ、ようやく姫様の身体を手に入れられたぜ」

ヴィクトリア―――いや、アリスの身体を乗っ取っていたスパイの男は、新しい身体を手に入れ、満足げに笑みを浮かべた。

「最後の最後までいい表情で俺を楽しませてくれてありがとな、姫さん。今後は俺のボディとしてこの身体と立場、使わせてもらうぜ♪ へへ、これからは王族として贅沢三昧できると思うとたまんねえなぁ」

男は既にいないヴィクトリアに向かって嘲り笑いながら礼を言う。彼が姫の身体に憑依しようと決めたのは、何も見た目だけではない。姫の姿を得られれば、今の貧乏生活から一転、贅沢三昧の生活を送ることができると考えたからだ。

「あー、うんうん、記憶の読み取りも大丈夫だな。これならなりすまし生活も問題なさそうだ。―――ふふ、ごめんなさいねヴィクトリア姫、これからは貴女ではなく『俺』……いえ、『私』がヴィクトリア姫ですわ♪ な~んてな、口調もばっちりだぜ」

唯一の懸念として、乗っ取ったとしてもなりすましがうまくいかず、正体がばれてしまうのではという問題もあったが、事前にアリスに憑依しておいたことで記憶の読み取りによってほぼバレないなりすましができると分かっていた。そのような様々な準備を経て、ついに手に入れたヴィクトリアの身体を見て、男は思わず涎を垂らす。

「へっへっへ、ホントに俺があのヴィクトリア姫になったんだな~。ということはこんなことだって……」

男はそのように呟くと、ヴィクトリアの身体で足を大きくガニ股に開き、股間にピンっと伸ばした両手を添え、姫とは思えない下品で大胆な馬鹿のようなポーズをとる。

「ラ・トゥール国民のみなさ~ん、ごめんなさい。私、こんな馬鹿な姿を皆さんに見てもらって興奮しちゃう変態女なんです~。そぉれ、ハイグレハイグレ♪ ははっ、笑えるぜ」

そしてヴィクトリアの口調を真似つつ、両手を上下に動かして、奇声を上げつつ奇妙なダンスを踊る。男も詳しくは知らないが、遠くの国に伝わる『ハイグレダンス』という下品な踊りらしい。そのヴィクトリアの姿に先ほどまでの気高く高貴な雰囲気はなく、ただただ変態女に成り下がっていた。

「けっけっけ、自分の身体にしちまえば姫さんにこんなポーズをさせることだってできるわけだよな~。最高だぜ」

そんなヴィクトリアの落ちぶれた姿を演技して、男は満足げに頷く。絶望顔も美しかったが、こういう下品な姿を見るのも悪くないと感じたようだ。

「さてさて、お遊びはここまでにしてっと。まずは身体を色々と探索しないとなぁ♪」

男は姫の繊細な手を使って、自身の身体をねっとりと触る。胸や尻など出るところはしっかり出ており、逆に腰回りといった部分はしっかりとへこんでいる。加えて太ももは健康的なむっちり具合だ。王族の贅沢な生活のため、栄養状態が抜群なおかげだろう。

「うはっ、それにしてもやっぱエロい身体してるぜ……娼婦街の痩せ細った女どもより何倍も奪いたくなる身体してやがる」

彼はニヘヘと笑いながらおっぱいを揉む。ドレス越しのおっぱいはとてもよい触り心地で、軽く触れるだけで強い弾力で跳ね返ってくる。それを両手でしっかりと掴むと、手のひらに収まりきらないほどの重みがのしかかる。

「ほぉほぉ、やっぱりアリスちゃんより姫さんのほうがおっぱいでけえな。というか、今まで見た女の中で一番でけえかもな? ははっ、このデカさで王族は無理だろ、やっぱり俺が乗っ取って正解だったなぁ?」

ヴィクトリアの身体のおっぱい――Hカップを越える爆乳――を男は乱雑に揉みしだく。王女であり、彼女の身体はそんなちょっとした刺激でも性感を覚え、男はその快楽を享受する。

「はぁ~♡ 姫さんの身体感じてやがる……というかおっぱい揉むの気持ちよすぎだろ。やめらんねえ♡」

男はさらに胸元の布をずらし、おっぱいを露出する。走った後だからか、うっすら汗に濡れ、ほんのり勃起している乳首がピクピクと痙攣している。男はそれを両指で摘まみ、おっぱいを吊すように持ち上げる。おっぱいの重みが乳首に直に伝わり、痛いような気持ちいいような未知の快感が彼を襲う。

「お゛ぅ♡♡ ひぃ………♡ これ、やっべ♡♡ イっちま゛うっ♡♡ お゛っ♡」

男はヴィクトリアの声で下品な喘ぎ声を叫び、海老反りになり、イきかける。思わず手を離すと今度はおっぱいがぶるぶると激しく揺れる。その揺れでまた快感が溢れ、絶頂寸前まで到達しそうになる。

「ひょっ♡!! お゛………♡ ふぅ……♡ やばいやばい、いきなりイっちまうかと思ったぜ。これが女のオナニーか……めちゃくちゃ感じるじゃねえか」

男ははぁはぁと息を切らし、一旦身体を落ち着ける。それでもまだヴィクトリアの身体は強く火照っており、なにか熱いものがこみ上げてきた。その快感の強さと長さは想像を遙かに超えたものであった。女の快感を愉しもうと、ウキウキだった男も思わず、膝をつく。

「いや、でもアリスちゃんのも昨日軽く触ったが……ここまでじゃなかったぞ? ほんとに姫さん処女なのか? 感度高すぎんだろ」

ヴィクトリアのあまりの感度の高さに、姫がほんとに外面通り、清楚で高貴な乙女なのか男は疑問に思う。

「ちょっと、しっかり記憶を覗いてみっか」

精神を集中させ、ヴィクトリアの記憶を探る。表面的な記憶や所作、口調だけでなく、過去の細かな記憶まで掘り起こしていく。

「あー、なるほどなるほど。処女なのは間違いないな」

探った記憶の中に、姫が男とセックスしているものはなく、処女であるのは本当のようであった。

「でもこの姫さん、一日に三回もオナニーしてるじゃねえか!! そりゃあ、そんだけヤってりゃあ乳首も開発されてるわなぁ」

だが、それとは別にヴィクトリアの自室での情事が溢れるほど脳内に浮かび上がってきた。彼女は公務中など、国民の前では清楚で理知的な姫を振る舞う一方で、その鬱憤を晴らすかのごとく、自室に戻ると隠れて何度も何度も激しいオナニーをしていたようである。

「まったくとんだ淫乱姫だな。しかもオカズの大半は従者のアリスちゃんか……あいつの記憶は姫への忠誠心がたっぷりだったが、その姫に性的な目でみられていたとはな……哀れな女だ」

まさかの記憶に男も苦笑いする。傍から見ると理想的な主従だった二人だが、一歩間違えればかなり爛れた関係になっていたようである。

「ま、今となってはどうでもいい話だな。むしろ、これからは俺がその欲望をオープンに発散させてやるんだから感謝してほしいぜ♪ さて、続き続きっと」

中々複雑な事情があったようだが、男にとってはどうでもいい話だ。彼にとってはエロいヴィクトリアの身体さえあれば何も問題ないのである。

「うわっ、愛液が漏れてスカートがびしょびしょじゃねーか。こっちもオナニーのしすぎで感度抜群になってるのか?」

今度はおっぱいから股間に指を移動させる。スカートを持ち上げると、下着の中は先ほどの乳首オナニーにより愛液塗れになっていた。

「えーっと、記憶だと『私』はいつもここを触って……お゛っ♡ やっべ、イイ……!」

男は先ほど読んだ記憶を元に、姫のオナニーを真似してみる。すると軽く触るだけで突き抜けるような快感が身体を走った。

「ひっ♡ はふっ♡ あっ♡ あっ♡ あ゛っ♡ んん……なるほどここが姫さんの性感帯ってことか、よく開発されてやがる、ん゛♡」

今まで以上の性感を覚え、ハッハッと犬のようにだらしなく息を乱しながら、股間を弄る。まずは股間の筋の周りを撫で、そこから指を一本ずつ、膣内に入れていく。

「ひひっ、流石の姫さんもこんな本数の指は入れたことないみたいだな……ん゛っ♡ ま○こやっべ、あんっ♡ ふ、はぁ……イ、ぅ♡ つ、あ♡」

指をぐちゅぐちゅと出し入れし、男のオナニーはどんどん激しくなっていく。もう片方の手ではおっぱいを弄り、身体全部で快感を享受する。股間からは噴き出すように愛液が漏れ、絶頂へと突き進んでいく。

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ イクっ♡ 女のオナニーでイクゥゥゥゥ♡♡♡!!!」

そして、男はそのヴィクトリアの身体で絶頂を迎えた。小刻みに震えながら、淫らに咆哮し、愛液を地面に撒き散らす。快感に溺れ、脚を押っ広げて潮を吹くその姿に、ラ・トゥール王国王女の威厳は最早なく、彼女は男に死後の尊厳も含め、全てを奪われていたのだった。

「はぁ、ふぅ♡ はぁ、にひひ♡ さいっこうに気持ちよかったぜ姫さん……♪」

男はそのままオナニー後のオーガズムに浸りながらニヤリと笑う。身体をコキコキと動かし、その主導権が完全に自分にあることを再度確認した。

「これで姫さんの身体は完全に俺のもんだぜ。あとは王国に戻って、王女生活を堪能するだけだが―――戻るにはアイツが帰ってこないと。……オナってる間に来るかと思ったがまだか?」

数十秒間のオーガズムを堪能した男は、興奮がおさまるように息を整える。一旦衣服を着直すと、今度はあたりをキョロキョロと見回した。

彼の言う通り、姫の身体は完全に乗っ取ったので後は帰るだけなのだが、そのまま帰るわけにはいかなかった。姫一人で王国に戻り、アリスだけ戻らなければ確実に怪しまれるからだ。何事もなかったかのように振る舞うには、ヴィクトリアとアリスが二人で戻らなければならない。なので彼には協力者が必要だった。『アリス役を務める』協力者が―――



==



「あっ、えーっと……姫さん――じゃなくて兄貴、ですよね?」

そして男が周囲をキョロキョロ見回して一分ほどすると近くの茂みがガサガサと揺れ、そこから一人の男が現れた。その男は最初に花畑でヴィクトリアたちを襲ったならずものの一人……ヴィクトリアたちを牢から出した際に馬車から離れていた男である。

「おっ、やっと戻ってきたか。遅えぞ」

「うわっ、そのしゃべり方兄貴だ! ほぇ~、あのヴィクトリア姫がおっぱい丸出しでうんこ座りしてる……ホントに兄貴が身体乗っ取ったんですねぇ」

ならずものは男に乗っ取られたヴィクトリアの身体をまじまじと見て、感嘆の声をあげる。

「まったく、てめぇが遅すぎたせいで、姫さんの身体で二回もシコっちまったぜ」

「いやぁ、もし兄貴の邪魔をしたら悪いと思いまして……兄貴、姫さんの絶望顔を見てえって楽しみにしてましたし。ええと、そっちに女騎士さんが倒れてるってことはうまくいったってことですかい?」

「あぁ、そうだ。ほれ、お前用の憑依薬だ。アリスちゃんの身体はお前が使いな。姫一人じゃあ王国に戻れねえからな」

「おお! ありがとうごぜーます! ふひひ、これで俺っちも貧乏生活からはおさらばして華麗な騎士様に転身だ!」

このならずものこそがスパイの男の『協力者』である。ヴィクトリアたちを襲撃したならずものの内、既に気絶している二人はただの雇われであったが、この一人だけは男の『直属の手下』であった。スパイ時代から付き従っていたため、男に信頼され、『アリスの魂』役に抜擢されたのである。

『おぉ、これが霊体の感覚……!』

手下は憑依薬を飲み干すと、同様に白い霊体になる。そしてそのまま倒れたアリスの身体に近づくと、耳や鼻、口などからゆっくりと中に入り込んでいった。

「………ビクッ! ――――ぁ、………」

するとアリスの身体が小刻みに震え、ビクビクと痙攣し始める。そしてそこから十秒ほど経つと、彼女の身体はふらふらと立ち上がった。

「っ、ぅ……いてて、ぁ―――ん? お……これは、おお!」

立ち上がった彼女の身体がゆっくりと目を開けると、彼女――の中に入った手下は自分の手足を見て、歓喜の声を上げる。

「よしよし、ちゃんと乗っ取れたみたいだな」

「うひゃ~、これが女の身体ですかい! ホントにちんこがねえ……それにおっぱいデカ!?」

手下は自分の新たな身体を物珍しそうにベタベタと触る。いきなりスカートの中に手を突っ込み、股間を叩いて自分のムスコがなくなったことを確認すると、今度は両手でアリスの巨乳を持ち上げ、驚愕の声を上げる。さらに尻を掴んだり、顔を摘まんだりして自分の身体が全く別物になったことを何度も確認した。

「くっくっく、いいもんだろ女体ってやつは。存分に楽しみな。ただお前にはこれから『私』の従者になってもらわないといけねえ……まずはちゃんとアリスちゃんの演技ができるか記憶を読んでみろ」

そんな手下の様子を見て男は満足そうに頷くと同時に、アリスの身体から記憶を読み取るのを促す。手下もこれからは粗野なならずものではなく、清廉な女騎士として生きていく必要がある。

「あぁ、すいやせん。興奮してつい。ええと、記憶読み取りか。たしかこうやって目を瞑って精神を集中して―――ふんふん、あぁなるほど。うん――――ええ、大丈夫です姫様。俺っち……いえ、私、アリス・フォン・ヘッセンは誇り高き公爵家の騎士として今再び、ヴィクトリア姫に仕えることを誓いましょう。へへ、こんな感じですかね兄貴?」

手下が記憶を読み取ると、先ほどまでの粗野な雰囲気は吹き飛んだ。がに股で腰の曲がった姿勢を正し、直立不動になりヴィクトリア(男)に対して深々と礼をとる。

「ひゅー! いいねえ、記憶を読み取るだけでここまで変わるもんなんだな。どこからどう見てもアリスちゃんそのものだ。普段から下っ端根性丸出しのお前とは思えねえ」

手下のあまりの変わりっぷりに男も舌を巻く。

「へへへ、ありがとうごぜーやす兄貴。それで、これからどうすれば?」

手下はアリスの身体でヘコヘコと男に従う。その雰囲気の落差は風邪をひきそうになるほどの温度差である。

「あとはお前を伴って王国に帰るだけだと考えていたが………ふむ」モミ

「ひゃっ♡ あ、兄貴!? なにを……」

と、手下を連れ、別邸の方に歩き始めようとした男であったが、急に振り向いてアリス(手下)のおっぱいを掴む。

「ほうほう、いい声出すじゃねえか。くくく、なに。また動き出したアリスちゃんを見たら興奮してきてな。ちょいとレズプレイとしゃれこもうぜ?」

男はそう言うと、手下の後ろに回り込み、背後から両手でおっぱいを揉みしだく。

「あんっ♡ へ、へへ、そういうことですかい。いいですね~、俺っちも早く女の身体が愉しみたかったから大歓迎っすよ。おらっ、お返しですぜ兄貴!」

理由を聞いて納得すると、手下もノリノリでそれに従う。両手を後ろに回しヴィクトリア(男)の尻をがっつり揉む。

「うひょ~、姫さんの尻でけえ! んん゛♡ あっ、やべ。おっぱいも気持ちいい……♡」

「アリスちゃんのおっぱいはこの辺が性感帯だぜ」

「お゛っ♡!?」

男はヴィクトリアの繊細な指を使い、アリス(手下)のおっぱいをつつく。一度乗っ取った身体なので、どこが弱いかも知っており、的確に性感帯を刺激する。

「あ、兄貴っ、そこは……んっ♡♡ ひゃぁ………♡ これが、女の……ひっ♡♡」

「いい反応するねえ。やっぱりお前を選んで正解だったぜ。ほらっ、こっちに顔向けろ」

「へ、へいっ! んっ♡♡!? ンチュ、チュウウウウ」

さらに男は手下の顔を向けさせ、濃厚なキスをする。上気した顔同士が近づき、ピンク色の柔らかな唇が重なる。吐息が漏れ、唾液が混ざり合い、淫靡で百合色の交わりだ。その芳醇な香りと雰囲気はとても中身が元男たちとは思えないほどである。

「ふわっ……アッ……♡」

まだ女の身体になれていない手下は、キスの快感で頭が茹で蛸になり、ボーッとしてしまう。

「チュウ、ンチュ……ふふ、アリスは可愛いですね♡」

その百合色の雰囲気に興が乗った男は、再びヴィクトリアの記憶を引き出し、彼女になりすます。

「え……兄貴、なにを……」

「兄貴? 誰かしらそれ、私はヴィクトリアよ? さぁ、貴女も『アリス』になりなさい」

男は先ほどの乱雑な揉み方からうってかわって、優しく、だけれども的確に性感帯を刺激しながらアリス(手下)のおっぱいを揉む。

「へぁ……えっと、んん゛♡ あ、なるほどそういうことですかい………失礼しました姫様。姫様の愛撫が気持ちよすぎてつい……」

「いいのよアリス♪ 女同士で愉しみましょう?」

男の意図を察した手下は、自分も記憶を引き出しアリスになりすます。アリスとヴィクトリアそれぞれになりきると互いに向かい合い、ゆっくりと胸を揉みあう。

(うわ~、なんかアリスちゃんになりきるとさっきと同じように胸を揉んでるのになんかドキドキしてくるぜ)

(ふむ、姫の記憶に引っ張られて目の前のアリスが妙に愛おしく見えるな……こういうシチュもありだな)

二人はそのまま無言で、時折恥ずかしさで目を背けながら胸を揉みあう。

「ねえアリス……もう一度キスをしましょう?」

「はい、姫様……」

そのまま二人はもう一度唇を重ねる。相手の唇の感触をゆっくりと味わいつつ、確かめるように舌を入れる。先ほどのようにがっついた無理矢理のキスではなく、相手を思いやるようなキスだ。

(はぁ、やば……このキス気持ちよすぎだろ……女の身体ってやべえよ)

(あぁ、クソ。妙に興奮してきやがった……。さっきオナりまくった時ともちげえ。これが文字通り『女』になるってことか)

スパイの男はなりすますことによる、身体だけではない精神面からの女としての興奮を感じる。ただひたすら肉欲のままにオナニーするのとはまったく別方向の快感だ。

「はぁ……♡ アリスのここ、すっごく濡れてる……♡」

濃厚な接吻をしつつ、男は身体をアリス(手下)の身体に絡ませる。自らの手で相手の股間を触りつつ、自身の股間は太ももに擦り付ける。

「ひゃっ……♡ 姫様、そんなはしたない……」

(お、俺っち、兄貴に股間弄られて感じてる……!)

「ねぇ、アリス……いっしょにイキましょう?」

「あ、兄貴、ひゃい……♡」

そして男はヴィクトリアの身体を存分に使い、上目遣いでアリス(手下)を誘惑する。二人の身体は重なり、乳や脚、股間が擦れ合う。同時にキスも続け、二人は相手の身体を貪り合う。

「チュ、チュ、ジュルルル、はぁ♡ ペロ…(んんん゛っ♡ はぁ、兄貴の舌使いやば……)」

「ジュルジュル、ん♡ ペロペロベロロ♡♡(はぁ、アリスちゃんとの百合プレイ最高だ……)」

そのまま二人は何度も何度も唇を重ね、股間を弄り、おっぱいを揉む。時間を忘れ、女としての性をただただ無言で愉しみ尽くす。その場では湿ったクチュクチュという音だけが響き、二人の脳内は女の子の気持ちよさだけが充満する。

「ひっ―――――あっ♡ あぁああ!」

「―――ッ♡ イ、くぅ……!! ぁっ―――♡♡」

そして二人は声を殺すように静かに絶頂を迎えた。股間から湧き出る愛液をポタポタと垂らしつつ、溢れる快感に浸りながら二人はゆっくりと崩れ落ちる。女の子座りでペタンと地面に伏せ、互いに抱き合いながら幸せそうに快感を享受するその姿は、彼らが女を乗っ取った男ではなく、完全な『女』になったのを表していた……

「はぁ……はぁ……女のエッチってこんなに気持ちいいんですね兄貴……♡」

「あぁ……しかも記憶をうまく使えば色んな方法で愉しめる……これは思った以上に愉しい生活になりそうだぜ♪」

エッチを終え、満足した彼らは新しい身体に想いを馳せつつ、互いの身体を抱き合い、ニヤリと笑い合うのだった。
[ 2020/12/16 18:00 ] 憑依モノ祭り(憑依ラヴァーver.) | TB(-) | CM(0)
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